故意の意義

38条1項は罪を犯す意思がない行為は罰しないと定めています。故意とは犯罪事実の認識と認容をいいます。犯罪は原則として故意によるものであることが必要であり過失犯の処罰は例外です。

故意の体系上の位置付け

故意は本来責任要素とされますが構成要件要素として位置付ける学説が多くなっています。そのうえで故意を構成要件的故意と責任要素としての故意である責任故意とに分けて考える立場が根強く主張されています。構成要件的故意は構成要件該当性を基礎付ける客観的事実の認識と認容です。責任故意は違法性を基礎付ける事実の認識と認容及び違法性の意識又は違法性の意識の可能性を内容とします。

故意の認識的要素

故意の成立には構成要件該当事実の認識が必要です。構成要件該当事実には記述的要素と規範的要素があり認識的要素としてはこれらの外形的事実の認識と意味の認識が必要とされています。もっとも事実の認識があれば意味の認識は不要であるとする見解もあります。

記述的要素の認識

記述的要素とは構成要件要素の存否の認定について価値判断を入れずに裁判官の解釈ないし認識的活動によって確定できる要素を指します。具体的には行為の主体、行為の客体、行為それ自体、行為の状況、結果及び因果関係などが挙げられます。

判例は禁猟獣であるたぬきとむじなが動物学上は同一でありながら一般の習俗上は別物と考えられていた事案において被告人がむじなはたぬきと別物であると信じて捕獲した場合は禁猟獣であるたぬきを捕獲するという認識を欠くがゆえに犯意を阻却するとしました。この事案では被告人は禁猟獣と捕獲した動物は別物であると明確に認識しており一般人も両者は別物であると考えていたため被告人の認識事実から違法性を意識することは不可能であり事実の錯誤として故意が阻却されます。

一方禁猟獣むささびの俗称がもまであり両者が同一であることが一般に知られていた事案において被告人がもまとして捕獲した場合は事実の認識に欠けるところはなく法律の不知にすぎず故意を阻却しないとされました。

また判例は実父名義の営業許可により公衆浴場を営業していた被告人が県係官の教示に従い名義変更届が受理されたと信じて営業を続けていた場合は無許可営業罪の故意は認められないとしています。

規範的要素の認識

規範的要素とは構成要件要素の存否の認定について裁判官の規範的かつ評価的な価値判断を要する構成要件要素を指します。物の他人性、文書性及びわいせつ性などがその例です。素人が一般に行いうる認識があれば足り法的概念として認識する必要はないとするのが一般的です。

判例はわいせつ物頒布罪のわいせつ性の認識について問題となる記載の存在の認識とこれを頒布販売することの認識があれば足り所定のわいせつ性を具備するかどうかまでの認識は必要としないとしています。これに対して学説は一般の人が性的興味を抱くような意味内容の文書であるという認識を欠けば故意は成立しないと批判しています。

判例は乗車定員が大型自動車に該当する11人以上である自動車の座席の一部が取り外されて現実に存する席が10人分以下となった場合でも乗車定員の変更について自動車検査証の記入を受けていないときは当該自動車は道路交通法上の大型自動車に当たるとし本件車両の席の状況を認識しながらこれを普通自動車免許で運転した被告人には無免許運転の故意を認めることができるとしています。

認識不要の場合

処罰阻却事由は構成要件該当事実ではないので故意の認識対象とはなりません。また結果的加重犯は加重結果について認識がないことが前提となっている犯罪であるので結果的加重犯における加重結果も故意の認識対象とはなりません。

故意の意思的要素

認識の内容を実現する意思である意思的要素の要否については故意の本質と関連して争いがあります。認容説は犯罪事実の認識と認容が故意の要件であるとする見解です。

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