国会議員の任期

45条及び46条は国会議員の任期を定めています。これらの規定の趣旨は任期を定めることによって無期限にその地位にある者の力が過大になることを防止し選挙権者の影響力を確保する点にあります。

衆議院議員の任期は4年であり衆議院解散の場合にはその期間満了前に任期が終了します。任期が短く解散がありうる点で選挙権者のコントロールの機会が多くそのため衆議院の優越が認められています。

参議院議員の任期は6年であり3年ごとに議員の半数を改選します。半数改選制であり解散による任期終了はありません。任期が長く半数改選制により常に議員の半数は存在している点で継続性と安定性が期待されています。

国会議員の身分の得喪

両議院議員の身分は選挙管理委員会の告示により当選の効力が発生した日に取得されます。

議員の身分が喪失するのは、任期が満了したとき、被選挙資格を失ったとき、他の議院の議員となったとき、法律上兼職できない国又は地方公共団体の公務員となったとき、辞職を許可されたとき、懲罰により除名されたとき、訴訟において選挙無効又は当選無効の判決が確定したとき、資格争訟の裁判において資格のないことが確定したときです。なお衆議院議員は解散によりその身分を失います。

国会議員の権能

国会議員は議案の発議権を有しその所属する議院の議題となるべき議案を発議する権能をもちます。議案とは案を備えて提出することを要するものをいいます。

動議の提出権として議員は動議を提出することができます。動議とは議院の会議又は委員会において議員が特定の事項を議題として持ち出すことであり議案として特別の扱いをされるもの以外の議員の発議をいいます。

質問権として議員は内閣に質問することができます。質問とは議題と関係なく内閣に対して説明を求め所見を質すことをいいます。

質疑権として議員は議題となっている議案についてその疑義を質すことができます。これを質問と区別して質疑といいます。

討論権として議員は議題となっている議案について賛否の意見を表明することができます。

表決権として議員は議題となっている案件について賛否の判断を表明することができます。議員がこの表決権を自由に行使しうることは憲法により保障されています。

選挙に関する事項の法定

47条は選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項を法律で定めるべきことを規定しています。その際法律は憲法自身の定める規範的要請に服さなければなりません。具体的には14条1項の平等一般、44条ただし書の議員資格及び選挙人資格についての平等、15条3項の普通選挙、15条4項の投票の秘密、43条1項の全国民を代表することの意味、21条1項の選挙の場面での表現の自由からの要請があります。

小選挙区と大選挙区の比較

小選挙区とは選挙人団が1人の議員を選出する選挙区をいいます。長所として二大政党化を促し政局が安定すること及び区域が狭いので選挙費用が節約できることがあります。短所として死票となる確率が高いこと、広い視野をもった新人が選出されにくいこと及び情実や買収等の選挙腐敗を誘発しやすいことがあります。

大選挙区とは選挙人団が2人以上の議員を選出する選挙区をいいます。長所として死票が少なくなること、広い視野をもった候補者が選出されやすくなること及び腐敗行為や選挙干渉が少なくなることがあります。短所として区域が広くなるため選挙費用がかさむこと及び同一政党から複数の候補者が立ち共倒れとなりやすいことがあります。

投票の方法

単記投票法とは一選挙区から選出する議員定数の多少にかかわらず投票用紙に1人の候補者名を記載せしめて投票させる方法をいいます。

連記投票法とは一選挙区から2人以上の議員を選出する大選挙区制において投票用紙に2人以上の候補者名を記載せしめて投票させる方法をいいます。連記投票法には選挙区の議員定数と同数の候補者名を記載させる完全連記制と議員定数より少ない候補者名を記載させる制限連記制があります。

代表の方法

選挙区と投票の方法の組合せにより代表の方法が変わり議会の民意の反映の仕方が異なってきます。代表の方法としては多数代表制、少数代表制、比例代表制があります。

多数代表制とは選挙区の投票者の多数派から議員を選出させようとする方法であり小選挙区制や大選挙区完全連記投票制がその類型です。安定した議会勢力を得ることができる長所がありますが候補者の当選に直結しない多くの死票が生ずる短所があります。

少数代表制とは選挙区の投票者の少数派からの議員の選出を可能とする方法であり大選挙区制限連記投票制や大選挙区単記投票制がその類型です。少数派にも議員を選出する可能性を与えて多数代表制がもつ不公平を修正する長所がありますが、少数派からの議員の選出に確実な保障はなく同士討ちの問題も生じること、多数派が依然として議席を独占する場合があること、政党得票数と当選者との比率がかなり偶然に支配されることなどの短所があります。

比例代表制とは多数派及び少数派の各派に対して得票数に比例した議員の選出を保障する方法であり、単記移譲式と名簿式があります。単記移譲式とは選挙人が候補者に順位をつけて投票したものを第一順位から計算して基数に達したものを当選人としその死票を順位に従って移譲する制度をいいます。名簿式には拘束名簿式と非拘束名簿式があります。拘束名簿式とは投票者が政党の選択のみを示す投票を行い各名簿の得票数に応じてあらかじめ名簿に登録された候補者の順位に従って当選者を決定する制度をいいます。非拘束名簿式とは投票者が名簿に登録されている候補者を指定して投票しまず名簿ごとに得票数を集計して当選者数を決定したうえで各名簿の中で個人得票の多数を得た者から順に当選者を決定する制度をいいます。比例代表制は有権者の意思を正確に反映しうる点で優れていますが、小党分立や政党間の対立を助長し政治的不安定を招くおそれがあること、技術的に多くの困難が伴うこと、名簿式の場合に選挙人と議員の間に政党が介在するため選挙の直接性に反するおそれがあることなどの短所があります。

