協議離婚

763条は夫婦はその協議で離婚をすることができると定めています。764条は成年被後見人の婚姻、婚姻の届出及び詐欺又は強迫による婚姻の取消しの規定を協議上の離婚について準用すると定めています。

協議離婚の要件

協議離婚の成立には離婚意思の合致と協議離婚の届出が必要です。

離婚意思に関しては通説は社会通念上離婚そのものをする意思と解する実質的意思説をとっていますが判例は届出に向けられた意思と解する形式的意思説をとっているとされています。したがって債権者の強制執行を免れるための協議離婚や生活扶助を受けるための協議離婚も有効とされています。

成年被後見人であっても意思能力が回復している限りその成年後見人の同意なくして離婚することができます。意思能力は届出書の作成又は委託の時にあれば足り届出の時に喪失してもその受理前に翻意などをしない限りその届出は有効と解されています。

協議離婚は届出によって効力が生じます。判決による離婚は認容判決が確定した時点で効力が生じます。

協議離婚は離婚意思の合致と届出により成立するのであって子の監護についての協議の不調や財産分与の協議の不調によって妨げられるものではありません。協議上の離婚によって婚姻の効力は将来に向かって解消します。

協議離婚届出書作成後の翻意

協議離婚の届出は協議離婚意思の表示とみるべきであるから当該届出の当時離婚の意思を有せざることが明確になった以上は当該届出による協議離婚は無効とされています。

協議離婚の無効と取消し

協議離婚の無効については総則の無効に関する規定を適用すべきでなく婚姻の無効に関する規定を類推適用すべきです。したがって離婚の無効原因は離婚意思の不存在と離婚届の未提出です。無効な離婚の追認は許されるとされています。第三者は届出の外観に従って行動するのが通常であるから第三者の利益を不当に害することにはならないためです。

詐欺又は強迫による離婚は取り消すことができます。この取消権は当事者が詐欺を発見し若しくは強迫を免れた後3か月が経過し又は追認したときは消滅します。取消しの効果は婚姻取消しの場合とは異なり届出の時に遡及します。

離婚の届出の受理

765条1項は離婚の届出は所定の規定に違反しないことを認めた後でなければ受理することができないと定めています。同条2項は離婚の届出がこの規定に違反して受理されたときであっても離婚はそのためにその効力を妨げられないと定めています。

裁判上の離婚

裁判上の離婚とは協議離婚及び調停離婚が成立せず審判離婚がなされていないときに夫婦の一方の一定の原因に基づく離婚の請求に対して裁判所が判決によって婚姻を解消させることをいいます。

具体的離婚原因

770条1項は夫婦の一方が離婚の訴えを提起できる場合として5つの事由を掲げています。

第1に配偶者に不貞な行為があったときです。不貞行為とは他方配偶者が任意であればそれに至る相手方の任意性は問いません。

第2に配偶者から悪意で遺棄されたときです。悪意で遺棄とは積極的な意思で夫婦の共同生活を行なわないことをいいます。

第3に配偶者の生死が3年以上明らかでないときです。

第4に配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないときです。精神病とは統合失調症その他の精神疾患であってこれにより婚姻共同生活を行えない状態が継続している状態をいいます。精神病を理由とする離婚請求は諸般の事情を考慮しある程度病者の前途に方途の見込みがついたうえでなければ認められません。もっとも病者の配偶者が療養費を誠実に支払っているなどの事情により離婚請求が認められることもあります。

第5にその他婚姻を継続し難い重大な事由があるときです。婚姻を継続し難い重大な事由とは夫婦の一方が他方の行動や生活環境からその婚姻を継続し難いと考えた場合と双方が婚姻についての意思を失い夫婦生活が回復し難く破綻している状態を指します。

770条2項は裁判所は具体的離婚原因がある場合であっても一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは離婚の請求を棄却することができると定めています。

有責配偶者からの離婚請求

かつての判例は有責配偶者からの離婚請求を排除してきましたがその後有責配偶者の離婚請求であることのみをもって離婚請求を棄却することは許されないと判例を変更しています。ただし信義則による請求棄却の余地は認めています。

有責配偶者からの離婚請求であっても相当長期間の別居があり未成熟子が存在せず離婚による苛酷な状態が生じないなどの事情がある場合には離婚が認容されえます。未成熟子のいる場合であっても別居が相当期間に及び子も高校卒業の年齢に達し有責配偶者が別居後は子の監護に意を尽くし財産分与も期待できるという場合には離婚を認容できるとされています。

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