所有権の取得原因

所有権の取得原因には承継取得と原始取得があります。承継取得とは前主の権利を引き継いで所有権を取得するものであり原始取得とは前主の権利とは無関係に新たに所有権を取得するものです。民法は原始取得原因として無主物先占、遺失物拾得、埋蔵物発見及び添付の4種を規定しています。

無主物先占

239条1項は所有者のない動産は所有の意思をもって占有することによってその所有権を取得すると定めています。所有者のない動産とは現に所有者がいない動産をいいかつて誰かの所有に属していた動産でも放棄されると無主物となります。所有の意思をもって占有するという事実行為により所有権を取得します。

239条2項は所有者のない不動産は国庫に帰属すると定めています。したがって無主の不動産は先占の対象とはなりません。

遺失物拾得

240条は遺失物は遺失物法の定めるところに従い公告をした後3か月以内にその所有者が判明しないときはこれを拾得した者がその所有権を取得すると定めています。遺失物とは占有者の意思によらずにその占有を離脱した物をいいます。拾得者が所有の意思をもって拾得したかどうかは問われません。

埋蔵物発見

241条は埋蔵物は遺失物法の定めるところに従い公告をした後6か月以内にその所有者が判明しないときはこれを発見した者がその所有権を取得すると定めています。ただし他人の所有する物の中から発見された埋蔵物についてはこれを発見した者及びその他人が等しい割合でその所有権を取得します。

埋蔵物とは土地、建物その他の物の中に置かれて誰が所有者であるかが容易には判断しにくい物をいいます。無主物とは異なり所有者の存在を前提としており発見という事実行為があれば足り占有を取得する必要はありません。

添付の意義

添付とは所有者の異なる2個以上の物が何らかの形で結合又は混合し過分の費用を要せずにそれらを分離又は復旧することが不可能ないし著しく困難となった場合に分離又は復旧を認めないことをいいます。所有者を異にする2個以上の物が結合して1個の物ができた場合に社会経済的見地から1個の物としての所有権を認め復旧の請求を認めずそこから生ずる不公平を別個に解決するのが添付の趣旨です。添付には付合、混和及び加工の3類型があります。

添付により生じた物を1個の物と扱う規定は強行規定ですがその物が誰に帰属するかに関する規定は任意規定です。

不動産の付合

242条は不動産の所有者はその不動産に従として付合した物の所有権を取得すると定めています。ただし権原によってその物を付属させた他人の権利を妨げません。分離又は復旧を認めることは社会経済上の見地からも当事者にとっても不利益であることから設けられた規定です。

不動産の付合の要件は付合する物が動産であることと動産が不動産と結合して一体化して分離復旧が社会通念上不可能であるか分離することができても分離により社会的経済的に見て著しく不利益な状態となることです。

不動産の付合には強い付合と弱い付合があります。強い付合は社会経済上の独立性が乏しいものであり不動産の構成部分となってしまうため242条ただし書の適用はありません。弱い付合は社会経済上の独立性があるものであり権原に基づいて付合させた場合には所有権を留保することができます。

不動産の所有者は強い付合の場合は常に弱い付合の場合は原則として付合した物の所有権を取得します。これにより付合した物の所有者であった者は収去義務を負わず償金請求権を取得しそれをもとに留置権も行使することができます。

権原とは当該不動産を利用し物を付属させうる権利をいい地上権、永小作権及び賃借権がこれに当たります。権原により動産を付属させたときは付着者は動産の所有権を留保でき収去義務を負います。ただし権原ある者が付属させた物でもそれが不動産と一体化し構成部分となって独立の存在をもたなくなった場合すなわち強い付合の場合にはただし書の適用を受けません。