現行制度の仕組み

衆議院議員選挙については長年1つの選挙区から3人ないし5人の議員を選出する制度を採用してきましたが、1994年の公職選挙法改正により全国の小選挙区と全国をブロックに分けた拘束名簿式比例代表制の2本立てで選挙が行われることになりました。これを小選挙区比例代表並立制といいます。その後比例代表の定数は削減されました。

参議院議員の選挙については、一方で各都道府県を選挙区として議員を選出する大選挙区制を採用し、他方で全都道府県の区域を通じて選挙する比例代表制を採用しています。従来は拘束名簿式比例代表制を採用していましたが公職選挙法改正により非拘束名簿式比例代表制を採用するに至りました。

小選挙区制の合憲性

判例は小選挙区制について、全国的にみて国民の高い支持を集めた政党等に所属する者が得票率以上の割合で議席を獲得する可能性があって民意を集約し政権の安定につながる特質を有する反面、このような支持を集めることができれば野党や少数派政党等であっても多数の議席を獲得することができる可能性があり政権の交代を促す特質をも有するとしました。また個々の選挙区においてはこのような全国的な支持を得ていない政党等に所属する者でも当該選挙区において高い支持を集めることができれば当選することができるという特質をも有するものであって特定の政党等にとってのみ有利な制度とはいえないとしました。死票を多く生む可能性があることは否定し難いが死票はいかなる制度でも生ずるものであるとしました。このように小選挙区制は選挙を通じて国民の総意を議席に反映させる一つの合理的方法ということができ小選挙区制を採用したことが国会の裁量の限界を超えるということはできないとしました。

比例代表制の合憲性

判例は拘束名簿式比例代表制であっても投票の結果すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点において選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異なるところはないから比例代表制が直接選挙に反するとはいえないとしました。

参議院の非拘束名簿式比例代表制の合憲性について、判例は政党の国政上の重要な役割にかんがみて政党を媒体として国民の政治意思を国政に反映させる名簿式比例代表制を採用することは国会の裁量の範囲に属するとしました。名簿式比例代表制は政党の選択という意味を持たない投票を認めない制度であるから非拘束名簿式比例代表制の下において参議院名簿登載者個人には投票したいがその者の所属する参議院名簿届出政党には投票したくないという投票意思が認められないことをもって国民の選挙権を侵害し憲法15条に違反するものということはできないとしました。

重複立候補制の合憲性

公職選挙法改正により一定の要件を備えた政党等の候補者は小選挙区選挙で落選しても比例代表選挙で当選人となることができるとされています。このような重複立候補制が43条1項や44条等に反しないかが問題とされました。なおその後法定得票数に達しなかった候補者の復活当選を禁じる法改正がなされています。

判例は被選挙権又は立候補の自由が選挙権の自由な行使と表裏の関係にある重要な基本的人権であることにかんがみれば合理的な理由なく立候補の自由を制限することは憲法の要請に反するとしました。しかし重複立候補制は選挙制度を政策本位、政党本位のものとするために設けられたものと解されるのであり政党の果たしている国政上の重要な役割にかんがみれば選挙制度を政策本位、政党本位のものとすることは国会の裁量の範囲に属することが明らかであるとしました。したがって比例代表選挙と小選挙区選挙とに重複して立候補することができる者が一定の要件を充足する政党等に所属する者に限定されていることには相応の合理性が認められるのであって不当に立候補の自由や選挙権の行使を制限するとはいえずこれが国会の裁量の限界を超えるものとは解されないとしました。

また判例は現行比例代表制において政党名を記載して投票させ当選順位が惜敗率によって決定されるが結局のところ当選人となるべき順位は投票の結果によって決定されるのであるからこのことをもって比例代表制が直接選挙に当たらないということはできないとしました。

1人別枠方式の合憲性

判例は1人別枠方式について人口の少ない県に居住する国民の意思をも十分に国政に反映させることができるようにすることを目的とする旨の説明がされているがそのような配慮は全国的な視野から法律の制定等に当たって考慮されるべき事柄であり選挙区間の投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとはいい難いとしました。また1人別枠方式の意義は新しい選挙制度の導入に際し人口比例のみに基づいて各都道府県への定数の配分を行った場合には人口の少ない県における定数が急激かつ大幅に削減されることになるため国政における安定性、連続性の確保を図る必要があった等の事情に対応する点にあったが、1人別枠方式はおのずからその合理性に時間的な限界があるものというべきであり新しい選挙制度が定着し安定した運用がされるようになった段階においてはその合理性は失われるとしました。本判決を受けて国会は1人別枠方式を廃止しました。

兼職禁止

48条は何人も同時に両議院の議員たることはできないと規定しています。本条は国会内の抑制と均衡を図るべく二院制を採用した憲法の趣旨の実現のためには衆議院と参議院が別の人により構成される必要があることから規定されたものです。

国会議員は国民の代表として国政を託されその職務に専念する義務を負うことから法律により他の公職との兼職が禁じられています。具体的には普通地方公共団体の議会の議員及び長、国及び地方公共団体の公務員との兼職が禁止されています。なお憲法上に規定はありませんが公職選挙法は在職中の議員が他の議院の候補者となること自体を禁止しています。

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