平等原則と平等権

14条1項が保障する法の下の平等は、国家に対して国民を不合理な形で別異に取り扱ってはならないことを命ずる客観的法規範すなわち平等原則です。また、この規定から国民は平等に取り扱われる権利すなわち差別されない権利を有すると解されています。もっとも、他の人権と異なり平等権は常に他者との比較においてのみ問題となる相対的な権利にすぎずそれ自体としては無内容かつ無定形の権利であるので、平等原則と平等権の区別について特に意義はないものと一般に解されています。

平等原則違反時の処理

自由権に関して平等原則違反がある場合には当該規定を違憲無効とすることで差別が解消されます。一方、社会権や国務請求権に関して平等原則違反がある場合、あくまでも平等原則は他者との比較において等しい取扱いを要求するものにすぎないので、単に当該規定を違憲無効とするだけでは有効な解決とはならず差別の解消のために一定の立法措置が必要となる場合があります。

国籍法違憲判決においてもこの点が問題となりました。同判決は、国籍法3条1項の規定が憲法14条1項に違反すると判示した後、本件区別による違憲の状態を解消するために同項の規定自体を全部無効として準正のあった子の届出による日本国籍の取得をもすべて否定することは同法の趣旨を没却するものであり立法者の合理的意思として想定し難いものであって採り得ない解釈であるとし、結論として原告に日本国籍の取得を認めました。

しかし、裁判所が平等原則違反の判断に基づいて給付を命ずることは裁判所が法律にない新たな国籍取得の要件を創設するものであって国会の本来的な機能である立法作用を行うものとして許されないとの批判があります。これに対し、同判決は本件区別に係る違憲の瑕疵を是正するため国籍法3条1項につき同項を全体として無効とすることなく過剰な要件を設けることにより本件区別を生じさせている部分のみを除いて合理的に解釈した結果として原告に日本国籍の取得を認めたものでありこの解釈は同規定の趣旨及び目的に沿うものであるとしています。

二段階審査

基本的人権、主に自由権に対する規制の憲法適合性は保護範囲、制約、正当化という三段階で審査されるのが通常です。これに対し通説によれば、平等原則は他の比較対象との関係で問題となる相対的な客観的法規範にすぎず固有の保護範囲はないと考えられています。14条1項にいう平等とは相対的平等を意味するので、憲法に違反する差別かどうかは、第一に別異取扱いがあるかどうか、第二にあるとされた場合にはそれが正当化されるかどうかすなわち区別を正当化する合理的な理由があるかどうかという二段階で審査されます。

戸籍法49条事件

事実上の夫婦であるXらに子が生まれたため夫であるXは子の出生の届出をしましたが、戸籍法49条2項1号所定の届書の記載事項である嫡出子又は嫡出でない子の別を記載しなかったため区長により上記届出が受理されませんでした。そこでXらは同号の規定のうち届書に嫡出子又は嫡出でない子の別を記載すべきものと定める部分は婚外子を不当に差別するものであるとして14条1項に違反する旨主張しました。

最高裁判所は、出生の届出は子の出生の事実を報告するものであってその届出によって身分関係の発生等の法的効果を生じさせるものではなく、出生した子が嫡出子又は嫡出でない子のいずれであるかまた嫡出でない子である場合にいかなる身分関係上の地位に置かれるかは民法の親子関係の規定によって決せられるとしました。そして、本件規定は身分関係上及び戸籍処理上の差異を踏まえ戸籍事務を管掌する市町村長の事務処理の便宜に資するものとして出生の届出に係る届書に嫡出子又は嫡出でない子の別を記載すべきことを定めているにとどまるため、本件規定それ自体によって嫡出でない子について嫡出子との間で子又はその父母の法的地位に差異がもたらされるものとはいえないとしました。したがって、本件規定は嫡出でない子について嫡出子との関係で差別的取扱いを定めたものとはいえず14条1項に違反するものではないとしました。

正当化審査の密度

別異取扱いがあるとされた場合、次にその別異取扱いを正当化する合理的な理由があるかどうかを審査します。判例は、区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合又はその具体的な区別と立法目的との間に合理的関連性が認められない場合には当該区別は合理的な理由のない差別として14条1項に反するとしています。

したがって、まずは立法目的に合理的な根拠があるかどうかを検討し、次にその具体的な区別と立法目的との間に合理的関連性が認められるかどうかを検討することになります。その際、第一に区別の対象となっている権利、利益や法的地位の重要性が高い場合、あるいは第二に区別の事由が本人の意思や努力によって変えることができない地位に基づく場合には、区別と立法目的との強い関連性が示されなければ14条1項に違反することになります。

国籍法違憲判決は、重要な法的地位であること及び子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない事柄であることを理由に日本国籍取得の要件に関して区別を生じさせることに合理的な理由があるか否かについては慎重に検討することが必要であるとして審査密度を高め、結論として合理的関連性はないとしました。

特別意味説と判例の立場

学説上では14条1項後段列挙事由に特別の意味をもたせる見解が有力とされています。すなわち、14条1項後段列挙事由は歴史的に特に疑わしい別異取扱いを例示したものであり、これらによる区別は民主主義の理念に照らし原則として不合理なものであるから、これらによる区別の合憲性は厳格審査基準か厳格な合理性の基準を適用して審査すべきであるとする見解です。この見解は、14条1項後段列挙事由以外の事由による区別についてもいわゆる二重の基準論の考え方に基づき、精神的自由や選挙権のような重要な権利について別異取扱いがなされている場合には厳格審査基準を適用すべきであるとする一方、それ以外の経済的自由などについて別異取扱いがなされている場合には合理性の基準を適用すべきであるとしています。

もっとも、判例は14条1項後段列挙事由に特別の意味をもたせておらず、権利、利益や法的地位の重要性と、区別事由の性質すなわち本人の意思や努力によって変えることができない地位かどうかを総合的に考慮し合理的関連性の審査密度のレベルを設定するという考え方を採っているものとされています。

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