遺言の意義
遺言とは一定の方式で示された個人の意思にこの者の死後それに即した法的効果を与えるという法技術です。
遺言制度の趣旨
個人は死後の自分の財産の行方についてもその意思で自由に決することができます。これを遺言自由の原則といいます。遺言制度はその遺言者の終意を尊重して一定の事項につき遺言者の死後の法律関係が遺言で定められたとおりに実現することを法的に保障するものです。
遺言の性質
遺言は要式行為です。遺言は遺言者の死後に効力を生じるものであるため遺言者の真意を明確にしまた他人の偽造や変造を防止する必要があるためです。
遺言は相手方のない単独行為です。死因贈与が契約であるのとは異なります。
遺言は本人の独立の意思に基づかなければなりません。遺言は遺言者の終意をできるだけ実現する制度であり他人の意思による制約を受けるべきではないためです。したがって制限行為能力制度の適用は排除され代理も許されません。
遺言者はいつでも遺言を撤回できます。受遺者は遺言者の生存中はなんらの権利も期待権ももたないとされています。
遺言は死後行為であり法定事項に限りなすことができます。
遺言によってなしうる行為
遺言でも生前行為によってもなしうる行為として認知、相続人の廃除又はその取消し、遺言の撤回があります。
遺言によってのみなしうる行為として未成年後見人や未成年後見監督人の指定、相続分の指定やその委託、遺産分割方法の指定やその委託、遺産分割の禁止、相続人相互の担保責任の指定、遺贈、遺言執行者の指定やその委託、遺留分侵害額の負担の指定があります。
遺言の方式
960条は遺言は法律に定める方式に従わなければこれをすることができないと定めています。
遺言能力
961条は15歳に達した者は遺言をすることができると定めています。通常の取引行為とは異なり遺言をする場合には遺言者の意思を尊重する必要があるため年齢を15歳に引き下げています。
962条は未成年者の法律行為、成年被後見人の法律行為、保佐人の同意を要する行為等及び補助人の同意を要する旨の審判等の規定は遺言については適用しないと定めています。
963条は遺言者は遺言をする時においてその能力を有しなければならないと定めています。これは通常の法律行為としては当然のことですが遺言という行為が他の法律行為とは異なり行為の時と行為の効力発生の時との間に長い期間が介在することが多いことに鑑み確認規定として規定されたものです。
包括遺贈及び特定遺贈
964条は遺言者は包括又は特定の名義でその財産の全部又は一部を処分することができると定めています。遺贈は遺言者の生前の財産についての処分権の延長として死亡時に残存する財産についての自由な処分を法的に保障したものです。
包括遺贈とは遺産の全部又は一定割合で示された部分の遺産を受遺者に与える遺贈をいいます。包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有します。特定遺贈とは特定の具体的な財産的な利益の遺贈をいいます。
遺贈は自然人のほか法人に対してもすることができます。相続欠格者に当たる場合を除き相続人も受遺者となることができます。
相続人に関する規定の準用
965条は胎児の権利能力及び相続人の欠格事由に関する規定を受遺者について準用しています。
被後見人の遺言の制限
966条1項は被後見人が後見の計算の終了前に後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときはその遺言は無効とすると定めています。同条2項はこの規定は直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人の場合には適用されません。
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