延焼罪
111条1項は自己所有の非現住建造物等放火罪又は自己所有の建造物等以外放火罪を犯しよって現住建造物等又は他人所有の非現住建造物等に延焼させたときは3月以上10年以下の拘禁刑に処すると定めています。同条2項は自己所有の建造物等以外放火罪を犯しよって他人所有の建造物等以外の物に延焼させたときは3年以下の拘禁刑に処すると定めています。
延焼とは犯人の予期しなかった客体に焼損の結果を生じさせることをいいます。本罪は自己所有物件に対する放火罪の結果的加重犯であるため延焼の結果について表象及び認容がないことを必要とします。
延焼罪の客体である109条1項及び110条1項所定の物件には115条により他人所有物として扱われる自己所有物も含まれるとするのが多数説です。
未遂罪及び予備罪
112条は現住建造物等放火罪及び他人所有の非現住建造物等放火罪の未遂は罰すると定めています。113条は現住建造物等放火罪又は他人所有の非現住建造物等放火罪を犯す目的でその予備をした者は2年以下の拘禁刑に処すると定めています。ただし情状によりその刑を免除することができます。
消火妨害罪
114条は火災の際に消火用の物を隠匿し若しくは損壊し又はその他の方法により消火を妨害した者は1年以上10年以下の拘禁刑に処すると定めています。火災はその発生原因を問いませんが本罪が公共危険犯であると解される以上公共の危険を生じ得る程度の燃焼状態に達していることが必要です。隠匿及び損壊は例示にすぎず妨害の方法や手段に制限はありません。不作為による場合は居住者、警備員、消防職員等法律上の作為義務があることが必要です。
差押え等に係る自己の物に関する特例
115条は109条1項及び110条1項に規定する物が自己の所有に係るものであっても差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、配偶者居住権が設定され又は保険に付したものである場合においてこれを焼損したときは他人の物を焼損した者の例によると定めています。これらの物は犯人自身の所有物でも犯人以外の受益主体が存在しその者の財産的法益を保護する必要があるため他人の物と同様に扱うこととされています。
失火罪
116条1項は失火により現住建造物等又は他人の所有に係る非現住建造物等を焼損した者は50万円以下の罰金に処すると定めています。同条2項は失火により自己の所有に係る非現住建造物等又は建造物等以外の物を焼損しよって公共の危険を生じさせた者も同様に処すると定めています。
失火とは過失により出火させることであり過失犯です。失火により現住建造物等又は他人所有非現住建造物等を焼損した場合には116条1項の失火罪が成立し抽象的危険犯です。失火により自己所有非現住建造物等又は建造物等以外の物を焼損しよって公共の危険を生じさせた場合には116条2項の失火罪が成立し具体的危険犯です。
激発物破裂罪
117条1項は火薬やボイラーその他の激発すべき物を破裂させて現住建造物等又は他人の所有に係る非現住建造物等を損壊した者は放火の例によると定めています。自己の所有に係る非現住建造物等又は建造物等以外の物を損壊しよって公共の危険を生じさせた者も同様です。同条2項は前項の行為が過失によるときは失火の例によると定めています。激発すべき物とは火薬等の例示のほかプロパンガスや高圧ガスボンベ等を含みます。
業務上失火罪及び重失火罪
117条の2は失火罪又は激発物破裂罪1項の行為が業務上必要な注意を怠ったことによるとき又は重大な過失によるときは3年以下の拘禁刑又は150万円以下の罰金に処すると定めています。
業務上失火罪における業務とは特に職務として火気の安全に配慮すべき社会生活上の地位に基づく事務をいい不真正身分犯です。調理師等がこれにあたりますが家庭の主婦は業務者にあたりません。
重失火罪における重大な過失とは注意義務違反の程度が著しい場合をいいます。
ガス漏出等罪及び同致死傷罪
118条1項はガス、電気又は蒸気を漏出させ、流出させ又は遮断しよって人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処すると定めています。同条2項はガス、電気又は蒸気を漏出させ、流出させ又は遮断しよって人を死傷させた者は傷害の罪と比較して重い刑により処断すると定めています。
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