国民主権と天皇制

日本国憲法は、天皇主権を廃し、根本原理として国民主権原理を採用しました。しかし、天皇制自体は象徴天皇制という形で存置されています。

明治憲法下の天皇と現憲法下の天皇の比較

明治憲法と日本国憲法では天皇の位置付けが大きく異なります。

地位の根拠について、明治憲法下の天皇は主権者、元首、統治権の総攬者であり、その地位を神の意思に負うものとされていました。これに対し、日本国憲法のもとでは天皇は象徴としての役割を果たすにすぎず、その地位は国民の総意に基づくものとされています。

権能について、明治憲法下の天皇は統治権の総攬者として多くの大権すなわち実質的権限を有していました。これに対し、日本国憲法のもとでは天皇は憲法の列挙する国事行為と呼ばれるいくつかの儀礼的行為を行うのみであり、国政に関する権能を有しません。

天皇および皇室に関する事項の国法上の位置付けについて、明治憲法下では宮務と国務が分離され皇室自律主義が採られていました。これに対し、日本国憲法のもとでは皇室に関する事項は国会のコントロールのもとに置かれています。

政治における責任の所在について、明治憲法下では一応は大臣助言制が採られていたものの、行政権の主体は天皇であり、大臣が天皇を拘束しうるかどうかがはっきりしていなかったため、内閣が政治に全責任を負いうる体制にはなっておらず責任の所在が不明確でした。なお、大臣助言制とは、君主が政治を行うには大臣の助言に基づかなければならないという制度であり、その核心は君主が関係大臣の同意なしにはいかなる行為もなしえないという点にあります。日本国憲法のもとでは、行政権は内閣に属し、天皇の国事行為には内閣の助言と承認が必要とされるとして、すべての責任が内閣にあることが明示されています。

「象徴」の意味

「象徴」とは、目に見えない抽象的で観念的な事柄を、目に見える具体的で実在的なものによって表したものをいいます。

「象徴」規定の法的意味は、天皇は実質的な政治権力を行使してはならないということです。なお、明治憲法下の天皇は政治権力の主体であることによって同時に象徴でもありました。

天皇の公的行為

憲法は天皇が行う行為として国事行為のみを定めており、このほかに散策やスポーツ見物のような純粋に私的な行為をなしうるのは当然です。問題は、純然たる私的行為と国事行為の2種類の中間に、象徴としての天皇の公的行為を認めるかどうかです。具体的には、国会の開会式で「おことば」を述べる行為、外国の元首の接受や親書の交換、国内巡幸や外国への社交的訪問などがこれに当たります。

この問題については、公的行為の存在を認める三行為説と、認めない二行為説があります。

三行為説のうち象徴行為説は、国事行為は機関としての行為であり公的行為は象徴としての行為であると考え、機関たる天皇と象徴たる天皇を区別します。この説に対しては、「象徴」という言葉は社会心理的な意味にとどまり1条から法的効果を導くことはできないこと、機関は法的概念だが象徴はそうではないため相互に排斥し合う関係にないこと、公的行為の範囲が明確でないこと、摂政や天皇の代行が公的行為を行えるか疑問であることが批判として挙げられます。

三行為説のうち公人的行為説は、公人としての公人的行為を認めます。公人とは内閣総理大臣等の国家機関という地位にある者をいい、このような者がその地位にあることに伴って権限には属さないが私的ともいえない社交上の儀礼的な事実行為を行うことがあり、これを公人的行為と呼びます。この説に対しては、憲法が儀礼的な事実行為をも国事行為の中に取り込んでいることからすると、国事行為以外の公人的行為を禁止する趣旨と解すべきであるとの批判があります。

二行為説にはいくつかの立場があります。国事行為説は公的行為を認めず、「おことば」等は国事行為の「儀式を行ふ」に当たるとしますが、「儀式を行ふ」とは天皇が儀式を主宰することであり不当との批判があります。準国事行為説は国事行為に密接に関連する行為を準国事行為として認めますが、「密接に関連する」の意味が不明確であるとの批判があります。習律説はこれらの行為が「習律」になっているとしますが、憲法に反する習律を認める点で問題があるとされます。私的行為説はこれらを私的行為に当たるとしますが、天皇がこれらの行為を自由に行いうることになり内閣のコントロールが及ばなくなるとの批判があります。違憲説はこれらの行為が憲法上許容されていないとしますが、あまりに非現実的であるとの批判を受けています。

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