過剰防衛の意義
過剰防衛とは急迫不正の侵害に対し反撃行為を行ったがその反撃行為が防衛の程度を超えた場合をいいます。急迫不正の侵害に対する防衛のための行為でなければ過剰防衛にもなりません。過剰防衛の効果として刑が任意的に減免されます。
質的過剰
質的過剰とは防衛行為が必要性及び相当性の程度を超えていることをいいます。
量的過剰
量的過剰とは急迫不正の侵害に対してやむを得ずにした反撃行為に続けて侵害終了後も継続して追撃行為に及んだ場合をいいます。
侵害が行為者の第2暴行の時点でも終了せず継続していた場合には厳密には量的過剰の類型ではないものの量的過剰と同じく行為の一体性が問題となります。防衛の意思が継続している限り全体を急迫不正の侵害に対する一連一体の行為と評価することができ1個の過剰防衛の成立が認められます。
量的過剰の取扱い
防衛の意思が継続しているか否かにかかわらず第1暴行については正当防衛の成立を認め第2暴行については単なる違法行為として扱う見解があります。この見解は第2暴行の時点ではすでに侵害が終了している以上もはや過剰防衛すら成立せず違法性の減少が認められないことを根拠とします。
これに対し第1暴行については正当防衛の成立を認め第2暴行については過剰防衛の成立を認める見解が有力に主張されています。この見解は防衛の意思が継続している限り第2暴行についても防衛行為としての性格をなお肯定することができ過剰防衛を認めてよいだけの責任減少があることを根拠とします。
判例は第1暴行と第2暴行が時間的及び場所的に連続して行われた場合において防衛の意思の同一性を基準に行為の一体性の有無を判断する立場に立つものと解されています。
量的過剰に関する判例
判例は第1暴行により転倒した相手方が更なる侵害行為に出る可能性はなくなり行為者がそのことを認識したうえで専ら攻撃の意思に基づいて第2暴行に及んだ事案について両暴行は時間的及び場所的には連続しているものの侵害の継続性及び防衛の意思の有無という点で明らかに性質を異にしその間には断絶があるというべきであるとして全体的に考察して1個の過剰防衛の成立を認めるのは相当でないとしています。
一方判例は拘置所内で折りたたみ机を押し返した第1暴行に続けて反撃や抵抗が困難となった相手方に対し手拳で殴打した第2暴行について行為者が加えた暴行は急迫不正の侵害に対する一連一体のものであり同一の防衛の意思に基づく1個の行為と認めることができるから全体的に考察して1個の過剰防衛としての傷害罪の成立を認めるのが相当であるとしています。
過剰防衛における刑の減免の根拠
違法減少説は正当防衛の程度を超えたため違法であるが防衛のために行われたものであるため違法性が減少するとする見解です。違法減少説に対しては違法性が減少しているのであれば刑は必要的に減免すべきであるし犯罪が完全に成立する場合であるのに刑の免除まで認めるのは不合理であることが批判されています。
責任減少説は緊急状況下における心理的圧迫があるため行き過ぎがあっても強く非難できず責任が減少するとする見解です。責任減少説に対しては客観的な急迫不正の侵害があってもなくても心理的圧迫があれば責任が減少するのであれば典型的な過剰防衛と誤想過剰防衛の区別ができなくなることが批判されています。
違法及び責任減少説は通説であり急迫不正の侵害に対する防衛行為によって法益が保護されたことにより違法性が減少するとともに緊急状況下における心理的圧迫があるので責任減少も認められるとする見解です。
アプリの紹介
過去問を一文一問形式で解けるアプリを開発しました。
