40条の趣旨

40条は何人も抑留又は拘禁された後無罪の裁判を受けたときは法律の定めるところにより国にその補償を求めることができると規定しています。刑事裁判が有罪と無罪を判断するプロセスである以上、抑留又は拘禁された者が結果として無罪になる場合があることは制度上当然予想されていることであり、それは国家の違法行為ということはできません。しかし結果として無罪とされた者はその刑事裁判の遂行により本来必要のなかった抑留や拘禁等の人権制限措置を受けたわけであり、それに対して相応の補償をすることによって公平の要請がみたされることになります。そこで本条は官憲の違法行為や故意過失にかかわりなく結果に対する補償請求を認めました。なお身柄が拘束されなかった者には裁判で無罪となっても補償請求は認められません。

明治憲法にはこの種の規定がなく昭和6年に刑事補償法が制定されましたがそれは国の恩恵的施策という性格のものでした。日本国憲法はこれを憲法上の権利の地位にまで高め、その具体的実施については憲法施行後に新たに制定された刑事補償法が定めています。

抑留又は拘禁の意義

抑留又は拘禁には未決の抑留すなわち留置や拘禁すなわち勾留のみならず、本条の趣旨から自由刑の執行、労役場留置、死刑執行のための拘置も含まれます。また少年法による拘禁も含まれます。抑留又は拘禁は刑事訴訟法による拘禁及び勾留に限られません。

抑留又は拘禁された被疑事実が不起訴となった場合は本条の保障の問題は生じませんが、不起訴となった事実に基づく抑留拘禁であってもそのうちに実質上は無罪となった事実についての抑留拘禁であると認められるものがあるときはその部分の抑留及び拘禁もこれを包含するものと解するのが相当であるとされています。

無罪の裁判の意義

無罪の裁判とは刑事訴訟法による無罪判決が確定したときと一般に解されています。刑事補償法は刑事訴訟法の規定による免訴又は公訴棄却の裁判を受けた者はもし免訴又は公訴棄却の裁判をすべき事由がなかったならば無罪の裁判を受けるべきものと認められる十分な事由があるときには補償の請求をなしうるとして、憲法の定める範囲を超えて補償の範囲を拡大しています。

公訴の提起に対して公訴提起の手続が違法であるとして公訴棄却の判決を受けた場合やその罪につき大赦が行われて免訴判決を受けた場合にはいずれも本条の適用はありません。一方、公訴提起に対し適用された法律が違憲であると判断されて無罪判決を受けたときは起訴状記載の公訴事実の存在を認定できた場合であっても本条の適用があります。

少年法23条2項による不処分決定が非行事実が認められないことを理由とするものであっても無罪の裁判には当たらないとされています。その理由は当該処分は当該事件について刑事訴追をし又は家庭裁判所の審判に付することを妨げる効力を有しないことにあります。

なお、本人が捜査又は審判を誤らせる目的で虚偽の自白をし又は他の有罪の証拠を作為することにより起訴や未決の抑留若しくは拘禁又は有罪の裁判を受けるに至ったものと認められる場合には裁判所の裁量により補償の一部又は全部をしないことがあります。

再審無罪の場合

ある者に対して公訴提起されて有罪判決を受けて拘禁刑の執行を受けた後、再審を請求して再審で無罪判決を受けた場合には刑の執行部分も含めて補償請求ができます。再審を請求して再審で無罪の判決の場合も40条にいう無罪の裁判を受けたときに当たるためです。

補償金額の決定

補償金の額を定めるには拘束の種類及びその期間の長短、本人が受けた財産上の損失、得るはずであった利益の喪失、精神上の苦痛及び身体上の損傷並びに警察、検察及び裁判の各機関の故意過失の有無その他一切の事情を考慮しなければなりません。

国家賠償請求権との関係

無罪判決が確実に予測できるのに起訴した場合など抑留等に違法性が認められる場合には国家賠償の対象にもなります。

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