業務上横領罪
253条は業務上自己の占有する他人の物を横領した者は10年以下の拘禁刑に処すると定めています。
業務の意義
業務上横領罪の業務とは委託を受けて他人の物を占有し保管することを内容とする事務をいいます。社会生活上の地位に基づいて反復継続して行われる必要がありますが職業であるか利益を目的とするものであるかを問いません。
倉庫業者や運送業者など保管自体を職業とする場合はもちろんのこと会社などにおいて職務上保管する場合も含まれます。また本来の業務に付随する業務も含まれます。業務の根拠は法令のほか契約や慣習でもよいとされています。
非占有者が共犯として業務上横領罪に加功した場合
非占有者が共犯として業務上横領罪に加功した場合の取扱いについては65条の適用が問題となります。
遺失物等横領罪
254条は遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は1年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金若しくは科料に処すると定めています。
遺失物等横領罪の客体
遺失物とは占有者の意思に基づかずに占有を離れ何人の占有にも属していない物をいいます。漂流物とは遺失物のうち水面又は水中にあるものをいいます。両者は占有を離れた他人の物の例示です。
占有を離れた他人の物すなわち占有離脱物とは占有者の意思に基づかずに占有を離れ何人の占有にも属していない物及び他人の委託に基づかずに行為者が占有するに至った物をいいます。前者の例としては列車内に置き忘れられた携帯品や窃盗犯人が乗り捨てた他人の自動車などがあり後者の例としては誤って配達された郵便物、風で飛んできた隣家の物、誤って払いすぎた金銭などがあります。
無主物は遺失物等横領罪の客体となりませんが所有者が不明確でも他人の物であることが分かれば本罪の客体となります。
遺失物等横領罪における横領
遺失物等横領罪における横領とは不法領得の意思をもって占有離脱物を自己の事実上の支配内に置くことをいいます。
親族間の特例の準用
255条は244条の親族間の犯罪に関する特例の規定を横領の罪について準用すると定めています。
もっとも家庭裁判所から未成年後見人に選任された者が後見の事務として預かっていた預金を横領した場合については未成年後見人の事務の公的性格から直系親族にあたるとしても特例の準用の余地はなく刑は免除されないとされています。
また成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合においても後見事務は公的性格を有するものであり成年後見人は被後見人のためにその財産を誠実に管理すべき法律上の義務を負っているから両者の間に244条1項所定の親族関係があっても同条項を準用して処罰を免除することはできずこれを量刑事情として考慮するのも相当ではないとされています。
アプリの紹介
過去問を一文一問形式で解けるアプリを開発しました。
