終身定期金契約の意義と法的性質
終身定期金契約とは当事者の一方が自己、相手方又は第三者の死亡に至るまで定期的に金銭その他の物を相手方又は第三者に給付することを約することによって成立する契約です。689条はこのように定めています。終身定期金契約は現在ではほぼ利用されず各種の公的年金制度が機能していることから適用されることはほとんどありません。
法的性質は対価があれば有償、双務、諾成、不要式契約であり対価がなければ無償、片務、諾成、不要式契約です。
終身定期金の計算
690条は終身定期金は日割りで計算すると定めています。
終身定期金契約の解除
691条1項は終身定期金債務者が終身定期金の元本を受領した場合においてその終身定期金の給付を怠り又はその他の義務を履行しないときは相手方は元本の返還を請求することができると定めています。この場合において相手方は既に受け取った終身定期金の中からその元本の利息を控除した残額を終身定期金債務者に返還しなければなりません。同条2項はこの規定は損害賠償の請求を妨げないと定めています。
692条は同時履行の抗弁に関する533条の規定を691条の場合について準用しています。
終身定期金債権の存続の宣告
693条1項は終身定期金債務者の責めに帰すべき事由によって689条に規定する死亡が生じたときは裁判所は終身定期金債権者又はその相続人の請求により終身定期金債権が相当の期間存続することを宣告することができると定めています。同条2項はこの規定は691条の権利の行使を妨げないと定めています。
終身定期金の遺贈
694条は終身定期金に関する規定は終身定期金の遺贈について準用すると定めています。
和解の意義と法的性質
和解とは当事者が互いに譲歩して争いを自主的にやめることを目的として結ぶ契約です。訴訟手続は技術的かつ専門的であり多くの時間と費用がかかるところ和解は法律の不備を補い当事者の実情に即した解決が可能であることなどから規定されています。
695条は和解は当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによってその効力を生ずると定めています。法的性質は有償、双務、諾成、不要式契約です。
和解の成立要件
和解が成立するためには争いの存在、当事者が互いに譲歩すること及び争いをやめるという合意が必要です。
争いとは法律関係の存否、範囲又は態様に関する主張の対立をいいます。争いの種類に制限はなく権利関係について不確実な場合も広く含まれます。身分関係のような当事者が自由に処分できないような法律関係についての争いについては和解できません。
互譲とは争われた法律関係についての主張の全部又は一部を放棄することですがそれに限られず係争物以外の物の譲渡や一定金額の支払の負担も譲歩となるとされています。
争いをやめるという合意については意思表示ないし契約についての通則規定が適用されます。
和解の確定効
696条は当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ又は相手方がこれを有しないものと認められた場合においてその当事者の一方が従来の権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときはその権利は和解によってその当事者の一方に移転し又は消滅したものとすると定めています。
和解契約の締結により争いのあった法律関係は確定します。確定された事項は仮に真実に反していても契約当事者は和解の内容に拘束されて当事者間に新たな法律関係が創設されたことになります。これが和解の確定効です。
債権額に関する争いについて和解が成立した場合には旧債権関係の存在が前提とされているから和解前の債権と和解契約で生じた債権とは同一性を有し旧債務に付属していた人的担保や物的担保は消滅しません。和解契約前の旧債務に付着していた抗弁は和解において互譲の対象となった部分に関するものは消滅しそれ以外についての抗弁は存続します。
短期消滅時効にかかる債務について和解契約を締結した場合にはその消滅時効は従前の債権の消滅時効によります。ただし裁判上の和解についてはその消滅時効の期間は10年となります。
和解契約の内容が公序良俗や強行法規に反するものであるときは和解契約は無効です。
和解と錯誤
和解契約にも原則として錯誤の規定が適用されますが和解の確定効との関係で問題が生じます。
合意した事項自体の錯誤については和解契約を取り消すことはできません。
それ以外の錯誤については和解の対象とされた事項の当然の前提として当事者によって疑いない事実として予定されていた事項に錯誤があった場合には95条が適用されます。また争いの対象外の与えることを約した物の品質に欠陥があったときも95条が適用されます。
和解条項の解釈
訴訟上の和解については特別の事情のない限り和解調書に記載された文言と異なる意味にその趣旨を解釈すべきものではないとされています。もっとも賃貸借契約についてはそれが当事者間の信頼関係を基礎とする継続的債権関係であることに伴う別個の配慮を要するとされており賃料1か月分の遅滞で賃貸借契約が当然に解除される旨を定めた訴訟上の和解条項について信頼関係が契約の当然解除の効力を認めることが合理的とはいえないような特別の事情がある場合についてまで当然解除の効力を認めた趣旨の合意ではないと解するのが相当とされています。
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