汚職の罪の保護法益
汚職の罪の保護法益は第一次的には国家の司法及び行政作用の適正な運営であり第二次的には職権濫用の相手方となる個人の法益です。
公務員職権濫用罪
193条は公務員がその職権を濫用して人に義務のないことを行わせ又は権利の行使を妨害したときは2年以下の拘禁刑に処すると定めています。
職権の濫用の意義
職権を濫用するとは一般的職務権限に属する事項について不当な目的のために不法な方法によって行為することを指します。
職権とは公務員の一般的職務権限のすべてをいうのではなくそのうち職権行使の相手方に対し法律上又は事実上の負担ないし不利益を生ぜしめるに足りる特別の職務権限をいいます。職権は必ずしも法律上の強制力を伴うものであることを要しません。また職権には個別的かつ具体的に厳密な法的根拠は必要ありません。
濫用とは公務員がその一般的職務権限に属する事項につき職権の行使に仮託して実質的かつ具体的に違法又は不当な行為をすることをいいます。
公務員の不法な行為が職務としてなされたとしても職権を濫用して行われていないときは本罪が成立する余地はありません。その反面として公務員の不法な行為が職務とかかわりなくなされたとしても職権を濫用して行われたときは本罪が成立することがあります。
公務員職権濫用罪の結果
本罪に未遂犯処罰規定はないので本罪は人に義務のないことを行わせ又は権利の行使を妨害したという結果が発生したときにのみ成立します。
義務のないことを行わせとは法律上全然義務がないのに行わせ又は義務がある場合に不当もしくは不法に義務の態様を変更して行わせることをいいます。権利の行使を妨害しの権利とは法律上明記された権利に限らず法律上保護される利益であれば足ります。
本罪の成立には必ずしも職権行使の相手方の意思に直接働きかけそれを制圧することまで要しません。
特別公務員職権濫用罪
194条は裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して人を逮捕し又は監禁したときは6月以上10年以下の拘禁刑に処すると定めています。
裁判、検察若しくは警察の職務を行う者とは裁判官、検察官及び司法警察員を意味します。これらの職務を補助する者とは裁判所書記官、検察事務官及び司法巡査などその職務上補助者の地位にある者をいいます。単なる事実上の補助者は職務を補助する職務権限を何ら有するものではないので補助する者にはあたりません。
本罪は特定の公務員を主体とした身分犯であり通常の逮捕監禁罪よりも重く処罰する不真正身分犯です。
特別公務員暴行陵虐罪
195条1項は裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者がその職務を行うにあたり被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは7年以下の拘禁刑に処すると定めています。同条2項は法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも同様に処すると定めています。
この場合の暴行は広義の暴行を指します。陵辱若しくは加虐の行為すなわち陵虐とは侮辱的言動や食事及び用便を妨げる行為やわいせつな行為などによって肉体的又は精神的に苦痛を与えることをいいます。
特別公務員職権濫用等致死傷罪
196条は特別公務員職権濫用罪及び特別公務員暴行陵虐罪を犯しよって人を死傷させた者は傷害の罪と比較して重い刑により処断すると定めています。
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