民法の基本原則

民法の三大原則として権利能力平等の原則、所有権絶対の原則及び私的自治の原則があります。なお三大原則について所有権絶対の原則、契約自由の原則及び過失責任の原則を挙げる有力説もあります。

私的自治の原則からは個人の意思が積極的に活動する場合の原理として法律行為自由の原則、契約自由の原則、社団設立自由の原則及び遺言自由の原則が派生します。また個人の意思が消極的ないし違法的に活動する場合の原理として過失責任の原則が派生します。

私権の公共の福祉適合性

1条1項は私権は公共の福祉に適合しなければならないと定めています。本条項は私権すなわち私法上認められる権利の内容及び行使は社会共同生活全体の発展と調和しなければならずこれに違反する範囲では私権としての効力を認めないことを明らかにしたものであり私権の社会性を規定しています。

信義誠実の原則

1条2項は権利の行使及び義務の履行は信義に従い誠実に行わなければならないと定めています。本条項は私的取引関係に入った者は相互に相手方の信頼を裏切らないように誠実に行動すべきことを要請するものです。この信義誠実の原則は当初は債権者及び債務者間の関係において問題とされましたが現在では物権関係や身分関係も含め民法全般についても社会一般の倫理観念の要請に背かないようにという意味で広く適用すべき指針と解されています。

判例は公共事業者としてある通信サービス事業を開始するに当たってはそのサービスの内容やその危険性等につき十分な周知を図るとともにその対策を講じておくべき責務があるとして未成年の子が親に無断で利用した通話料の請求を信義則ないし衡平の観念に照らし許されないとしました。

信義則から派生する機能

信義誠実の原則からは以下の機能が派生します。

第一に法律行為すなわち契約の解釈基準としての機能があります。

第二に社会的接触関係に立つ者の間の規範関係を具体化する機能があります。この機能の具体例としては契約締結上の過失、賃貸借関係の解除制限すなわち信頼関係破壊の法理、雇用契約における安全配慮義務及び相隣的な生活妨害における受忍限度があります。また判例は貸金業者は債務者による開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り信義則上金銭消費貸借契約の付随義務として保存している業務帳簿に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負いこの義務に違反して取引履歴の開示を拒絶したときはその行為は違法性を有し不法行為を構成するとしました。さらに判例は土地の売買契約により買主が所有権を取得しその引渡しを受けた後に売主がその土地に第三者のため地上権の設定登記をした場合には売主が買主に対して残代金の支払を催告しその不払を理由に売買契約を解除する旨の意思表示をしても解除の効力は生じないとしました。

第三に明文のない場合や形式的法適用により不都合が生じる場合の準則となる機能があります。この機能には禁反言の原則、クリーンハンズの原則、事情変更の原則及び権利失効の原則があります。判例は消費貸借契約の貸主が積極的に借主の誤信を招くような対応をしたため借主が期限の利益を喪失していないものと信じて各期の支払を継続し貸主も借主が誤信していることを知りながらその誤信を解くことなく弁済金を受領し続けたという事情がある場合には貸主は借主に対し期限の利益を喪失した旨の主張をすることはできないとしました。また判例は不動産の共同相続人の一人が単独相続の登記をしてこれに抵当権を設定しその設定登記をしながら自己の持分を超える部分の抵当権の無効を主張してその抹消登記手続を請求することはできないとしました。

権利濫用の禁止

1条3項は権利の濫用はこれを許さないと定めています。権利の濫用とは外見上は権利の行使のように見えても実際には権利の行使として社会的に許される限度を超え権利の行使として認めることができない場合をいいます。権利の濫用かどうかは当事者ひいては社会一般の利益状況の比較衡量という客観的要件と権利行使者の害意という主観的要件を総合して判断されます。権利濫用の禁止も一般条項の一つであり本条項は1条1項の原則を敷衍するものです。

権利濫用禁止の効果すなわち許さないの意義としては以下のものがあります。第一に権利本来の効力は認められません。他人の形式的な侵害行為を排除することはできず形成権の場合にはその行使によって生じるはずの法律関係は発生しません。第二に正当な範囲を逸脱して他人に損害を与えたときには不法行為として妨害除去あるいは損害賠償を命ぜられる場合があります。第三に権利の濫用が著しいときは権利を剥奪される場合がありますがこの効果は特別の規定がある場合に限定すべきとされています。

各項の関係

1条1項は原理に関する規定ですが2項と3項の適用範囲については争いがあります。この点判例は2項と3項の適用範囲は厳密に区別の必要がなく両者は相互に関連し相まって私権の社会性を規定していると解しています。

解釈の基準

2条はこの法律は個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として解釈しなければならないと定めています。本条は民法も憲法の精神に則って解釈されるべきことを規定したものです。

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