被選挙権の性質
被選挙権とは、選挙人団によって選定されたときこれを承諾して公務員となる資格をいいます。代表を選定する選挙権の裏返しとしての選定される権利は存在しないため、権利ではなく資格ないし地位と考えられています。
しかし、選挙において被選挙権者となりうること、すなわち立候補の自由は憲法で保障された国民の基本的な権利と考えられており、その憲法上の根拠について見解が分かれています。A説は13条の幸福追求権に根拠を求め、B説は選挙権と被選挙権を表裏一体として捉えて15条1項に根拠を求め、C説は44条が選挙権と被選挙権を区別していないことに根拠を求めます。
三井美唄労組事件
最高裁判所は、憲法15条1項は選挙権が基本的人権の一つであることを明らかにしているが被選挙権または立候補の自由については特に明記していないとしました。しかし、選挙は本来自由かつ公正に行われるべきものであり、このことは民主主義の基盤をなす選挙制度の目的を達成するための基本的要請であるとしました。したがって、被選挙権を有し選挙に立候補しようとする者がその立候補について不当に制約を受けるようなことがあればそのことはひいては選挙人の自由な意思の表明を阻害することとなり自由かつ公正な選挙の本旨に反することとならざるを得ないとしました。この意味において、立候補の自由は選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり自由かつ公正な選挙を維持するうえできわめて重要であるとして、憲法15条1項には被選挙権者特にその立候補の自由について直接には規定していないがこれもまた同条同項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきであるとしました。
立候補の自由の制限
被選挙権は選挙権と表裏一体の関係にあります。被選挙権について国民主権の実現に不可欠な権利である面を強調するならば選挙権と同様に極めて厳格な審査基準で審査すべきであるとも思えます。もっとも、議員の資格は法律の定めに委ねられており被選挙権に関する定めが一定の立法裁量に服することも否定できません。そこで、被選挙権については選挙の公正を実現するために必要かつ合理的な規制は認められますが、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入による差別は絶対的に禁止されると解すべきです。
連座制
連座制とは、立候補の自由に関連して選挙運動の総括主宰者ないし組織的選挙運動管理者等の選挙犯罪による候補者であった者の当選無効および立候補禁止を定めるものです。
連座制の拡大強化の流れは平成6年に大きく展開しました。連座対象に候補者の秘書等の選挙犯罪が付加され、また組織的選挙運動管理者等の選挙犯罪が付加されました。
新連座制の合憲性
組織的選挙運動管理者等の選挙犯罪を理由に県議会議員の当選無効及び5年間の立候補禁止が請求された事案について、最高裁判所は同規定は民主主義の根幹をなす公職選挙の公明かつ適正を厳粛に保持するという極めて重要な法益を実現するために定められたものであってその立法目的は合理的であるとしました。また、同規定は連座制の適用範囲に相応の限定を加え立候補禁止の期間及びその対象となる選挙の範囲も限定し、さらに選挙犯罪がいわゆるおとり行為又は寝返り行為によってされた場合には免責することとしているほか当該候補者等が選挙犯罪行為の発生を防止するため相当の注意を尽くすことにより連座を免れることのできる道も新たに設けているとして、全体としてみれば立法目的を達成するための手段として必要かつ合理的なものであり違憲ではないとしました。
秘書連座制の合憲性
秘書の選挙犯罪を原因として当選無効及び5年間の立候補禁止の処分を受けた衆議院議員が連座制について規定した公職選挙法の規定が憲法15条1項および31条に違反するとして争いました。最高裁判所は、同規定は連座の対象者として公職の候補者等の秘書を加え連座の効果に立候補の禁止を加えて選挙の公明かつ適正を実現するという目的で設けられたものであり立法趣旨は合理的であるとし、同号所定の秘書は明確に定義されているので、このような規制は立法目的を達成するための手段として必要かつ合理的であり憲法15条1項および31条に違反しないとしました。
被選挙権の年齢要件
公職選挙法により被選挙権の年齢要件は、衆議院議員は満25年以上、参議院議員は満30年以上とされています。
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