動産先取特権の追及力の制限
333条は先取特権は債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後はその動産について行使することができないと定めています。一般先取特権及び動産先取特権は動産上にその存在が公示されていないので第三取得者を保護する必要があるためです。
第三取得者とは所有権取得者をいい賃借人や質権者は含まれません。また第三取得者は善意であると悪意であるとを問いません。
動産売買の先取特権の存在する動産が集合物の構成部分となった場合には集合動産譲渡担保権者は引渡しを受けたものとして特段の事情がない限り第三取得者に該当します。
引き渡したに占有改定を含むかについては判例は肯定しています。333条の趣旨は公示のない動産上の先取特権の追及力を制限し動産取引の安全を図る点にあるためです。
先取特権は法定担保物権であり当事者の合意により法律に定めのない効力を発生させることは物権法定主義から認めることができないので333条を排除する特約は無効であり当該物の転得者を拘束しません。
先取特権と動産質権の競合
334条は先取特権と動産質権とが競合する場合には動産質権者は330条の規定による第1順位の先取特権者と同一の権利を有すると定めています。
不動産質権と先取特権とが競合する場合には不動産質権には抵当権の規定が準用されるので抵当権と先取特権とが競合する場合と同じ扱いとなります。
先取特権と留置権との関係においては留置権に優先弁済的効力が認められないため優先の問題は生じません。目的物が留置されているとしても先取特権者は競売申立てをなしえます。しかし競落人が目的物を受け取るには留置権者に債務の弁済をなす必要があるので結果として留置権者が優先することになります。
一般の先取特権の効力
335条1項は一般の先取特権者はまず不動産以外の財産から弁済を受けなお不足があるのでなければ不動産から弁済を受けることができないと定めています。同条2項は一般の先取特権者は不動産についてはまず特別担保の目的とされていないものから弁済を受けなければならないと定めています。一般先取特権は債務者の総財産を目的とするから他の債権者の利益と調整する必要があるためです。
同条3項は一般の先取特権者がこの規定に従って配当に加入することを怠ったときはその配当加入をしたならば弁済を受けることができた額については登記をした第三者に対してその先取特権を行使することができないと定めています。
同条4項は不動産以外の財産の代価に先立って不動産の代価を配当し又は他の不動産の代価に先立って特別担保の目的である不動産の代価を配当する場合にはこれらの規定は適用しないと定めています。
一般の先取特権の対抗力
336条は一般の先取特権は不動産について登記をしなくても特別担保を有しない債権者に対抗することができると定めています。ただし登記をした第三者に対してはこの限りではありません。一般先取特権は登記が困難でありまた債権額も比較的少額であるためです。
不動産先取特権の登記
不動産先取特権の効力を保存するためには登記をしなければなりません。登記をなすべき時期は先取特権の種類によって異なります。
337条は不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならないと定めています。
338条1項は不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならないと定めています。工事の費用が予算額を超えるときは先取特権はその超過額については存在しません。同条2項は工事によって生じた不動産の増価額は配当加入の時に裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならないと定めています。
340条は不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには売買契約と同時に不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならないと定めています。
登記をした不動産保存又は不動産工事の先取特権と抵当権
339条は337条及び338条の規定に従って登記をした先取特権は抵当権に先立って行使することができると定めています。すなわち不動産保存及び不動産工事の先取特権については登記をすれば目的不動産にすでに抵当権が設定されていてもこれに優先します。
一方で不動産売買の先取特権については340条所定の登記をしてもその前に登記がされた抵当権に先立って行使することはできません。
抵当権に関する規定の準用
341条は先取特権の効力についてはこの節に定めるもののほかその性質に反しない限り抵当権に関する規定を準用すると定めています。先取特権は抵当権と類似しており目的物の占有を要件としない担保物権であるためその類似性ゆえに抵当権の規定が準用されます。
先取特権の消滅
先取特権の消滅原因としてまず物権一般の消滅原因があり目的物の滅失や放棄がこれに当たります。
次に被担保債権の消滅があります。被担保債権が存続する限りは債権者の変更や地位の喪失があっても先取特権は消滅しません。
動産の場合には目的物の第三取得者への引渡しにより先取特権は消滅しますが代金への物上代位が可能です。
不動産の場合には第三取得者による代価弁済及び抵当権消滅請求も消滅原因となります。
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