全体の奉仕者の意義
15条2項は公務員が全体の奉仕者であることを定めています。これは、公務員が国民の信託によって公務を担当する者として国民全体の利益のためにその職務を行わなければならず、国民の中の一部を占める特定の政党や階級ないし階層の利益のために行動してはならないことを意味します。
全体の奉仕者の法的意味
全体の奉仕者という規定は公務員の人権の制約根拠として援用されることがあります。
請願権の意義
16条は何人も損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し平穏に請願する権利を有し、何人もかかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けないと定めています。
何人もとあることから外国人や未成年者も請願権の主体に含まれます。また法人その他の任意団体も請願権の主体となります。
その他の事項に関しとあることから自己の利害と無関係な事項についても請願することができます。また憲法改正についての請願も認められます。
平穏にとあることから暴力や威嚇による請願は憲法上の権利として保障されません。
請願権の保障は、請願を受けた機関にそれを誠実に処理する義務を課するにとどまり、請願の内容を審理し判定する法的拘束力を生じさせることはありません。主要な請願は国会や各議院に対してなされますが天皇に対する請願も認められます。受理の手続や処理の仕方については国会法等が詳しく規定し、地方自治体の議会に対する請願については地方自治法に定めがあります。
請願をした者がいかなる差別的待遇も受けないことは、請願権が国民主権原理に立脚する参政権的性格をもつことから当然とされています。
請願権の参政権的性格
歴史的にみると、請願権は国民が自己の権利を確保すべく専制君主の絶対的支配に対抗する手段として形成されてきた権利であり、国民が政治的意思を表明するための有力な手段でした。
国民主権に基づく議会政治が発達し言論の自由が広く保障されている現代においては請願権の意義は相対的に減少しています。それでもなお国民の意思表明の重要な手段として参政権的な役割を果たしているといえます。
署名者への戸別訪問調査と請願権
町立小学校の廃校案に反対するために住民が署名活動を行い町長に署名簿を提出したところ、町長が署名の真否等を確認する必要があるとして職員に署名者への戸別訪問調査を行うよう命じた事案について、裁判所は次のように判示しました。署名活動すなわち署名を集める行為と署名行為すなわち署名する行為はいずれも表現の自由及び請願権の保障を受けるとしました。そして、公共団体は請願を放置することは許されずこれを誠実に処理する必要があるところ仮に署名者の署名が真正になされたかに疑義があっても請願者として署名がされている者を戸別訪問してその点を調査することは原則として相当でないとしました。本件戸別訪問は署名簿が誤りで正しくは賛成派が多いことを明らかにしようとする不当な目的で行われ、民意の確認のためならアンケートや住民投票といった手段も不相当とはいえない中で威圧感を与える予告なしの訪問という手段をとったことも相当性を欠くから表現の自由および請願権を侵害するとしました。
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