条件の意義
条件とは法律行為の効力の発生又は消滅を将来の不確定な事実の成就にかからしめる法律行為の付款をいいます。法律行為に付款を付することは私的自治の原則から一般的に有効ですが一定の法律行為にはその性質上付款を付けることが許されないことがあります。
条件に親しまない行為
身分行為には条件を付けることは許されません。身分秩序を不安定にし公序良俗に反するためです。婚姻、縁組、相続の承認及び放棄並びに認知がその例です。
単独行為にも条件を付けることは原則として許されません。相手方を一方的に不安定な立場に置くことになるためです。相殺、取消し、追認及び選択債権における選択がその例です。ただし相手方に著しい不利益を与えない場合には許されます。債務者が弁済しないことを停止条件とする解除の意思表示や債務免除に条件を付することは許され実際にも多く行われています。
停止条件と解除条件
127条1項は停止条件付法律行為は停止条件が成就した時からその効力を生ずると定めています。停止条件とは法律行為の効力の発生を将来の不確定な事実の成否にかからしめる法律行為の付款をいいます。
127条2項は解除条件付法律行為は解除条件が成就した時からその効力を失うと定めています。解除条件とは法律行為の効力の消滅を将来の不確定な事実の成否にかからしめる法律行為の付款をいいます。
127条3項は当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときはその意思に従うと定めています。条件成就の効果は原則として条件成就の時に生じますが特約により効果を遡及させることは可能です。
条件の成否未定の間における保護
128条は条件付法律行為の各当事者は条件の成否が未定である間は条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができないと定めています。
129条は条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は一般の規定に従い処分し、相続し若しくは保存し又はそのために担保を供することができると定めています。
条件の成就の妨害
130条1項は条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは相手方はその条件が成就したものとみなすことができると定めています。故意にとは条件の成就を妨げることを認識していることをいいます。もっとも条件成就を妨げたとしても信義則に反するといえない場合には同条1項は適用されません。過失による場合には本条は適用されず損害賠償のみの問題となります。
130条2項は条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは相手方はその条件が成就しなかったものとみなすことができると定めています。不正にとは信義則に反して故意にという意味です。
条件の成就又は不成就とみなすことのできる権利は形成権です。当然に条件が成就又は不成就となるのではなく権利の行使によってその効果が生じます。期待権を有する者の妨害者に対する損害賠償請求権と130条の権利とは選択的に行使することができます。
既成条件
131条1項は条件が法律行為の時に既に成就していた場合において停止条件のときはその法律行為は無条件とし解除条件のときはその法律行為は無効とすると定めています。
131条2項は条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において停止条件のときはその法律行為は無効とし解除条件のときはその法律行為は無条件とすると定めています。
131条3項は上記の場合において当事者が条件が成就したこと又は成就しなかったことを知らない間は条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止及び権利の処分等に関する規定を準用すると定めています。
不法条件
132条は不法な条件を付した法律行為は無効とすると定めています。不法な行為をしないことを条件とするものも同様です。ただし法律行為が全体として不法性を有しない場合には無効とはなりません。
不能条件
133条1項は不能の停止条件を付した法律行為は無効とすると定めています。133条2項は不能の解除条件を付した法律行為は無条件とすると定めています。
随意条件
134条は停止条件付法律行為はその条件が単に債務者の意思のみに係るときは無効とすると定めています。
条件の成否が純粋に当事者の意思のみにかかる場合を純粋随意条件といいます。他方当事者の意思に基づいて他の事実を実現することが必要となる場合を単純随意条件といいます。単純随意条件を停止条件にした法律行為は有効です。
純粋随意条件について停止条件の場合に単に債務者の意思のみにかかるときは無効ですが単に債権者の意思のみにかかるときは有効です。解除条件の場合には単に債務者の意思のみにかかるときも単に債権者の意思のみにかかるときも有効です。
出世払債務
出世払債務の性質については出世しなければ返済しなくてもよいという趣旨であれば貸金返還請求権は停止条件付となります。他方出世するまでは返済を猶予するが出世の見込みがなくなればすぐに返済してもらうという趣旨であれば不確定期限付となります。結局は意思表示の解釈の問題ですが判例は原則として不確定期限と解しています。
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