審判相互の関係
19条は成年後見、保佐及び補助の制度が抵触又は重複しないよう配慮した規定です。後見開始の審判をする場合において本人が被保佐人又は被補助人であるときは家庭裁判所はその本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければなりません。保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときも同様です。
相手方の催告権の趣旨
制限行為能力者のした法律行為は追認又は取消しがあるまで効力が確定せず不安定です。この不安定な状態から相手方を救済するため20条は制限行為能力者の相手方に催告権を認めています。
催告の要件としては催告の受領能力があり取消し又は追認をなしうる者に対し催告すること及び1か月以上の期間を定めて確答を促すことが必要です。
催告を受けた者が単独で追認できる場合に返事をしなければ追認を擬制し単独で追認できない場合は取消しを擬制します。
行為能力者となった後の催告
20条1項は制限行為能力者の相手方はその制限行為能力者が行為能力者となった後その者に対し1か月以上の期間を定めてその期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができると定めています。その者がその期間内に確答を発しないときはその行為を追認したものとみなされます。
制限行為能力者である間の催告
20条2項は制限行為能力者の相手方が制限行為能力者が行為能力者とならない間にその法定代理人、保佐人又は補助人に対しその権限内の行為について催告をした場合においてこれらの者が期間内に確答を発しないときも追認したものとみなすとしています。従来保佐人に対する催告の可否について争いがありましたが保佐人にも追認権が認められるので保佐人に対する催告を認め期間内に確答を発しない場合の効果は追認擬制となります。
なお相手方が法定代理人に対して追認するかどうかの催告をし法定代理人が確答を発しなかったときでも詐欺を理由とする意思表示の取消しをなすことは可能です。
特別の方式を要する行為の催告
20条3項は特別の方式を要する行為については期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときはその行為を取り消したものとみなすと定めています。特別の方式を要する行為とは後見人が後見監督人の同意を得て追認をなす場合等をいいます。なお保佐人が追認するときは保佐監督人の同意を得なければならない旨の規定は存在しないため保佐人の追認は特別の方式を要する行為に当たりません。
被保佐人又は被補助人に対する催告
20条4項は制限行為能力者の相手方は被保佐人又は同意権付与の審判を受けた被補助人に対しては期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができると定めています。被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときはその行為を取り消したものとみなされます。
なお詐欺や強迫については催告制度が設けられていません。
制限行為能力者の詐術
21条は制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときはその行為を取り消すことができないと定めています。本条は制限行為能力者のした法律行為の相手方の救済及び取引保護と同時に詐術を用いた制限行為能力者に対する制裁として取消権そのものを否定するという効果を与えたものです。
詐術の意義
詐術は制限行為能力者が行為能力者であると誤信させるため相手方に対し積極的術策を用いた場合に限られるものではありません。制限行為能力者であることを黙秘していた場合でもそれが制限行為能力者の他の言動などと相まって相手方を誤信させ又は誤信を強めたものと認められるときも含みます。もっとも制限行為能力者であることを終始黙秘していただけの場合は含みません。
詐術の効果
詐術を用いた場合の効果として取消権の消滅により完全に有効な行為となり法定代理人等の取消権も消滅します。相手方は詐欺を理由に取り消すことはできません。行為能力に関しての詐術は法律行為の内容についてのものではなく効果意思に瑕疵はないためです。
なお詐術による取消権の喪失により制限行為能力を理由として法律行為を取り消すことができなくなるにすぎず別途錯誤の要件を充足するのであれば取消しを主張することができます。
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