秘密を侵す罪の保護法益

秘密を侵す罪の保護法益は個人の秘密です。

信書開封罪

133条は正当な理由がないのに封をしてある信書を開けた者は1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金に処すると定めています。

封とは受信者以外の者にその内容を外部から認識できないように施した信書と一体をなす外包装置をいいます。信書とは特定人から特定人に対して宛てた意思の伝達を媒介すべき文書をいいます。開けたとは封緘を破棄して信書の内容を知りうる状態を作り出すことをいい抽象的危険犯です。信書の内容を読んだり実際に了知したりする必要はありません。

正当な理由は信書の開封が法令上認められている場合や親権者が監護権の範囲内で子への手紙を開封する場合などに認められます。これらの場合や権利者が開封に承諾している場合には本罪は成立しません。

秘密漏示罪

134条1項は医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が正当な理由がないのにその業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処すると定めています。同条2項は宗教、祈禱若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が正当な理由がないのにその業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも同様に処すると定めています。

秘密漏示罪の主体は条文に列挙された者に限られ本罪は真正身分犯です。

秘密漏示罪の客体

秘密とは少数者にしか知られていない事実で他人に知られることが本人の不利益となるものをいいます。人は現存することを要しますが法人や法人格のない団体を含めてもよいとされています。もっとも国又は地方公共団体は含まれません。裁判手続等において後に公開される可能性のある事項であっても人の秘密として保護の対象になりえます。

秘密はそれぞれの身分者が業務を遂行する過程で知ったものでなければなりません。業務上知った人の秘密である限り本人から告げられたか否かを問わず推理や調査等によって知り得た場合を含みます。

医師が医学的判断を内容とする鑑定を命じられた場合その鑑定の実施は医師の業務といえるため医師が当該鑑定を行う過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為には秘密漏示罪が成立します。この場合人の秘密には鑑定対象者本人の秘密のほか同鑑定を行う過程で知り得た鑑定対象者本人以外の者の秘密も含まれるとされています。

秘密漏示罪の行為

漏らしたとは秘密を知らない人に告知する行為をいいます。名誉毀損罪や侮辱罪のように公然性は要件とされていないので誰か1人に告知する行為であっても本罪が成立します。本罪は抽象的危険犯であるため相手方が現に秘密を知ったことは不要であり告知が相手方に到達すれば既遂となります。

秘密漏示罪の違法性阻却事由

秘密を漏らす行為は正当な理由がないのに行われた場合に違法となります。違法性が阻却される場合として法令上告知義務を負う場合、本人の同意がある場合及び医師や弁護士などが業務上知り得た秘密について第三者の利益を守るために他人の秘密を漏洩する場合などがあります。

親告罪

135条は秘密を侵す罪は告訴がなければ公訴を提起することができないと定めています。本罪が親告罪とされているのは訴追されることによって発信者又は受信者の秘密が公になり被害者にとってかえって不利益となることに配慮したものです。

あへん煙に関する罪の保護法益

あへん煙に関する罪の保護法益は公衆の健康です。実際には薬物犯罪は刑法典以外の特別刑法で処理されています。

あへん煙に関する罪の各犯罪類型

136条はあへん煙を輸入し、製造し、販売し又は販売の目的で所持した者は6月以上7年以下の拘禁刑に処すると定めています。

137条はあへん煙を吸食する器具を輸入し、製造し、販売し又は販売の目的で所持した者は3月以上5年以下の拘禁刑に処すると定めています。

138条は税関職員があへん煙又はあへん煙を吸食するための器具を輸入し又はこれらの輸入を許したときは1年以上10年以下の拘禁刑に処すると定めています。

139条1項はあへん煙を吸食した者は3年以下の拘禁刑に処すると定めています。同条2項はあへん煙の吸食のため建物又は室を提供して利益を図った者は6月以上7年以下の拘禁刑に処すると定めています。

140条はあへん煙又はあへん煙を吸食するための器具を所持した者は1年以下の拘禁刑に処すると定めています。

141条はあへん煙に関する罪の未遂は罰すると定めています。

飲料水に関する罪の保護法益

飲料水に関する罪の保護法益は公衆の健康です。

浄水汚染罪

142条は人の飲料に供する浄水を汚染しよって使用することができないようにした者は6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処すると定めています。

水道汚染罪

143条は水道により公衆に供給する飲料の浄水又はその水源を汚染しよって使用することができないようにした者は6月以上7年以下の拘禁刑に処すると定めています。

浄水毒物等混入罪

144条は人の飲料に供する浄水に毒物その他人の健康を害すべき物を混入した者は3年以下の拘禁刑に処すると定めています。

浄水汚染等致死傷罪

145条は浄水汚染罪、水道汚染罪又は浄水毒物等混入罪を犯しよって人を死傷させた者は傷害の罪と比較して重い刑により処断すると定めています。

水道毒物等混入罪及び同致死罪

146条は水道により公衆に供給する飲料の浄水又はその水源に毒物その他人の健康を害すべき物を混入した者は2年以上の有期拘禁刑に処すると定めています。よって人を死亡させた者は死刑又は無期若しくは5年以上の拘禁刑に処するとされています。

水道損壊及び閉塞罪

147条は公衆の飲料に供する浄水の水道を損壊し又は閉塞した者は1年以上10年以下の拘禁刑に処すると定めています。

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