請負人の担保責任

請負契約は有償契約であるため請負人の完成した仕事の目的物に契約不適合がある場合には売買における売主と同様に請負人も担保責任を負います。すなわち請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したときは注文者は履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができます。目的物の引渡しを要しない場合にあっては仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないときに注文者はこれらの請求ができます。なお請負人は注文者との間で担保責任を負わない旨の特約をすることも可能です。

注文者の材料又は指図による不適合

636条は注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として注文者が履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることはできないと定めています。売買と異なり請負には注文者が請負人に材料を提供したり指図したりするという特徴があるためです。

ただし請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは原則に戻り注文者は履行の追完の請求等をすることができます。

修補に代わる損害賠償と報酬請求権の同時履行

注文者は目的物の修補請求が可能な場合であっても修補に代わる損害賠償請求をすることができます。目的物の修補に代わる損害賠償請求は債務の履行に代わる損害賠償として請負人の報酬請求権と同時履行の関係に立ちます。

注文者が同時履行の抗弁として支払を拒むことができるのは損害相当額を限度とする部分に限らず報酬の全額と解されています。注文者が目的物の修補を請求した場合にはその修補請求の履行と報酬請求権の履行は全額において同時履行の関係に立つのであって注文者が修補に代わる損害賠償を請求した場合に損害相当額の限度でしか同時履行の関係に立たないとするのでは両請求権の間に不均衡が生じるためです。

担保責任の期間の制限

637条1項は注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは注文者はその不適合を理由として履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができないと定めています。

目的物を引き渡した後は履行が終了したという請負人の期待を保護する必要がある一方で注文者が契約不適合を知らない場合でも1年以内に権利を行使しなければ失権するというのでは注文者にとって過度の負担となります。そこで売買における規律と同様に注文者に対して契約内容の不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知する義務を課しその通知を怠ったときは注文者の権利を失うという失権効が規定されています。

同条2項は仕事の目的物を注文者に引き渡した時において請負人がその不適合を知り又は重大な過失によって知らなかったときはこの通知義務に関する規定は適用されないと定めています。引渡しの時に不適合を知り又は重大な過失によって知らなかった請負人を注文者からの通知がないからとの理由で免責するのは不当であるためです。

注文者による契約の解除

641条は請負人が仕事を完成しない間は注文者はいつでも損害を賠償して契約の解除をすることができると定めています。

契約成立後に何らかの事情で注文者がもはや請負人による仕事の完成を必要としないと考えるに至った場合にまで請負人の仕事を継続させることは注文者にとっては無用のことであり社会経済上も不利益であるため注文者の解除権が認められています。

注文者は契約の成立後仕事完成前であればいつでも解除権を行使することができます。損害を賠償して契約の解除をすると定められていますが解除前においては損害額が不明確でその算定も困難であるためまず解除をしその後に請負人に損害があればその賠償責任を負うものと解されています。すなわち解除権行使の方法は単なる意思表示で足り損害賠償の提供を要しません。解除権の行使により請負契約は遡及的に消滅します。

注文者の破産手続開始による解除

642条1項は注文者が破産手続開始の決定を受けたときは請負人又は破産管財人は契約の解除をすることができると定めています。ただし請負人による契約の解除については仕事を完成した後はこの限りではありません。

後払である請負人の報酬債権を確保して請負人を保護すべく本来当然には契約に影響を与えない注文者の破産手続開始の決定をもって請負人及び破産管財人に請負契約の解除権を与えるものです。仕事が既に完成した後は請負人を保護するという趣旨が妥当しないためその場合は請負人の解除権は認められていません。なお請負人が破産手続開始の決定を受けても注文者に解除権は発生しません。

同条2項は請負人は既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について破産財団の配当に加入することができると定めています。同条3項は契約の解除によって生じた損害の賠償は破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り請求することができると定めています。この場合において請負人はその損害賠償について破産財団の配当に加入します。

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