刑の種類

9条は死刑、拘禁刑、罰金、拘留及び科料を主刑とし没収を付加刑とすると定めています。

刑の軽重

10条は主刑の軽重の基準を定めています。刑法の適用に当たっては6条の新旧法の比較、54条の科刑上一罪及び傷害の罪と比較して重い刑により処断する場合などにおいて刑の軽重が問題となります。

異種の刑については死刑、拘禁刑、罰金、拘留、科料の順序によります。同種の刑については長期の長いもの又は多額の多いものが重い刑であり長期又は多額が同じであるときは短期の長いもの又は寡額の多いものが重い刑とされます。2個以上の死刑又は長期と短期及び多額と寡額が同じである同種の刑については犯情によって定められます。

異種類の刑が選択刑又は付加刑として規定されている場合の他の刑との軽重の比較の方法については規定がありませんが判例は重い刑のみを対照すべきであるとする重点的対照主義の立場をとっています。

死刑

11条は死刑は刑事施設内において絞首して執行すると定めています。死刑の言渡しを受けた者はその執行に至るまで刑事施設に拘置されます。

拘禁刑

12条は拘禁刑は無期及び有期とし有期拘禁刑は1月以上20年以下とすると定めています。拘禁刑は刑事施設に拘置するものであり拘禁刑に処せられた者には改善更生を図るため必要な作業を行わせ又は必要な指導を行うことができます。

令和4年改正前の刑法は受刑者を刑事施設に拘置しつつ受刑者に刑務作業を義務付ける懲役刑とこれを義務付けない禁錮刑を自由刑として規定していました。しかし禁錮刑を受けた者は全体の1割にも満たずその大多数が刑務作業を請願しており懲役刑と禁錮刑を区別する実質的意義が希薄化していたこと及び懲役刑では一定の時間を刑務作業に割かなければならず各受刑者の特性に応じた矯正処遇の実施を困難にしていたという課題が指摘されていました。そこで令和4年改正刑法は懲役刑と禁錮刑を拘禁刑に単一化しました。その趣旨は各受刑者の特性に応じその改善更生及び再犯防止を図るためにより柔軟な処遇の実施を可能にする点にあるとされています。

14条は有期拘禁刑の加減の限度を定めています。死刑又は無期拘禁刑を減軽して有期拘禁刑とする場合においてはその長期を30年とし有期拘禁刑を加重する場合においては30年にまで上げることができこれを減軽する場合においては1月未満に下げることができます。

罰金

15条は罰金は1万円以上とすると定めています。ただしこれを減軽する場合においては1万円未満に下げることができます。

拘留

16条は拘留は1日以上30日未満とし刑事施設に拘置すると定めています。拘留に処せられた者には改善更生を図るため必要な作業を行わせ又は必要な指導を行うことができます。禁錮刑と同様に刑務作業が義務付けられていなかった拘留についても令和4年改正により拘禁刑と同様に処遇内容が改められています。

科料

17条は科料は千円以上1万円未満とすると定めています。

労役場留置

18条は罰金を完納することができない者は1日以上2年以下の期間労役場に留置すると定めています。科料を完納することができない者は1日以上30日以下の期間労役場に留置されます。罰金を併科した場合又は罰金と科料とを併科した場合における留置の期間は3年を超えることができず科料を併科した場合における留置の期間は60日を超えることができません。

罰金又は科料の言渡しをするときはその言渡しとともに罰金又は科料を完納することができない場合における留置の期間を定めて言い渡さなければなりません。罰金については裁判が確定した後30日以内、科料については裁判が確定した後10日以内は本人の承諾がなければ留置の執行をすることができません。罰金又は科料の一部を納付した者についての留置の日数はその残額を留置1日の割合に相当する金額で除して得た日数とされます。

没収

没収とは犯罪に関連する一定の物につき所有権を剥奪して国庫に帰属させる処分をいいます。没収は付加刑であるから主刑が言い渡される場合にのみ言い渡すことができます。

19条1項は没収の対象物として4つの類型を定めています。1号は組成物件すなわち犯罪行為を組成した物であり犯罪行為には教唆行為及び幇助行為も含みます。2号は供用物件すなわち犯罪行為の用に供し又は供しようとした物です。3号は生成物件すなわち犯罪行為によって生じた物、取得物件すなわち犯罪行為によって得た物及び報酬物件すなわち犯罪行為の報酬として得た物です。4号は対価物件すなわち3号に該当する物の対価として得た物です。なお2号の対価は没収の対象にはなりません。主物を没収するときはその従物も没収できます。

没収の要件としてはまず対象物が現存することが必要です。没収の対象となりうる物は原則として上に掲げられた物自体でなければならず混合や加工などによりその物の同一性を失ったときには没収することはできません。なお判決により没収の言渡しをするには対象物が判決時に存在することが必要ですが裁判所又は捜査機関に押収されている必要はありません。

次に犯人以外の者に属しない物であることが必要です。犯人には共犯者も含まれ未だ訴追を受けていない共犯者であってもかまいません。無主物や法禁物は没収しえます。犯罪後に犯人以外の者が情を知って取得した物であるときにはこれを没収することができます。これを第三者没収といいます。

また拘留又は科料のみに当たる罪については特別の規定がなければ没収を科することができません。ただし犯罪行為を組成した物の没収についてはこの限りではありません。20条の適用を受ける罪が20条の適用を受けない罪と科刑上一罪の関係にある場合の没収の可否について裁判例は20条の適用については19条により犯罪行為ごとに没収事由の有無が検討された上でその罪について20条が適用されると解するのが条文の文言上も素直な解釈であり20条の適用を受ける罪については20条が適用されない罪と科刑上一罪の関係にある場合にも20条が適用されるとしています。

追徴

追徴とは没収が不可能な場合にその価額を国庫に納付すべきことを命じる処分をいいます。追徴できるのは犯罪生成物件、犯罪取得物件、犯罪報酬物件及びこれらの対価物の全部又は一部を没収することができないときです。追徴の価額の算定基準は物の授受又は取得当時の金額です。

任意的没収及び追徴と必要的没収及び追徴

刑法総則が規定する没収及び追徴は任意的なものですが収賄罪や特別法における没収及び追徴は必要的なものです。

未決勾留日数の本刑算入

21条は未決勾留の日数はその全部又は一部を本刑に算入することができると定めています。

アプリの紹介

過去問を一文一問形式で解けるアプリを開発しました。

司法試験 短答式試験 過去問 問題集

司法試験 短答式試験 過去問 問題集

司法予備試験の過去問を1問1答形式でアプリにしました。 効率的な学習をサポートする独自の機能があります。 1. 一問一答形式:テンポよく学習を進められます 2. 音声読み上げ機能:問題文と解説を聴いて学習効率アップ 3. 学習記録の自動管理:復習日、回数、正解率を簡単チェック 通勤中や隙間時間を有効活用し、効果的に試験対策ができます。 司法予備試験合格への第一歩、今すぐダウンロード! 利用規約 https://www.apple.com/legal/internet-services/itunes/dev/stdeula/

App StoreGoogle Play