台湾人元日本兵損失補償請求事件

第二次世界大戦中に旧日本軍の軍人軍属として戦死傷した台湾住民及びその遺族であるXらは、日本国籍を有する旧軍人軍属の戦死傷者及びその遺族には援護法や恩給法によって補償がなされているにもかかわらずXらには何らの補償もなされていないことにつき、14条1項に違反する援護法や恩給法を改正しないことの立法不作為の違法確認と29条3項に基づく損失補償などを求めました。

最高裁判所は、台湾住民である軍人軍属が援護法及び恩給法の適用から除外されたのは台湾住民の請求権の処理は平和条約等により日本国政府と相手国政府との特別取極の主題とされたことから台湾住民である軍人軍属に対する補償問題もまた両国政府の外交交渉によって解決されることが予定されたことに基づくものであり、そのことには十分な合理的根拠があるとして憲法14条に違反するものとはいえないとしました。

国籍法違憲判決の事案

フィリピン国籍のAは日本国籍を有するBとの間にXをもうけました。Aの子であるXが出生後にBから認知されたことを理由に法務大臣に国籍取得届を提出しましたが、当時の国籍法3条1項は認知に加えて父母の婚姻により嫡出子の身分を取得したことすなわち準正要件を国籍取得要件としていたため、Xの国籍取得は認められませんでした。そこでXは旧国籍法3条1項の規定が憲法14条1項に違反すること等を主張して国に対して国籍を有することの確認を求めました。

審査の枠組み

最高裁判所は、憲法14条1項は事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り法的な差別的扱いを禁止する趣旨であるとしました。そして、憲法10条は国籍の得喪に関する要件を定めるに当たって立法府の裁量に委ねる趣旨のものであるとしつつも、日本国籍の取得に関する法律の要件によって生じた区別が立法府に与えられた裁量権を考慮してもなおそのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合又はその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合には、当該区別は合理的な理由のない差別として14条1項に違反するとしました。

審査密度の引上げ

日本国籍は我が国の構成員としての資格であるとともに基本的人権の保障や公的資格の付与、公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位です。一方、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かということは子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない父母の身分行為に係る事柄です。したがって、このような事柄をもって日本国籍取得の要件に関して区別を生じさせることに合理的な理由があるか否かについては慎重に検討することが必要であるとしました。

目的の合理性と手段の不合理性

国籍法3条1項は血統主義を基調としつつ日本国民との法律上の親子関係の存在に加え我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を設けてこれらを満たす場合に限り出生後における日本国籍の取得を認めることとしたものと解されるとし、本件区別を生じさせた上記の立法目的自体には合理的な根拠があるとしました。

しかしながら、その後の我が国を取り巻く国内的かつ国際的な社会的環境等の変化に照らしてみると、準正を出生後における届出による日本国籍取得の要件としておくことについて立法目的との間に合理的関連性を見いだすことがもはや難しくなっているとしました。

とりわけ、日本国民である父から胎児認知された子と出生後に認知された子との間においては日本国民である父との家族生活を通じた我が国社会との結び付きの程度に一般的な差異が存するとは考え難く、日本国籍の取得に関して上記の区別を設けることの合理性を我が国社会との結び付きの程度という観点から説明することは困難であるとしました。また、父母両系血統主義を採用する国籍法の下で日本国民である母の非嫡出子が出生により日本国籍を取得するにもかかわらず日本国民である父から出生後に認知されたにとどまる非嫡出子が届出による日本国籍の取得すら認められないことには両性の平等という観点からみてその基本的立場に沿わないところがあるとしました。

以上により、同じく日本国民との間に法律上の親子関係を生じた子であるにもかかわらず上記のような非嫡出子についてのみ父母の婚姻という子にはどうすることもできない父母の身分行為が行われない限り日本国籍の取得を認めないとしている点は、立法府に与えられた裁量権を考慮しても我が国との密接な結び付きを有する者に限り日本国籍を付与するという立法目的との合理的関連性の認められる範囲を著しく超える手段を採用しているとしました。

そして、立法目的自体に合理的な根拠は認められるものの立法目的との間における合理的関連性は我が国の内外における社会的環境の変化等によって失われており、今日において国籍法3条1項の規定は日本国籍の取得につき合理性を欠いた過剰な要件を課するものとなっているとして、国籍法3条1項の規定は憲法14条1項に違反するとしました。

反対意見

上記多数意見に対しては、本件規定による本件区別は立法政策の選択の範囲内にとどまり憲法14条1項に違反しないとする意見、非準正子が届出により日本国籍を取得できないのはこれを認める規定がないからであって違憲とすべきは立法不作為の状態であるとする意見、多数意見の採用する解釈は法律にない新たな国籍取得の要件を創設するものであって実質的には司法による立法に等しいとする意見などの反対意見があります。

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