期間計算

22条は月又は年によって期間を定めたときは暦に従って計算すると定めています。

23条は刑期は裁判が確定した日から起算すると定めています。拘禁されていない日数は裁判が確定した後であっても刑期に算入しません。

24条は受刑の初日は時間にかかわらず1日として計算すると定めています。時効期間の初日についても同様です。刑期が終了した場合における釈放はその終了の日の翌日に行います。

刑の執行猶予の意義

刑の執行猶予とは刑の言い渡しの際に情状によってその執行を一定の期間猶予しその期間を経過したときは刑の言い渡しはその効力を失うとする制度です。その趣旨は刑罰特に自由刑を科すことによって生じる弊害を避けるとともに条件に違反すれば刑が執行されるという心理的強制により犯人の自覚に基づく更生を図る点にあります。刑の執行猶予には刑の全部の執行猶予と刑の一部の執行猶予があります。

刑の全部の執行猶予の要件

初度の執行猶予については25条1項に規定されています。主体としては前に拘禁刑以上の刑に処せられたことがない者又は前に拘禁刑以上の刑に処せられたことがあってもその執行を終わった日若しくはその執行の免除を得た日から5年以内に拘禁刑以上の刑に処せられたことがない者が対象です。今回の宣告刑が3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金であり情状により裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間その刑の全部の執行を猶予することができます。保護観察は任意的です。

再度の執行猶予については25条2項に規定されています。前に拘禁刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行猶予を受けて現に執行猶予中である者が対象です。今回の宣告刑が2年以下の拘禁刑であり情状に特に酌量すべきものがあるときに言い渡すことができます。ただし再度の執行猶予中の保護観察期間内に更に罪を犯した者についてはこの限りではありません。保護観察は必要的です。

令和4年改正により再度の執行猶予の要件が緩和されるとともに保護観察期間内に更に罪を犯してしまった者に対しても再度の執行猶予を言い渡すことが可能になりました。初度の執行猶予を受けた後に任意的に保護観察に付されその期間内に罪を犯してしまった場合でも再度の執行猶予を言い渡すことが可能です。

保護観察

保護観察とは保護観察官又は保護司による指導監督及び補導援護のもとで一定の遵守事項を守りつつ社会内において更生を図ることをいいます。25条の2第1項は初度の執行猶予の場合においては猶予の期間中保護観察に付することができ再度の執行猶予の場合においては猶予の期間中保護観察に付すると定めています。保護観察は行政官庁の処分によって仮に解除することができます。

刑の全部の執行猶予の必要的取消し

26条は刑の全部の執行猶予の必要的取消事由を定めています。猶予の期間内に更に罪を犯して拘禁刑以上の刑に処せられその刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき、猶予の言渡し前に犯した他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられその刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき及び猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したときが必要的取消事由です。ただし3号の場合において猶予の言渡しを受けた者が25条1項2号に掲げる者であるとき又は裁量的取消事由の3号に該当するときはこの限りではありません。

刑の全部の執行猶予の裁量的取消し

26条の2は刑の全部の執行猶予の裁量的取消事由を定めています。猶予の期間内に更に罪を犯し罰金に処せられたとき、保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せずその情状が重いとき及び猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑に処せられその刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したときが裁量的取消事由です。

刑の全部の執行猶予の取消しの場合における他の刑の執行猶予の取消し

26条の3は拘禁刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消したときは執行猶予中の他の拘禁刑についてもその猶予の言渡しを取り消さなければならないと定めています。

猶予期間経過の効果

27条1項は刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは刑の言渡しは効力を失うと定めています。刑の言渡しは効力を失うとは単に刑の執行が免除されるにとどまらず刑の言渡しの効果が将来に向かって消滅することをいいます。したがって法令による資格制限もこれによって消滅します。

令和4年改正前の刑法では執行猶予期間中に更に罪を犯した場合でも判決確定前にその期間が経過してしまえば刑の言渡しは効力を失い執行猶予の取消しができなくなるとされていました。しかしそれでは裁判を引き延ばして執行猶予の取消しを逃れることも可能となってしまい再犯防止の効果が低下するおそれが指摘されていました。そこで令和4年改正刑法は執行猶予期間中に再犯に関する公訴が提起されたときは執行猶予の取消しの可能性がある期間すなわち効力継続期間において前の刑の言渡しは引き続きその効力を有するものとし刑の執行猶予についても言渡しがされているものとみなすこととしました。

効力継続期間中に再犯について拘禁刑以上の実刑判決が確定した場合は前刑に関する執行猶予は必要的に取り消され前刑が執行されることになります。また執行猶予中の他の拘禁刑についてもその猶予の言渡しが取り消されます。効力継続期間中に再犯について罰金に処せられたときは執行猶予の言渡しを取り消すことができます。

刑の一部の執行猶予の意義

刑の一部の執行猶予とは言い渡された刑の一部の期間のみ受刑し残りの期間は刑の執行が猶予されるという制度です。刑の一部の執行猶予の制度は犯罪者を刑事施設内で実際に処遇した後社会内で処遇することにより犯罪者の再犯を防止することを目的としています。

刑の一部の執行猶予の要件

刑の一部の執行猶予が認められるためには前に拘禁刑以上の刑に処せられたことがない者であること又は前に拘禁刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者若しくはその執行を終わった日若しくはその執行の免除を得た日から5年以内に拘禁刑以上の刑に処せられたことがない者であること、3年以下の拘禁刑の言渡しを受ける場合であること及び犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して再び犯罪をすることを防ぐために必要でありかつ相当であると認められることが必要です。猶予の期間は1年以上5年以下です。

刑の一部の執行猶予の期間の起算日

刑の一部の執行を猶予された刑についてはそのうち執行が猶予されなかった部分の期間を執行し当該部分の期間の執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日からその猶予の期間を起算します。なお猶予の期間中保護観察に付することができます。

刑の一部の執行猶予の必要的取消し

27条の4は刑の一部の執行猶予の必要的取消事由を定めています。猶予の言渡し後に更に罪を犯し拘禁刑以上の刑に処せられたとき、猶予の言渡し前に犯した他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたとき及び猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられその刑の全部について執行猶予の言渡しがないことが発覚したときが必要的取消事由です。

刑の一部の執行猶予の裁量的取消し

27条の5は刑の一部の執行猶予の裁量的取消事由を定めています。猶予の言渡し後に更に罪を犯し罰金に処せられたとき及び保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守しなかったときが裁量的取消事由です。

刑の一部の執行猶予の取消しの場合における他の刑の執行猶予の取消し

27条の6は刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消したときは執行猶予中の他の拘禁刑についてもその猶予の言渡しを取り消さなければならないと定めています。

刑の一部の執行猶予の猶予期間経過の効果

刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときはその拘禁刑を執行が猶予されなかった部分の期間を刑期とする拘禁刑に減軽します。この場合において当該部分の期間の執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日において刑の執行を受け終わったものとされます。刑の一部の執行猶予においても27条2項以下と同様に効力継続期間に関する規定が置かれています。

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