連帯債務の意義
連帯債務とは数人の債務者が同一内容の給付について各自が独立に全部の給付をなすべき債務を負担しそのうちの1人の給付があれば他の債務者の債務も消滅する多数当事者の債務をいいます。
連帯債務は債務者の数に応じた数個の独立した債務です。したがって相対的効力が原則とされます。債権者は特定の債務者に対する債権だけを分離して譲渡することができます。また各債務ごとに利息や条件や期限の有無などの態様が異なってもよく連帯債務者の1人についてのみ保証人が存在したり物的担保が設定されたりすることも認められます。
連帯債務の成立
連帯債務は債務の目的がその性質上可分である場合において法令の規定又は当事者の意思表示によって成立します。法令の規定によって連帯債務が成立する場合としては共同不法行為者の責任や日常家事債務の連帯責任があります。当事者の意思表示による場合としては併存的債務引受をした場合の債務引受人と原債務者との関係があります。連帯債務が共同相続された場合にも連帯債務が成立します。
連帯債務者に対する履行の請求
436条は債務の目的がその性質上可分である場合において法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは債権者はその連帯債務者の1人に対し又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し全部又は一部の履行を請求することができると定めています。
債権者は任意の連帯債務者に対して全額の履行を請求できます。連帯債務者の1人が全部を弁済すれば他の連帯債務者もその債務を免れます。
連帯債務者の1人についての法律行為の無効等
437条は連帯債務者の1人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても他の連帯債務者の債務はその効力を妨げられないと定めています。
連帯債務は別個独立の債務であるからその成立原因も個別的に扱うのが当事者の意思に適います。したがって連帯債務者の1人について無効や取消しの原因があっても他の連帯債務者の債務は完全に有効に成立します。この規定は1個の契約で連帯債務を負担する場合にも適用されます。また本条は任意規定です。
連帯債務者の1人との間の更改
438条は連帯債務者の1人と債権者との間に更改があったときは債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅すると定めています。当事者間の法律関係の決済を容易にするためあるいは当事者の意思を推測して更改に絶対的効力が認められています。
更改をした連帯債務者は他の連帯債務者の意思に反しても更改をすることができます。更改により他の連帯債務者は旧債務を免れますが新たな債務について責任を負担するものではありません。更改をした連帯債務者は他の連帯債務者に対して負担部分に応じた求償をすることができます。もっとも更改の際に他の連帯債務者に影響しない旨の特約を締結することも可能であり本条は任意規定です。
連帯債務者の1人による相殺等
439条1項は連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合においてその連帯債務者が相殺を援用したときは債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅すると定めています。相殺は実質的に弁済と同様の効果をもたらすものであるため絶対的効力事由とされています。
同条2項は反対債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は他の連帯債務者はその連帯債務者の負担部分の限度において債権者に対して債務の履行を拒むことができると定めています。相殺は債務者の債権者に対して有する債権を処分して受働債権を消滅させる行為であるところ反対債権を有しない他の連帯債務者にはこれを行使する権限がないため履行拒絶の限度でその効果が認められています。
連帯債務者の1人との間の混同
440条は連帯債務者の1人と債権者との間に混同があったときはその連帯債務者は弁済をしたものとみなすと定めています。法律関係を簡易に決済するため混同に弁済と同様の絶対的効力が認められています。混同が生じた連帯債務者は他の連帯債務者に対して求償権を有します。
相対的効力の原則
441条は更改、相殺及び混同に規定する場合を除き連帯債務者の1人について生じた事由は他の連帯債務者に対してその効力を生じないと定めています。ただし債権者及び他の連帯債務者の1人が別段の意思を表示したときは当該他の連帯債務者に対する効力はその意思に従います。
別段の意思を表示した場合の例としては債権者と連帯債務者の1人との間で他の特定の連帯債務者に対して履行の請求をしたときはその連帯債務者に対しても履行の請求をしたものとするとの合意をした場合があります。
免除については全ての連帯債務者の債務を免除する意思で債権者が1人の債務者に免除の意思表示をしたときはその免除に絶対的効力が認められます。
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