介在事情が存在しない類型

介在事情が存在しない類型では因果関係が肯定されます。実行行為と行為時の特殊事情が相まって結果が発生した場合でも因果関係は肯定されます。

布団蒸し事件では被告人が強盗の際に被害者の顔面を布団でおおい口を圧迫するなどの暴行を加えたところ被害者が心臓疾患を有していたために急性心臓死により即死した事案について被告人の暴行が被害者の重篤な心臓疾患という特殊の事情さえなかったならば致死の結果を生じなかったであろうと認められ被告人が行為当時その特殊事情のあることを知らず致死の結果を予見することもできなかったとしても暴行がその特殊事情とあいまって致死の結果を生ぜしめたものと認められる以上は暴行と致死の結果との間に因果関係を認める余地があるとされました。

介在事情の寄与度が小さい類型

介在事情の寄与度が小さい類型では因果関係が肯定されます。介在事情は危険の現実化を妨げる事情にならないためです。

大阪南港事件では被告人が被害者の頭部を多数回殴打して意識を失わせた上で資材置き場に運搬して放置したところ何者かが被害者の頭頂部を角材で殴打する暴行を加え翌日被害者が死亡した事案について犯人の暴行により被害者の死因となった傷害が形成された場合には仮にその後第三者により加えられた暴行によって死期が早められたとしても犯人の暴行と被害者の死亡との間の因果関係を肯定することができるとされました。

介在事情の寄与度が大きい類型における因果関係の肯定例

第三者の行為が介在する場合の判例として米兵ひき逃げ事件では被告人が自動車で被害者をはね自動車の屋根にはね上げた状態で走行した後同乗者が走行中に被害者を引きずり降ろして被害者が死亡した事案について同乗者が進行中の自動車の屋根の上から被害者を逆さまに引きずり降ろしアスファルト舗装道路上に転落させるということは経験上普通予想しえられるところではなく死の結果の発生することが経験則上当然予想しえられるところとは到底いえないとして因果関係を否定しました。

トランク監禁追突事件では被告人が被害者を自動車後部のトランク内に押し込み脱出を不能にして走行し停車後に別の自動車の運転手が過失により追突してトランク内の被害者が死亡した事案について被害者の死亡原因が直接的には追突事故を起こした第三者の甚だしい過失行為にあるとしても道路上で停車中の普通乗用自動車後部のトランク内に被害者を監禁した本件監禁行為と被害者の死亡との間の因果関係を肯定することができるとされました。

高速道路停車事件では被告人が他車を高速道路上に停止させた後に後続車が追突して死亡事故が発生した事案について被告人の過失行為はそれ自体において後続車の追突等による人身事故につながる重大な危険性を有していたとし少なからぬ他人の行動等が介在して発生したものであるがそれらは被告人の過失行為及びこれと密接に関連してされた一連の暴行等に誘発されたものであるとして因果関係を肯定しました。

被害者の行為が介在する場合

柔道整復師事件では医師の資格のない柔道整復師が被害者の熱を高め汗を流すこと等を指示したところ被害者がこれを忠実に守り脱水症状を起こし肺炎を併発して死亡した事案について被告人の行為はそれ自体が被害者の病状を悪化させひいては死亡の結果も引き起こしかねない危険性を有していたとし被害者側に医師の診察治療を受けることなく指示に従った落ち度があったとしても因果関係を肯定しました。この判例は相当因果関係説の定式に代えて行為の危険性という概念を用いたものとされています。

夜間潜水事件では夜間潜水の指導中に指導者が不用意に受講生を見失い指導補助者が受講生の空気タンクの残圧量が少ないのを確認したのに水中移動を指示し受講生が空気を使い果たし溺死した事案について指導者の行為はそれ自体が受講生を海中で空気を使い果たし適切な措置を講ずることもできないままに溺死させる結果を引き起こしかねない危険性を持つものであるとし見失った後の指導補助者及び受講生に適切を欠く行動があったとしてもそれは指導者の行為から誘発されたものであるとして因果関係を肯定しました。

高速道路進入事件では被害者が長時間にわたり激しくかつ執拗な暴行を受けた後に隙を見て逃走し高速道路に進入して疾走してきた自動車に追突されて死亡した事案について被害者が高速道路に進入したことはそれ自体極めて危険な行為であるが被害者は極度の恐怖感を抱き必死に逃走を図る過程でとっさにそのような行動を選択したものであり暴行から逃れる方法として著しく不自然かつ不相当であったとはいえないとして因果関係を肯定しました。

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