組合員の持分の処分及び組合財産の分割
676条1項は組合員は組合財産についてその持分を処分したときはその処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができないと定めています。持分の処分を認めると持分の譲受人と他の組合員との共有となり事業の執行に支障を来すとともに組合債権者にとっても組合財産が減少してしまうためです。
同条2項は組合員は組合財産である債権についてその持分についての権利を単独で行使することができないと定めています。個々の組合員が組合財産に属する債権を自己の持分に応じ分割して行使することはできないとする判例法理を明文化したものであり427条の適用がないことを明確に示すことで組合活動の財産的基盤を確保する趣旨です。組合財産である債権を行使するには全員で共同してのみ行使することができます。組合が有する金銭債権の債務者が組合員に対して金銭債権を有する場合であってもその組合員は自己の債務と相手方の組合に対する金銭債務とを相殺することはできず相手方側からの相殺もできません。
同条3項は組合員は清算前に組合財産の分割を求めることができないと定めています。組合活動の財産的基盤を確保するためです。もっとも組合員全員の合意があれば一部の組合財産を分割することは可能とされています。
組合財産に対する組合員の債権者の権利の行使の禁止
677条は組合員の債権者は組合財産についてその権利を行使することができないと定めています。組合活動の財産的基盤を確保するためです。
他方で組合の債権者は組合財産について権利を行使することができます。金銭債務のように可分であっても各組合員に分割されることなく全額が各組合員に帰属し組合財産が引当てとなるためたとえ組合の債権者が組合員の1人であってもその債権が同人の負担部分について混同により消滅することはなく全額を請求することができるとされています。
組合の債権者は各組合員の個人的な財産に対して権利を行使することもできます。各組合員は個人財産を引当てとする個人的責任を負担するためです。この場合において組合員は組合の債権者に対して負う債務とその債権者に対して有する債権とを相殺することができます。
組合員の加入
677条の2第1項は組合員はその全員の同意によって又は組合契約の定めるところにより新たに組合員を加入させることができると定めています。同条2項は組合の成立後に加入した組合員はその加入前に生じた組合の債務についてはこれを弁済する責任を負わないと定めています。本条2項は任意規定であるので組合の成立後に加入した組合員がその加入前に生じた組合の債務についてこれを弁済する責任を負う旨の別段の定めをすることも許されます。
組合員の脱退
678条1項は組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき又はある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたときは各組合員はいつでも脱退することができると定めています。ただしやむを得ない事由がある場合を除き組合に不利な時期に脱退することができません。脱退の自由を確保しつつ組合及びその事業の存続を図る趣旨です。やむを得ない事由があれば組合に不利益な時期でも脱退することができこの規定は強行法規とされています。
同条2項は組合の存続期間を定めた場合であっても各組合員はやむを得ない事由があるときは脱退することができると定めています。
非任意脱退
679条は組合員は死亡、破産手続開始の決定を受けたこと、後見開始の審判を受けたこと及び除名によって脱退すると定めています。組合員が死亡した場合には原則としてその相続人は組合員とはなりません。もっとも組合解散後に死亡した組合員の相続人は残余財産分配請求権を相続するとされています。
組合員の除名
680条は組合員の除名は正当な事由がある場合に限り他の組合員の一致によってすることができると定めています。ただし除名した組合員にその旨を通知しなければこれをもってその組合員に対抗することができません。除名の要件は正当事由の存在と被除名者以外の組合員全員の同意であり除名の対抗要件として被除名者への通知を要します。
脱退した組合員の責任等
680条の2第1項は脱退した組合員はその脱退前に生じた組合の債務について従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負うと定めています。この場合において債権者が全部の弁済を受けない間は脱退した組合員は組合に担保を供させ又は組合に対して自己に免責を得させることを請求することができます。脱退組合員が脱退後に組合債務を弁済することは他人の債務の弁済に当たるため委託を受けた保証人から事前求償権の請求を受けた債務者と同様の権利を行使できる旨を規定したものです。
同条2項は脱退した組合員は組合の債務を弁済したときは組合に対して求償権を有すると定めています。もっとも脱退組合員が脱退後も債権者に対して債務を負い続けることを想定して脱退の際に通常よりも多額の持分の払戻しがなされたような場合には脱退した組合員が自らの債務として組合債務の履行をすべき旨の合意がされたものと考えられるためかかる場合には脱退組合員は組合に対して求償権を行使することができないと解されています。
脱退した組合員の持分の払戻し
681条1項は脱退した組合員と他の組合員との間の計算は脱退の時における組合財産の状況に従ってしなければならないと定めています。事業の収支がプラスであれば脱退組合員の持分に従って相当する財産を払い戻し収支がマイナスであれば損失分担の割合に従った額を払い込ませることになります。
同条2項は脱退した組合員の持分はその出資の種類を問わず金銭で払い戻すことができると定めています。同条3項は脱退の時にまだ完了していない事項についてはその完了後に計算をすることができると定めています。
組合の解散事由
682条は組合は目的である事業の成功又はその成功の不能、組合契約で定めた存続期間の満了、組合契約で定めた解散の事由の発生及び総組合員の同意によって解散すると定めています。解散とは組合がその目的である事業を達成するための積極的活動をやめ清算手続に入ることをいいます。
組合の解散の請求
683条はやむを得ない事由があるときは各組合員は組合の解散を請求することができると定めています。やむを得ない事由とは組合を解散せざるを得ないやむを得ない事由であって一組合員にとってのやむを得ない事由ではありません。この解散請求は他の組合員に対する一方的意思表示により行われ他の者の同意は不要です。
組合契約の解除の効力
684条は賃貸借の解除の効力に関する620条の規定を組合契約について準用しています。組合の解散はその性質上当然に遡及効は否定されます。組合は解散後も清算手続が終了するまでその限度で存続します。
組合の清算
685条1項は組合が解散したときは清算は総組合員が共同して又はその選任した清算人がこれをすると定めています。同条2項は清算人の選任は組合員の過半数で決すると定めています。業務執行者が存在しても清算人がその者である必要はなく組合契約により任意に決定することも可能であり本条は任意規定です。
686条は業務執行者に関する670条3項から5項まで並びに組合の代理に関する670条の2第2項及び3項の規定を清算人について準用しています。清算業務の執行方法は通常の業務執行者の場合と同様です。
687条は業務執行組合員の辞任及び解任に関する672条の規定を組合契約の定めるところにより組合員の中から清算人を選任した場合について準用しています。
688条1項は清算人の職務として現務の結了、債権の取立て及び債務の弁済並びに残余財産の引渡しを定めています。同条2項は清算人はこれらの職務を行うために必要な一切の行為をすることができると定めています。同条3項は残余財産は各組合員の出資の価額に応じて分割すると定めています。
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