権利能力の意義
権利能力とは権利を得義務を負いうる能力を意味し近代の自然法思想に基づきすべての個人に強行的に与えられています。3条1項は私権の享有は出生に始まると定めまた3条2項は外国人は法令又は条約の規定により禁止される場合を除き私権を享有すると定めています。本条は憲法14条を受けて自然人は平等に完全な権利能力を有する旨を間接的に宣明したものです。
自然人の権利能力に関する規定は強行規定であり契約により制限できません。したがって成年被後見人や破産手続開始の決定を受けた者も権利能力を有します。
権利能力の始期と終期
権利能力の始期は出生です。出生とは胎児が母体から全部露出することをいいます。出生届の有無は権利能力の取得に関係ありません。
自然人の権利能力は死亡のみによって消滅します。
胎児の権利能力
胎児には原則として権利能力がありません。したがって胎児は認知の訴えを提起することができず母も胎児を代理して認知の訴えを提起できません。もっとも胎児に対する父親の認知は胎児の出生前に父親が死亡しても影響を受けません。
例外として不法行為に基づく損害賠償請求権、相続及び遺贈については胎児はすでに生まれたものとみなされます。
既に生まれたものとみなすの意味
既に生まれたものとみなすの意味については二つの解釈があります。
停止条件説は判例の立場であり胎児が生きて生まれると相続の開始や不法行為の時に遡って権利能力を取得するのであって胎児の間は彼の条件付権利を保全すべき代理人はいないとします。この見解によれば母が胎児を代理して加害者と和解することはできず母が相続放棄しても胎児が放棄したことにはなりません。
解除条件説はみなすとはあたかも未成年者と同じに扱う趣旨であり法定代理人もいるが死産すると遡って権利能力がなかったことになるとします。この見解によれば胎児は出生前でも損害賠償請求権を行使でき母が胎児のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に限定承認又は放棄をしなかった場合は胎児は単純承認したものとみなされます。また胎児の父親が死亡しその後胎児が死体で生まれたときには被相続人の実父は最初から相続人であったことになります。さらに母は胎児の出生前に胎児を共同相続人として遺産分割をすることができますがこの場合利益相反となります。
外国人の権利能力
3条2項は諸国の立法例にならい例外を認めつつも原則として外国人にも権利能力を認めています。
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