離婚後の子の監護に関する事項
766条1項は父母が協議上の離婚をするときは子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項はその協議で定めると規定しています。この場合においては子の利益を最も優先して考慮しなければなりません。
同条2項は協議が調わないとき又は協議をすることができないときは家庭裁判所がこれらの事項を定めると規定しています。同条3項は家庭裁判所は必要があると認めるときは定めを変更しその他子の監護について相当な処分を命ずることができると規定しています。同条4項はこれらの規定によっては監護の範囲外では父母の権利義務に変更を生じないと規定しています。
妻が婚姻中に他の男性との間に子を設けたが当該子と夫との間の自然的血縁関係の不存在を知りながらこれを夫に告げなかったためもはや夫に当該子との親子関係を否定する法的手段が残されておらず夫がこれまでに当該子の監護費用を十分に分担してきており妻が夫との離婚に伴い相当多額の財産分与を受ける事案において妻が夫に対し当該子の監護費用を請求することは権利濫用に当たるとされています。
離婚による復氏
767条1項は婚姻によって氏を改めた夫又は妻は協議上の離婚によって婚姻前の氏に復すると定めています。同条2項はこの規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は離婚の日から3か月以内に届け出ることによって離婚の際に称していた氏を称することができると定めています。
裁判上の離婚の場合にも離婚後の子の監護、復氏、財産分与及び祭祀に関する権利の承継の規定が準用されます。もっとも裁判所が当事者の称すべき氏を定めなければならないわけではありません。
財産分与
768条1項は協議上の離婚をした者の一方は相手方に対して財産の分与を請求することができると定めています。同条2項は当事者間に協議が調わないとき又は協議をすることができないときは当事者は家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができますが離婚の時から2年を経過したときはこの限りではありません。同条3項は家庭裁判所は当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定めると規定しています。
財産分与の法的性格
財産分与は単なる贈与とは異なり婚姻中における夫婦財産関係の清算、離婚後における配偶者の扶養及び離婚による慰謝料の性格を有しています。単なる贈与と異なる以上書面によらない贈与の解除に関する規定の適用はありません。
財産分与請求権と慰謝料請求権の関係
離婚による精神的な苦痛を被ったことに対する慰謝料は財産分与に含めて請求することもできるし財産分与に含めずに別個に損害賠償請求権として請求することもできるとされています。一切の事情を考慮すべきであり慰謝料をも含めて財産分与の額及び方法を定めることも認めるべきであるためです。
既に財産分与を受けており精神的な苦痛がすべて慰謝されたものと認められるときにはもはや重ねて慰謝料の請求をすることはできません。もっともその中に慰謝料が含まれない場合やその額が精神的苦痛を慰謝するに足りないと認められる場合には別個に慰謝料を請求することも許されます。
財産分与請求権の成立
具体的請求権としての財産分与請求権の発生原因について判例は財産分与請求権は離婚の事実により当然に発生するがそれは基本的抽象的請求権であり当事者の協議あるいは審判等によって具体的内容が決定されることをもって初めて具体的請求権が生ずるという立場に立っています。したがって財産分与請求権は協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまではその範囲及び内容が不確定であるからかかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできません。
夫婦の一方が適当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも財産分与に含めることができるとされています。離婚に伴う財産分与は768条3項の趣旨に反して不相当に過大であり財産分与に仮託してなされた財産処分であると認められるような特段の事情がない限り詐害行為とはなりません。
裁判所が離婚請求を認容する判決をする場合には申立てがあるときに限り裁判所は財産分与についての裁判をすることができ職権で財産分与についての裁判をすることはできません。離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において裁判所が離婚請求を認容する判決をするに当たり財産の一部について財産分与の裁判をしないことは許されないとされています。
離婚による復氏の際の権利の承継
769条は婚姻によって氏を改めた夫又は妻が祭祀に関する権利を承継した後協議上の離婚をしたときは当事者その他の関係人の協議でその権利を承継すべき者を定めなければならないと規定しています。協議が調わないとき又は協議をすることができないときは家庭裁判所がこれを定めます。
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