委託を受けない保証人の求償権
462条1項は主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合について委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権の規定を準用すると定めています。すなわち主たる債務者の意思に反しない無委託保証人は債務消滅行為時に主たる債務者が利益を受けている限度において求償権を有します。
同条2項は主たる債務者の意思に反して保証をした者は主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有すると定めています。この場合において主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは保証人は債権者に対しその相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができます。
同条3項は委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権の行使時期に関する規定を準用しており主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をした場合には主たる債務の弁済期以後でなければ求償権を行使することができません。
本条の趣旨は保証人が主たる債務者の委託を受けないで保証した場合にその出損によって保証債務を履行したときにはその出損は事務管理の費用といえその法理に基づき費用の償還請求ができるはずですが保証人と主たる債務者の特殊な内部関係に即して特別に保証人の求償権の発生要件及びその範囲を定めたものです。
主たる債務者の意思に反しない無委託保証人は事前通知の有無に関係なく債務消滅行為時に利益を受けている限度で求償権を有します。主たる債務者の意思に反する無委託保証人は事前通知の有無に関係なく求償時に利益を受けている限度すなわち現存利益の限度でのみ求償権を有します。いずれの場合も事前求償権は認められません。
主たる債務者の意思に反する保証人が弁済をした場合には事後通知を怠ったか否かにかかわらず保証人が主債務者に対し求償をした時までに主債務者が弁済していたときは主債務者に対し求償することはできません。
連帯債務又は不可分債務の保証人の求償権
464条は連帯債務者又は不可分債務者の1人のために保証をした者は他の債務者に対しその負担部分のみについて求償権を有すると定めています。
求償関係の複雑化及び循環を避けるために不可分債務者又は連帯債務者の1人のために保証した者は他の不可分債務者又は連帯債務者に対してもその負担部分に限って求償権を有するものとし保証人のなす一度の求償によって決着をつけられるようにされています。
保証人は被保証人に対し全額求償することも保証しなかった各債務者に対し負担部分について直接求償することも可能です。保証人の有する求償権の範囲は被保証人が他の債務者に対して取得すべき求償権の範囲と同一です。したがって被保証人以外の他の債務者に負担部分がない場合には被保証人が無資力であっても他の債務者に求償することはできません。
共同保証人間の求償権
465条1項は連帯債務者間の求償権等の規定を数人の保証人がある場合においてそのうちの1人の保証人が主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるためその全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用すると定めています。
分別の利益がない場合には各共同保証人は全額弁済義務を負います。共同保証人の1人が全額又は自己の負担部分を超過する額の弁済をなしたときは連帯債務者の1人がなした弁済と同様に考えることができるため連帯債務者間の求償の規定が準用されます。ただし連帯債務と異なり負担部分を超える弁済をした場合にその超える部分についてだけ他の共同保証人に求償しうると解されています。負担部分については主たる債務者に対する求償だけで満足しそれを超えた部分は共同に負担すべきものとするのが共同保証の趣旨だからです。
同条2項は委託を受けない保証人の求償権の規定を分別の利益がある場合に互いに連帯しない保証人の1人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用すると定めています。分別の利益がある場合には各保証人は対外関係のみならず内部関係でも全部弁済義務を負担しないのが原則です。共同保証人の1人が全額又は自己の分割債務額を超過する額の弁済をなしたときは事務管理の場合と同様の関係になるため委託を受けない保証人の規定が準用されます。
主債務者に対する求償権の消滅時効の完成猶予や更新の効力は共同保証人間の求償権には及びません。共同保証人間の求償権は共同保証人間の負担を最終的に調整するためのものであり共同保証人間の公平を確保するものであって保証人が主債務者に対して取得した求償権を担保するためのものではないからです。
保証と物上保証の比較
保証人は責任の範囲がその一般財産に及びますが物上保証人は担保に供した特定財産に限られます。保証人には直接の履行請求が可能ですが物上保証人にはできません。付従性と随伴性はいずれも認められますが根抵当では緩和されます。補充性すなわち催告と検索の抗弁は保証人には認められますが物上保証人には認められません。主債務の時効援用権及び主たる債務者に対する時効の完成猶予と更新はいずれにも認められます。抗弁権の援用は保証人には認められますが物上保証人には認められないとするのが原則的な立場です。もっとも物上保証人も他人の債務を負担する者であることから相殺権等について物上保証人による援用を認めるべきであるとする見解もあります。事前求償権は保証人には認められますが物上保証人には認められません。事後求償権及び求償権の範囲はいずれにも認められます。複数存在する場合の処理として保証人間では分別の利益がないとき特約がなければ平等に負担し物上保証人間では担保不動産の価格の割合で負担します。
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