建物の賃借人は賃貸人の承諾を得れば増改築の権原を有します。増改築部分だけでは建物としての独立性がない場合は強い付合となり賃借人に権原があったとしてもただし書の適用はなく増改築部分は既存建物の構成部分となります。独立性の有無の判断は物理的構造、利用上の独立性及び取引上の独立性を考慮して行います。具体的には経済的効用の独立性、周壁による確定的遮蔽性及び独立の出入口の存在が判断基準となります。新築部分が従前の建物に接して築造され構造上建物としての独立性を欠き従前の建物と一体となって利用され取引されるべき状態にあるときは従前部分と構造的に接合していなくても新築部分は従前の建物に付合します。

立木や樹木についても不動産の付合が問題となります。他人所有の山林を自己所有の山林と誤信して植林し数年間手入れをしてきたとしても樹木は土地に付合し土地の構成部分となります。したがって山林所有者は付着者に対して樹木を伐採し土地から撤去することを求めることはできません。山林を取得して未登記のまま立木を植栽したところ第三者に山林が二重に譲渡され移転登記が経由されたために山林所有権を対抗できなくなった場合には242条ただし書の類推により立木の地盤への付合は遡って否定されます。

農作物についても同様に不動産の付合が問題となります。種が権原を有しない者によって播かれた場合には播かれた種から生育した苗の所有権は土地所有者が取得します。農地を買い受けた者は買受前に売主が播いた種が買受後地上に芽を出して成育した農作物の所有権を取得しえます。判例は権原により付合させた者が農作物の所有権を留保するとしています。

権原に基づく留保所有権を第三者に公示するための対抗要件について判例は稲立毛については不要とし立木については明認方法が必要としています。

動産の付合

243条は所有者を異にする数個の動産が付合により損傷しなければ分離することができなくなったときはその合成物の所有権は主たる動産の所有者に帰属すると定めています。分離するのに過分の費用を要するときも同様です。

244条は付合した動産について主従の区別をすることができないときは各動産の所有者はその付合の時における価格の割合に応じてその合成物を共有すると定めています。

混和

245条は動産の付合に関する243条及び244条の規定を所有者を異にする物が混和して識別することができなくなった場合について準用すると定めています。混和とは異なった所有者に属する物が混じり合って識別できなくなる場合をいいます。

加工

246条1項は他人の動産に工作を加えた者があるときはその加工物の所有権は材料の所有者に帰属すると定めています。ただし工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは加工者がその加工物の所有権を取得します。

246条2項は加工者が材料の一部を供したときはその価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人の材料の価格を超えるときに限り加工者がその加工物の所有権を取得すると定めています。

加工とは他人の動産に工作を加え新たな物を製作することをいいます。建築途中の未だ独立の不動産に至らない段階の建物すなわち建前に第三者が材料を提供して工事を施し独立の不動産である建物に仕上げた場合には建前は土地から独立した動産であるため所有権の帰属は246条2項により決します。建物建築は材料に付して施される工作が特段の価値を有するためです。不動産への加工では加工物は常に不動産所有者に帰属します。

添付の効果

添付の効果として当事者に分離又は復旧は認められずこの規定は強行規定です。所有権は原則として主たる物の所有者又は材料所有者が取得しこの規定は任意規定です。

247条1項は242条から246条までの規定により物の所有権が消滅したときはその物について存する他の権利も消滅すると定めています。この規定は強行規定です。この場合担保物権者は物上代位により旧所有者の有する償還請求権の上に権利を行使することができます。

247条2項はその物の所有者が合成物、混和物又は加工物の単独所有者となったときはその物について存する他の権利は以後その合成物等について存しその物の所有者が合成物等の共有者となったときはその物について存する他の権利は以後その持分について存すると定めています。この規定も強行規定です。

248条は242条から247条までの規定の適用によって損失を受けた者は703条及び704条の規定に従いその償金を請求することができると定めています。添付の効果は242条以下により生じるため法律上の原因なくとはいえないことから248条が設けられました。この償金請求権は不当利得返還請求の本質を有するものであり権利者の一方的意思表示によって法律関係の変動を生じさせるものではなく形成権としての性質を有しません。この規定は任意規定です。

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