国籍留保制度の合憲性
国籍法12条は、出生により外国の国籍を取得しかつ出生時に日本国籍を取得して重国籍となるべき子のうち国外で出生した者についてのみ、出生の届出をすべき父母等の届出により出生の日から3か月以内に日本国籍を留保する意思表示がその旨の届出によりされなければその出生時から日本国籍を有しないものとする国籍留保制度を定めています。また、国籍法17条1項及び3項は同法12条により日本国籍を有しないものとされた者で20歳未満のものについて日本に住所を有するときは法務大臣に届け出ることによってその届出時に日本国籍を取得することができることを定めています。
原告らは、出生により日本国籍との重国籍となるべき子を日本国内で出生した者と国外で出生した者とに区別し後者にのみ国籍留保制度を定める国籍法12条は憲法14条1項に違反すると主張しました。
最高裁判所は、国籍の得喪に関する要件を定めるに当たっては立法府の裁量判断に委ねる趣旨であるとしたうえで、日本国籍の取得に関する法律の要件によって生じた区別につきそのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠がありかつその区別の具体的内容が立法目的との関連において不合理なものではなく立法府の合理的な裁量判断の範囲を超えるものではないと認められる場合には憲法14条1項に違反するということはできないとしました。
そして、国籍法は国外で出生して日本国籍との重国籍となるべき子に関して必ずしも我が国との密接な結び付きがあるとはいえない場合がありうることを踏まえ、実体を伴わない形骸化した日本国籍の発生をできる限り防止するとともに重国籍の発生をできる限り回避することを目的としているとし、このような立法目的には合理的な根拠があるとしました。また、父母等による国籍留保の意思表示をもって当該子に係る我が国との密接な結び付きの徴表とみることができること、その意思表示の方法や期間にも配慮がされていること、上記の期間内にその意思表示がなされなかった場合でも日本に住所があれば20歳に達するまで届出により日本国籍を取得することができるものとされていることを併せ考慮すれば、上記の区別の具体的内容は立法目的との関連において不合理なものとはいえず立法府の合理的な裁量判断の範囲を超えるものということはできないとしました。
門地
門地とは家系や血統などの家柄をいいます。明治憲法下での華族、士族、平民等は門地による差別であり、このような制度の復活は許されません。なお、皇族に認められる特別の地位は形式的には門地による差別ですが、これは憲法が世襲の皇位継承を認めることから許される例外とされています。
条例による地域的な別異取扱い
売春等取締条例の規定によれば国民の側からすれば居住地が異なることによって別異の取扱いを受けることになるので憲法の平等の精神に反するとの主張がなされました。
最高裁判所は、憲法94条が各地方公共団体の条例制定権を認める以上地域によって差別を生じることは当然に予期されるからかかる差別は憲法自ら容認するところであり、売春の取締りについて各別に条例を制定する結果その取扱いに差別を生じることがあっても地域差をもって違憲ということはできないとしました。
サラリーマン税金訴訟
旧所得税法の給与所得課税が必要経費の実額控除を認めず源泉徴収制度により所得の捕捉率が高い点で事業所得者等と比べ給与所得者に不公平な税負担を課しているとして14条1項の平等原則に反しないかが争われました。
最高裁判所は、租税は国家がその課税権に基づき特別の給付に対する反対給付としてでなくその経費に充てるための資金を調達する目的をもって一定の要件に該当するすべての者に課する金銭給付であるとし、憲法自体はその内容について特に定めることをせずこれを法律の定めるところにゆだねているとしました。
そして、租税は国家の財政需要を充足するという本来の機能に加え所得の再分配、資源の適正配分、景気の調整等の諸機能をも有しており、国民の租税負担を定めるについて財政、経済、社会政策等の国政全般からの総合的な政策判断を必要とするばかりでなく課税要件等を定めるについて極めて専門技術的な判断を必要とするとしました。したがって、租税法の定立については立法府の政策的かつ技術的な判断にゆだねるほかはなく裁判所は基本的にはその裁量的判断を尊重せざるを得ないとしました。
そうすると、租税法の分野における所得の性質の違い等を理由とする取扱いの区別はその立法目的が正当なものでありかつ当該立法において具体的に採用された区別の態様が上記目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限りその合理性を否定することができず、これを憲法14条1項の規定に違反するものということはできないとしました。
貴族制度の禁止
14条2項は貴族制度の禁止を規定しています。これは明治憲法下における華族制度と類似の制度が復活することを禁止しているから、特権を伴う世襲の身分を法律で新たに設けることは許されません。
栄典に伴う特権の禁止
14条3項は栄誉、勲章その他の栄典の授与はいかなる特権も伴わないこと、および栄典の授与は現にこれを有し又は将来これを受ける者の一代に限りその効力を有することを規定しています。社会の様々な領域で功労のあった者に勲章を授ける際に経済的利益を付与することとしても、その経済的利益が合理的な範囲を超えない限り特権には当たらず14条3項には違反しません。
なお、天皇の世襲制は平等原則の大きな例外です。
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