成年後見人の選任
843条1項は家庭裁判所は後見開始の審判をするときは職権で成年後見人を選任すると定めています。同条2項は成年後見人が欠けたときは家庭裁判所は成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で成年後見人を選任すると定めています。同条3項は成年後見人が選任されている場合においても家庭裁判所は必要があると認めるときは更に成年後見人を選任することができると定めています。
成年後見人を選任するには成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければなりません。配偶者がいる場合でも優先的に成年後見人に就任するわけではありません。
成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮
858条は成年後見人は成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては成年被後見人の意思を尊重しかつその心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならないと定めています。
成年後見人の財産管理権及び代理権
859条1項は後見人は被後見人の財産を管理しかつその財産に関する法律行為について被後見人を代表すると定めています。同条2項はその子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には本人の同意を得なければならないという824条ただし書の規定を準用しています。
後見人は善良な管理者の注意をもってその職務を行わなければなりません。これは親権者の注意義務が自己のためにするのと同一の注意であるのとは異なります。
成年後見人が数人ある場合
859条の2第1項は成年後見人が数人あるときは家庭裁判所は職権で数人の成年後見人が共同して又は事務を分掌してその権限を行使すべきことを定めることができるとしています。成年後見人が数人あるときは第三者の意思表示はその1人に対してすれば足ります。
成年被後見人の居住用不動産の処分
859条の3は成年後見人は成年被後見人に代わってその居住の用に供する建物又はその敷地について売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには家庭裁判所の許可を得なければならないと定めています。
成年後見人による郵便物等の管理
860条の2第1項は家庭裁判所は成年後見人がその事務を行うに当たって必要があると認めるときは成年後見人の請求により信書の送達の事業を行う者に対し期間を定めて成年被後見人に宛てた郵便物等を成年後見人に配達すべき旨を嘱託することができると定めています。この嘱託の期間は6か月を超えることができません。
成年後見人は成年被後見人に宛てた郵便物等を受け取ったときはこれを開いて見ることができます。成年後見人はその受け取った郵便物等で成年被後見人の事務に関しないものは速やかに成年被後見人に交付しなければなりません。成年被後見人は成年後見人が受け取った郵便物等の閲覧を求めることができます。
成年後見人の任務が終了したときは家庭裁判所はこの嘱託を取り消さなければなりません。
支出金額の予定及び後見の事務の費用
861条1項は後見人はその就職の初めにおいて被後見人の生活、教育又は療養看護及び財産の管理のために毎年支出すべき金額を予定しなければならないと定めています。同条2項は後見人が後見の事務を行うために必要な費用は被後見人の財産の中から支弁すると定めています。
後見人の報酬
862条は家庭裁判所は後見人及び被後見人の資力その他の事情によって被後見人の財産の中から相当な報酬を後見人に与えることができると定めています。
後見の事務の監督
863条1項は後見監督人又は家庭裁判所はいつでも後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め又は後見の事務若しくは被後見人の財産の状況を調査することができると定めています。同条2項は家庭裁判所は後見監督人、被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命ずることができると定めています。
後見監督人の同意を要する行為
864条は後見人が被後見人に代わって営業若しくは13条1項各号に掲げる行為をし又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには後見監督人があるときはその同意を得なければならないと定めています。ただし元本の領収についてはこの限りではありません。
865条1項はこの規定に違反してし又は同意を与えた行為は被後見人又は後見人が取り消すことができると定めています。
被後見人の財産等の譲受けの取消し
866条1項は後見人が被後見人の財産又は被後見人に対する第三者の権利を譲り受けたときは被後見人はこれを取り消すことができると定めています。
成年後見における身分行為
成年被後見人の養子縁組、離縁、婚姻及び離婚は成年被後見人本人が本心に復したときになすものであり後見人は代理することができません。
未成年被後見人に代わる親権の行使
867条1項は未成年後見人は未成年被後見人に代わって親権を行うと定めています。
868条は親権を行う者が管理権を有しない場合には未成年後見人は財産に関する権限のみを有すると定めています。
後見人の利益相反行為
後見人の利益と被後見人の利益とが相反する行為については後見人は被後見人を代理することができず後見監督人がいる場合を除き特別代理人の選任を家庭裁判所に請求する必要があります。保佐人及び補助人にはこの規定は準用されていません。利益相反行為に該当する場合には無権代理となりますが被後見人の意思に反することをもって直ちに無権代理となるものではありません。
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