国会単独立法の原則

国会単独立法の原則とは、国会による立法は国会以外の機関の参与を必要としないで成立するという原則をいいます。国会単独立法の原則の例外としては内閣の法律案提出権、裁判所の法律案提出権、地方自治特別法制定のための住民投票、国民投票制、憲法改正のための国民投票、天皇による公布、国務大臣の署名と内閣総理大臣の連署が問題となります。

内閣の法律案提出権

内閣法5条は内閣に法律案提出権を認めています。これは国会単独立法の原則に反しないかが問題となります。この点は41条が法律案提出をも立法に含まれるとして国会に独占的に帰属させる趣旨なのか否かと関連します。

合憲説は通説です。法律案提出は立法には含まれず国会以外の機関に法律案提出を認めうるとします。その理由として、法律案提出は立法過程の不可欠の要素ではあるが立法そのものではなくむしろ立法の契機を与えるところの立法の準備行為とみるべきであり立法の核心は法律案の審議と決定にあることが挙げられます。

違憲説は、法律案提出は立法に含まれ国会以外の機関に法律案提出を認めることはできないとします。その理由として、法律案提出は法律制定作用そのものだから国会以外の機関が行うことはできないこと、法律案提出は法律制定作用の中で最も重要なはたらきをなすものであるから国会以外の機関に認めることは実質的にも妥当ではないことが挙げられます。

内閣の法律案提出権は憲法上の権限か

内閣に法律案提出権を認めることは憲法上許されるとするのが通説ですが、内閣の法律案提出権は憲法上要請された権限なのか否かが問題となります。

肯定説は以下の理由を挙げます。福祉主義実現のための政策決定には専門的かつ技術的判断能力が不可欠であるが議員はそのような能力がなく立法能力においても有能な官僚を駆使できる内閣に法律案提出権を認める必要があること、内閣は国会に対して連帯責任を負う以上国会に対して相対的に自立した地位をもつために自分自身の政策を追求できる手段が必要であること、72条の議案の中には法律案が含まれることです。

否定説は以下の理由を挙げます。肯定すれば議会主義の形骸化を容認することになり行政権への過度の権力集中を招くおそれがあること、内閣の法律案提出権を憲法上の権限として捉えることは主権者たる国民の意思とかけ離れた国家意思形成が行われる危険があること、72条は内閣が提出権をもつ議案について内閣総理大臣が代表して国会に提出することができる旨を定めたにすぎず法律案提出権の根拠とすることはできないことです。なお否定説に立ちつつ現在では内閣の法律案提出権は先例において確立されていることから内閣の法律案提出権の根拠は憲法全体の精神と先例あるいは慣習法に求めることも可能であるとする見解もあります。

裁判所の法律案提出権

裁判所は具体的な事件と争訟を客観的な法に従って解決するという本来的に受動的な機関であり、裁判所がそうした作用を全うするためには裁判官の職権行使の独立と司法府の独立を不可欠の要件とします。にもかかわらず最高裁判所に法律案提出権を認めると裁判所がその成立に向けて政治的駆け引きに関与することになり司法の政治化を招き裁判所の独立が失われかねません。それゆえ裁判所に法律案提出権を認めることは憲法上許容されないとするのが一般的です。

地方自治特別法制定のための住民投票

41条は立法権をすべて国会に属せしめており他方憲法を全体的にみると間接民主制が志向されているのであるから、地方自治特別法制定のための住民投票は国会単独立法の例外に位置付けられます。

国民投票制

国民投票制は狭義には選挙以外の事項について国民自らが決定する国民表決すなわちレファレンダムを意味し、広義にはそれに加えて国民が立法に関する提案を行う国民発案すなわちイニシアチブ等も含めて理解されます。有力な見解は、国民表決については国会の立法権を拘束しない諮問的なものである限り導入は憲法の枠内における立法政策であるとします。他方、国民発案については、それが国民の立法請願に類するものであれば憲法上問題はないとしても議案の提出に類するものならばその導入には憲法上何らかの根拠を要するとしています。

憲法改正のための国民投票

憲法改正は国会の発議に加えて国民投票による承認が必要であり、41条の立法を実質的意味に解するという前提に立つ限り41条の国会単独立法の例外に位置付けるべきであるとされています。

天皇による公布

天皇による公布はすでに成立した法律を国民一般に知らしめる表示行為であり施行の要件ではあるが拒否のできない義務的なものであるから国会単独立法の例外ではありません。

国務大臣の署名と内閣総理大臣の連署

法律への署名と連署は拒否することのできない形式的なものでその欠缺が法律の効力を左右するものではないから国会単独立法の例外ではありません。

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