法律案の意義

法律案とは国会によって制定されるべき法律すなわち形式的意味の法律の原案として議院の審議に付されるものをいいます。法律案の提出権すなわち発案権について59条は規定していませんが、国会が国の唯一の立法機関であることから各議院の議員が法律案を提出することができます。

議員が議案を発議するには衆議院においては議員20人以上、参議院においては議員10人以上の賛成を要します。予算を伴う法律案を発議するには衆議院においては議員50人以上、参議院においては議員20人以上の賛成を要します。

法律案の可決

法律案は両議院で可決したとき法律となります。公布により成立するわけではありません。可決とは表決の対象となった案を可とする議決をいいます。当初提出された法律案に修正を加えられた案を可と議決する修正可決も可決に含まれます。両議院での可決とは同じ内容の法律案について両議院が可決したことをいいます。修正可決の場合は当初の案に同じ修正を加えたものが両議院で可決されなければなりません。

衆議院の再議決

この憲法に特別の定のある場合には両議院の可決がなくとも法律が成立します。第一に衆議院の特別多数による再議決の場合があります。衆議院で可決し参議院でこれと異なった議決をした法律案は衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは法律となります。これは参議院の意思にかかわらず衆議院の意思のみによって法律を成立させることができるものであり衆議院の参議院に対する優越です。

参議院でこれと異なった議決をするとは衆議院で可決して参議院に送付した法律案を参議院が否決した場合及びそれに修正を加えて可決した場合をいいます。

第二に参議院の緊急集会の場合があり、参議院の意思だけで法律を成立させることを可能としています。

みなし否決と再可決

参議院が衆議院の可決した法律案を受け取った後国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しないときは、衆議院は参議院がその法律案を否決したものとみなすことができます。これにより衆議院は再可決によって法律を成立させることができます。

両院協議会の意義

両院協議会とは両院の議決が異なった場合にその間の妥協を図るために設けられる協議機関をいいます。両院の独立活動の原則の例外です。

任意的両院協議会と必要的両院協議会

両院協議会には任意的なものと必要的なものがあります。

法律案の議決の場合は衆議院には3分の2による再議決権があるから任意的両院協議会であり、衆議院が要求したとき又は参議院が要求して衆議院が同意したときに両院協議会が開催されます。

予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名の場合は衆議院には3分の2による再議決権が認められていないことに対応して必ず両院協議会を開かなければなりません。両院協議会でも協議がまとまらないときには衆議院の議決が国会の議決とされます。

予算、条約及び法律案を除く国会の議決を要する案件について後議の議院が先議の議院の議決に同意しないときには先議の議院は両院協議会を求めることができ、協議を求められた議院はこれを拒めません。

両院協議会の手続

両院協議会はその性質上秘密会であり傍聴を許しません。両院協議会の定足数は各議院の協議委員の各3分の2以上です。協議案は出席協議委員の3分の2以上の多数で議決されたときに成案となります。その他の場合は出席協議委員の過半数で決し可否同数のときは議長が決します。

成案は両院協議会を求めた議院においてまず審議を行いついで他の議院に送付されますが成案についてさらに修正することは許されません。

本会議と委員会と両院協議会の比較

本会議の定足数は総議員の3分の1以上であり表決数は原則として出席議員の過半数で可否同数のときは議長が決します。本会議は原則として公開ですが出席議員の3分の2以上の多数で議決したときには秘密会とすることができます。秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は公表及び頒布しなければなりません。

委員会の定足数は委員の半数以上であり表決数は出席委員の過半数で可否同数のときは委員長が決します。委員会は原則として非公開ですが議員のほか報道の任務にあたる者その他の者で委員長の許可を得た者が会議を傍聴もしくは報道することができます。委員会はその決議により秘密会とすることもできます。

予算の議決

60条は予算の議決について規定しています。予算を作成し国会に提出する権限は内閣に専属しますが本条1項に従って内閣は衆議院に先に提出しなければなりません。これが衆議院の予算先議権です。なお内閣提出の法律案は両議院のどちらに先に提出することも自由ですが予算に関係のある法律案は本条1項の精神に従って衆議院に先に提出されるのが通例です。

予算は両議院の可決によって成立しますが法律の場合以上に衆議院の優越が認められます。参議院で衆議院と異なった議決をしたときに両院協議会を開きそれでも意見が一致しない場合又は参議院が衆議院の可決した予算を受け取った後国会休会中の期間を除いて30日以内に議決しない場合には衆議院の議決が国会の議決となり予算は参議院の意思にかかわらず成立します。

衆議院の可決した予算の送付を受けた参議院が議決しないうちに衆議院が解散された場合には衆議院の可決した予算の送付を受けてから30日の期間が経過しても予算は成立しません。

予算は参議院の緊急集会において成立させることができます。衆議院の予算先議権はあくまで衆参両議院がともに活動している場合の問題であるから参議院の緊急集会において参議院のみで予算を成立させることができても衆議院の予算先議権と抵触しません。

両院協議会で成案が得られても直ちに国会の議決を経たとはいえません。成案が得られてもまず両院協議会を求めた議院において審議され次に他方の議院に送付され最終的には両院の可決が必要となります。この場合各議院はその成案に更なる修正を加えることは許されません。

条約の承認についての衆議院の優越

61条は条約の締結に必要な国会の承認については60条2項の規定を準用すると規定しています。予算の議決の場合と違い条約の承認には衆議院の先議は要求されません。本条は60条2項だけを準用し同条1項を準用していないためです。条約の承認に関し参議院で衆議院と異なった議決をした場合は両院協議会を必ず開かなければなりません。

議決に関する知識の整理

法律案については衆議院の先議権はなく参議院に与えられた議決期間は60日であり、参議院が議決しない場合は否決したものとみなすことができ、再議決が必要で出席議員の3分の2以上の多数決が必要とされており、両院協議会の開催は任意的です。

予算については衆議院の先議権があり参議院に与えられた議決期間は30日であり、参議院が議決しない場合は衆議院の議決が国会の議決となり、再議決は不要であり、両院協議会の開催は必要的です。

条約については衆議院の先議権はなく参議院に与えられた議決期間は30日であり、参議院が議決しない場合は衆議院の議決が国会の議決となり、再議決は不要であり、両院協議会の開催は必要的です。

内閣総理大臣の指名については衆議院の先議権はなく参議院に与えられた議決期間は10日であり、参議院が議決しない場合は衆議院の議決が国会の議決となり、再議決は不要であり、両院協議会の開催は必要的です。

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