所有権の内容

206条は所有者は法令の制限内において自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有すると定めています。所有権の絶対性について使用、収益及び処分の自由と制限とを規定するものです。法令とは憲法29条2項の公共の福祉による制約を示し具体的には法律、条例及び法律の委任ある命令を意味します。

土地所有権の範囲

207条は土地の所有権は法令の制限内においてその土地の上下に及ぶと定めています。

相隣関係の意義

相隣関係とは隣接する不動産の所有者相互間の権利義務関係を調整するための制度であり209条以下に規定されています。

隣地使用権

209条1項は土地の所有者は一定の目的のため必要な範囲内で隣地を使用することができると定めています。令和3年改正により隣地使用請求権から隣地使用権へと変更されました。改正前は隣地所有者が隣地の使用を承諾しなければ判決を得ない限り隣地を使用することができませんでしたが改正後は土地所有権の効用を発揮するため直接使用する権利として構成されています。

隣地使用が認められる目的は境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕、境界標の調査又は境界に関する測量及び233条3項の規定による枝の切取りです。

ただし住家についてはその居住者の承諾がなければ立ち入ることはできません。居住者の平穏な生活やプライバシーを保護する観点に基づくものです。

使用の日時、場所及び方法は隣地の所有者及び隣地を現に使用している者のために損害が最も少ないものを選ばなければなりません。

隣地を使用する者はあらかじめその目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければなりません。隣地使用権が濫用的に行使されることを防止し隣地所有者や隣地使用者に隣地の使用やその方法等について争う機会を与えもって隣地所有者及び隣地使用者の利益を保護する趣旨です。ただしあらかじめ通知することが困難なときは使用を開始した後遅滞なく通知することをもって足ります。隣地所有者等が不明である場合における土地所有者の探索の負担を軽減するとともに隣地所有者等が判明したときにあらためて通知すれば足りるという趣旨であり隣地の使用後隣地所有者等が判明するまでの間に公示による意思表示をする必要はありません。

隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときはその償金を請求することができます。

囲繞地通行権

210条1項は他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は公道に至るためその土地を囲んでいる他の土地を通行することができると定めています。池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも同様です。

公道に通じないとは公道に一応は通じることはできるがその経路や幅員が社会通念に照らすとその土地の用途に応じた利用に不適当である場合を含みます。ただし土地が路地状部分ですでに公道に通じており既存建物所有により土地の利用に支障がない場合は条例所定の幅員に欠けるために増築につき建築確認が得られないとしても通路の拡張を求めることによる囲繞地通行権は成立しません。自動車による通行を前提とする通行権の成否及びその具体的内容は他の土地について自動車による通行を認める必要性、周辺の土地の状況及び自動車による通行を前提とする通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸般の事情を総合考慮して判断すべきとされています。

囲繞地所有者が袋地所有者の通行を妨害する場合は袋地所有者はその所有権に基づく妨害排除ができます。囲繞地の通行に当たり原則的に償金支払が必要となりこれを怠ると債務不履行責任が生じえますが囲繞地所有者は通行権の消滅請求はできません。

袋地の所有権を取得した者は所有権取得登記を経由しなくても囲繞地所有者ないし囲繞地につき利用権を有する者に対して囲繞地通行権を主張できます。公示制度とは無関係であるためです。

通行の場所及び方法

211条1項は通行の場所及び方法は通行権を有する者のために必要でありかつ他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならないと定めています。同条2項は通行権を有する者は必要があるときは通路を開設することができると定めています。

通行に対する償金

212条は通行権を有する者はその通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならないと定めています。ただし通路の開設のために生じた損害に対するものを除き1年ごとにその償金を支払うことができます。

分割又は一部譲渡により袋地が生じた場合

213条1項は分割によって公道に通じない土地が生じたときはその土地の所有者は公道に至るため他の分割者の所有地のみを通行することができると定めています。この場合は償金を支払うことを要しません。同条2項はこの規定を土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用しています。

袋地所有者が他の分割者又は譲渡関係者の所有地のみを通行できるにすぎないとされたのは譲渡や分割と無関係な第三者所有の囲繞地には迷惑を掛けるべきではないためです。また無償通行権が認められるのは分割や譲渡の当事者は袋地の発生を当然予期できるので分割や譲渡の価格等を定める際に通行料等の問題も実質的には処理しているはずであることが根拠とされています。

土地の一部譲渡には同一人の所有する数筆の土地の一部を譲渡した場合、全部を数人に譲渡した場合及び数筆の土地の一部が担保権実行により競売された場合が含まれます。

袋地所有者が後に別の隣接地を取得し自己所有地を通って公路に出ることができるようになった場合は213条の通行権は主張できません。

213条の無償通行の権利と負担は袋地に付着した物権的権利及び負担と解されています。したがって袋地や囲繞地につき特定承継が生じても無償通行の権利と負担は特定承継人に及びます。

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