内閣の総辞職の意義
内閣の総辞職とは内閣構成員全員が同時に辞職することをいいます。
総辞職が必要な場合
憲法は以下の事由が生じた場合には内閣が総辞職すべきことを定めています。第一に内閣不信任後10日以内に解散がなされなかった場合です。第二に内閣総理大臣が欠けたときです。第三に衆議院議員総選挙後に初の国会が召集されたときです。70条前段は内閣の一体性の保障を目的とし70条後段は内閣の衆議院への依存性確保を目的としています。
内閣総理大臣が欠けたとき
70条前段の内閣総理大臣が欠けたときには死亡、失踪、亡命した場合などが含まれます。また除名や資格争訟の裁判などによって国会議員の地位を失った場合も内閣総理大臣はその地位を失うのでこれに含まれます。なお病気や生死不明の場合は暫定的な故障であるから事故のあるときとして臨時代理が置かれるにすぎません。
衆議院の解散又は衆議院議員の任期満了の時から総選挙を経て新国会召集に至るまでの間に内閣総理大臣が欠けた場合については内閣の総辞職の必要性を否定した実例があります。内閣総理大臣が死亡した日に総辞職し新国会召集のときには重ねて総辞職することはありませんでした。
内閣総理大臣が辞職した場合
内閣総理大臣が辞職した場合も欠けたときに含まれるかについて見解の対立があります。
A説は内閣総理大臣が辞職した場合も欠けたときに含まれるとします。含まれないとすると71条が適用されず不都合であることがその理由です。
B説は内閣総理大臣が辞職した場合は欠けたときに含まれないとします。内閣総理大臣の辞職に伴う総辞職は任意的総辞職であり憲法の定める必要的総辞職とは異なることがその理由です。もっともこの立場に立っても任意的辞職の場合にも条理上当然に71条の適用があるとするので両説の間に実際上の差異はありません。
総選挙後の新国会の召集
国会が召集された日に内閣は当然に総辞職します。解散による総選挙の場合は選挙の日から30日以内に特別会が召集されます。任期満了による総選挙の場合は新議員の任期が始まる日から30日以内に臨時会が召集されます。
総辞職の手続と効果
内閣は総理大臣が欠けたとき又は辞表を提出したときにこれを両議院に通知しなければなりません。
内閣が総辞職すると新内閣の形成が必要となります。国会閉会中である場合には総辞職後の内閣が速やかに国会を召集する義務を負います。そして国会はすべての案件に先だって内閣総理大臣を指名する義務を負います。
総辞職後の内閣の職務執行
71条は69条及び70条の場合には内閣は新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行うと規定しています。総辞職した内閣が直ちに職務を離れることは国政の円滑な遂行を阻害するため行政の空白を生じないよう総辞職後の内閣が引き続き職務を行うこととしたものです。
総辞職内閣の職務権限の範囲については日常的な事務処理を超える政治的に重要な意味をもつ決定を行うべきではないとされています。総辞職後の内閣が引き続き職務を行うのは日常的な行政事務の継続性の確保のためです。
総辞職した内閣は新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う事務処理内閣であるので新内閣総理大臣の任命に対する天皇の助言と承認は総辞職した内閣が行います。さらに組閣のために行う国務大臣任命の認証に対する助言と承認は内閣総理大臣のみからなる特殊な内閣が行うと解さざるを得ないとされます。
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