教科書訴訟
教科書の出版には文部省の実施する検定に合格することが必要となります。このような教科書検定は教育権の所在との関係で26条に反しないかが問題とされます。なお、教科書訴訟は26条との関係のほかにも21条、23条との関係も問題となります。
第一次教科書訴訟
第一次教科書訴訟の高津判決は、国家教育権説の立場から国の教育内容への関与を大幅に認め教科書検定制度を合憲としました。
その上告審判決は、教科書検定は普通教育においては教育内容が正確かつ中立・公正であり全国的に一定の水準を維持し児童・生徒の心身の発達段階に応じたものでなければならないという要請にこたえるものであるうえに、検定を経た教科書を使用することが教師に憲法上認められた教育上の裁量の余地を奪うものではないから26条に反しないとし、基本的に旭川学テ事件大法廷判決の立場に立って教科書検定を全面的に合憲としました。
なお、第一次教科書訴訟の上告審判決は文部大臣の判断が裁量権の範囲を逸脱した場合には国家賠償法上違法となるとしつつも、本件においては看過し難い過誤があったとは認められず文部大臣の本件各検定処分に裁量権の逸脱の違法があったとはいえないとしました。
第二次教科書訴訟
第二次教科書訴訟の杉本判決は、国民教育権説の立場から国の教育内容への関与を基本的に否定し、大綱的基準を超えた検定は違憲・違法となるとしました。
第三次教科書訴訟
1980年代の検定処分を争って提訴された国家賠償請求訴訟の上告審判決では、4か所の検定処分が裁量逸脱として違法とされました。
平成元年改正教科書検定制度の合憲性
平成元年改正教科書検定制度の合憲性が争われた事件において最高裁は、教育の自由違反について平成5年最判及び平成9年最判を基本的に踏襲して新たな判断を加えることなく教育の自由違反はないとしました。また、憲法21条、23条、31条についてはこれらの規定に違反するものでないことは先例の趣旨に徴して明らかであるとしました。さらに、裁量権の逸脱についてはいずれも看過し難い過誤があったとは認められず裁量権の範囲の逸脱はないとしました。
学習指導要領の意義
学習指導要領とは、学校教育法施行規則に基づいて定められた教育課程全般にわたる配慮事項や総合学習時間の取扱いなどの総則と、各教科、道徳及び特別活動の目標、内容及び内容の取扱いを定める告示です。
学習指導要領の法的性質
学習指導要領は告示にすぎず法的拘束力の有無について争いがありましたが、判例は法的拘束力を認める傾向にあります。
旭川学テ事件において最高裁は、学習指導要領が全体としては大綱的基準といえるので教育基本法の禁止する不当な介入に当たらないとしました。
伝習館高校事件
伝習館高校事件は、教育委員会が教科書を使わず授業を行うなどした教諭を懲戒免職したことに対し、教師は憲法23条に基づき独自の教育の自由を有することなどから学習指導要領は法的性質を有せずそれに基づく処分が違法であると争われた事案です。
最高裁は、高等学校の教育は高等普通教育及び専門教育を施すことを目的とするものではあるが中学校の教育の基礎の上に立って所定の修業年限の間にその目的を達成しなければならず、また高等学校においても教師が依然生徒に対し相当な影響力・支配力を有しており生徒の側にはいまだ教師の教育内容を批判する十分な能力は備わっておらず教師を選択する余地も大きくないとしました。これらの点からして、国が教育の一定水準を維持しつつ高等学校教育の目的達成に資するために高等学校教育の内容及び方法について遵守すべき基準を定立する必要があり、特に法規によってそのような基準が定立されている事柄については教育の具体的内容及び方法につき高等学校の教師に認められるべき裁量にもおのずから制約が存するとしました。
なお、同日付けの別事件である伝習館高校事件判決は、高等学校学習指導要領は法規としての性質を有すると判示しています。
教育を受けさせる義務の意義
26条2項前段の教育を受けさせる義務は、1項の教育を受ける権利を実質化するため定められたものです。
教育を受けさせる義務は親権者が負うのであって子どもに義務があるわけではありません。また、子女を使用する者も義務を負います。保護者がこの義務に違反した場合には制裁が科されます。
なお、教育を受けさせる義務は普通教育を受けさせる義務であり、学校教育を受けさせる義務に限られます。
教育を受けさせる義務の内容
教育を受けさせる義務の内容は法律の定めるところによります。これを受けて教育基本法・学校教育法が制定されています。
平成18年改正教育基本法はこれまでの教育基本法の理念を維持しつつ、道徳心、自律心、公共の精神など新しい時代の教育の基本理念を明示しています。とりわけ愛国心条項は憲法19条との関係で議論の余地があるとされます。
就学義務の猶予・免除
児童の保護者は、児童が病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため就学困難と認められる場合には、市町村の教育委員会によって就学義務の猶予ないし免除を受けることができます。その他やむを得ない事由には児童の失踪、少年院への収容等が含まれます。
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