内閣の組織
内閣は首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣で組織される合議体です。66条1項の法律の定めるところにより組織するという規定を受けて内閣法が制定されています。
内閣総理大臣以外の国務大臣の数は原則として14人以内とされ特に必要がある場合は17人とされています。各大臣は内閣の構成員であると同時に主任の大臣として行政事務を分担管理します。行政事務を分担管理しない無任所の大臣すなわち憲法上の国務大臣の職務に専念する大臣を置いても構いません。
内閣総理大臣の首長たる地位
内閣の首長とされる内閣総理大臣の地位については争いがありますが内閣という合議体を構成する一員である一方で内閣において他の国務大臣の上位にある者と理解する見解が有力です。なお内閣の統括下に形成される行政組織との関係では主任の国務大臣として内閣府の行政事務のうち法定事項を分担管理するほか場合によっては他の各省大臣を兼務することもありえます。
国務大臣の文民資格
66条2項は内閣総理大臣その他の国務大臣は文民でなければならないと規定しています。この趣旨は本来軍隊を文民統制の下に置くことにあります。文民統制とは軍事権を議会に責任を負う大臣すなわち文民によってコントロールし軍の独走を抑止する原則をいいます。
文民の意味については憲法成立当時から争いがあり、さらに自衛隊の創設により事実として文民でない者が存在するに至ったことから文民規定の解釈にも新しい要素が導入されることになりました。なお現役の自衛官は文民ではないことについて学説上異論はありません。
A説は文民とは現在職業軍人でない者を意味するとします。ここにいう職業軍人には現役の自衛官を含みます。
B説は文民とは職業軍人の経歴を有しない者及び現役の自衛官でない者を意味するとします。
C説は文民とは職業軍人の経歴を有しない者、現役の自衛官でない者及び自衛官の経歴を有しない者を意味するとします。
D説は文民とは旧陸海軍の職業軍人の経歴を有する者であって軍国主義思想に深く染まっている者及び現役の自衛官以外の者を意味するとします。
内閣の連帯責任の意義
内閣は行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負います。このことは議院内閣制の基本的要素の一つです。
閣議
内閣がその職権を行うのは閣議によるものとされています。閣議は内閣総理大臣がこれを主宰します。事実上の議事進行を総理大臣の委任を受けて内閣官房長官その他がつとめることを禁止するものではありません。内閣総理大臣は内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することができます。各大臣は案件のいかんを問わず内閣総理大臣に提出して閣議を求めることができます。
閣議とは内閣構成員が会合し議論を経て議決することをいいます。閣議の定足数や表決数などの議事に関する原則については法律にも定めはなく戦前からの慣例に従って運用されています。閣議決定は全員一致で行われますが学説には多数決で足りるとするものもあります。ただし多数決で足りるとしても内閣は連帯して責任を負う以上多数意見に反対した者も責任を負うことに変わりはありません。閣議の議事は秘密とされます。また実際に会合せずに文書を各大臣に持ち回って署名を得る持ち回り閣議も認められています。
連帯責任の内容
内閣の国会に対する責任は法的責任ではなくて政治的責任です。法的責任の場合は刑事責任や民事責任のように責任を問われるべき行為の要件と責任の内容があらかじめ明確に定まっていますが66条3項では責任の原因と内容とも何ら限定されていないことがその理由です。
責任の対象は行政権の行使です。ここにいう行政権とは形式的意味の行政を意味し内閣に属する権限すべてを含むとされています。なお天皇の国事行為に関する助言と承認についての責任が66条3項にいう責任に当たるかについては争いがあります。
責任の相手方は国会です。国会とは両議院を指し内閣は各院に対して責任を負います。国会が内閣に対し責任を追及する方法として質疑、質問、決議、国政調査、内閣提出の重要議案の否決などが挙げられます。
内閣は連帯して責任を負います。これは内閣の一体性の現れです。ただし各大臣が個別に責任を負うことを否定する趣旨ではありません。なお明治憲法においては国務各大臣は天皇を輔弼しその責に任ずると規定され憲法の条文上は国務各大臣の単独責任を建前としていました。
国会の権能と議院の権能
国会の憲法上の権能として憲法改正の発議、法律案の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名、内閣の報告を受ける権利、弾劾裁判所の設置、財政の統制、皇室財産授受の議決があります。国会には法律で付与された権能もあり人事官の訴追、中央選挙管理委員会の指名、緊急事態の布告の承認などがあります。
議院の憲法上の権能として国政調査権、議院規則制定、議員の懲罰、議員の資格争訟の裁判、議員逮捕の許諾及び釈放の要求、会議の公開の停止、役員の選任、国務大臣の出席要求があります。
議院の決議は議院の意思の表明であり一般には法規定立の意味をもたないのでたとえ両院一致の決議であっても国政に関する単なる意見表明にとどまります。ただし内閣の国会に対する連帯責任から決議は内閣に対して政治的かつ道義的拘束力を有します。
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