認知の意義

認知とは嫡出でない子についてその父又は母が自己の子と認める行為です。779条は嫡出でない子はその父又は母がこれを認知することができると定めています。母の認知は不要であり母子関係は分娩の事実により当然に生じます。

任意認知の要件

認知をするには父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであってもその法定代理人の同意を要しません。

成年の子を認知する場合にはその子の承諾が必要です。胎児を認知する場合には母の承諾が必要です。父又は母は死亡した子でもその直系卑属があるときに限り認知することができこの場合においてその直系卑属が成年者であるときはその承諾が必要です。

認知の方式

認知は戸籍法の定めるところにより届け出ることによってします。認知は遺言によってもすることができます。

非嫡出子を本妻との間で嫡出子として出生届を出した場合にはその嫡出子出生届は認知の効力をもちうるとされています。もっとも実親が未認知の非嫡出子をいったん他人夫婦の嫡出子として届け出たうえでその他人夫婦の代諾により自分の養子とした場合には認知の効力も養子縁組の効力もありません。

胎児認知と嫡出推定の関係

胎児を認知した後にその子が出生した場合において772条の規定によりその子の父が定められるときは胎児認知は効力を生じません。

認知の効力

784条は認知は出生の時にさかのぼってその効力を生ずると定めています。ただし第三者が既に取得した権利を害することはできません。

認知後も母が親権者とされ母は父に養育費の償還請求が可能です。認知後も子は母の氏を称し母の戸籍に属します。

認知の取消しの禁止

785条は認知をした父又は母はその認知を取り消すことができないと定めています。この取消しは撤回を意味するものと解されています。

認知の無効の訴え

786条1項は子又はその法定代理人、認知をした者及び子の母はそれぞれ所定の時から7年以内に限り認知について反対の事実があることを理由として認知の無効の訴えを提起することができると定めています。ただし子の母について認知の無効の主張が子の利益を害することが明らかなときはこの限りではありません。

同条2項は子がその認知をした者と認知後に継続して同居した期間が3年を下回るときは子は21歳に達するまでの間に認知の無効の訴えを提起することができると定めています。ただし子による認知の無効の主張が認知をした者による養育の状況に照らして認知をした者の利益を著しく害するときはこの限りではありません。

認知が無効とされた場合であっても子は認知をした者が支出した子の監護に要した費用を償還する義務を負いません。

認知意思を欠く場合には認知は無効です。認知者の意思によらずに父以外の者が父の氏名を冒用して認知届を出した場合にはたとえ真実の父子関係があるときであっても認知意思を欠くものとして認知は無効です。もっとも父が子を認知する意思を有しかつ他人に対し認知届出の委託をしていたときには届出が受理された当時父が意識を失っていたとしてもその受理の前に翻意したなどの特段の事情のない限り届出の受理により認知は有効に成立します。

任意認知が真実に反する場合すなわち認知者と被認知者が血縁上の親子関係ではない場合には無効です。認知をした者も自らした認知の無効を主張することができ認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても同様です。

認知の訴え

787条は子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は認知の訴えを提起することができると定めています。ただし父又は母の死亡の日から3年を経過したときはこの限りではありません。

認知の訴えは形成訴訟です。子の直系卑属は子の生存中は認知の訴えを提起できません。推定の及ばない子も血縁上の父に対して認知の訴えを提起できます。被告は父であり父が死亡している場合には検察官です。

胎児に認知請求権はなく認知請求権の放棄契約は無効です。嫡出でない子と父との間の法律上の親子関係は認知によってはじめて発生し非嫡出子は認知によらずに父子関係存在確認の訴えを提起できません。

認知の訴えにかかる訴訟は人事訴訟に当たりその確定判決は第三者に対してもその効力を有します。

トランス女性による認知

判例は法的性別を女性へと変更した者について父に対する認知の訴えは血縁上の父子関係の存在を要件として判決により法律上の父子関係を形成するものであるところ生物学的な男性が生物学的な女性に自己の精子で子を懐胎させることによって血縁上の父子関係が生ずるという点は当該男性の法的性別が男性であるか女性であるかということによって異なるものではないとして認知請求を認めています。

母子関係と外国裁判所の裁判

民法が実親子関係を認めていない者の間にその成立を認める内容の外国裁判所の裁判は我が国の法秩序の基本原則ないし基本理念と相いれないものであり公の秩序に反するとされています。現行民法の解釈としては出生した子を懐胎し出産した女性をその子の母と解さざるを得ずその子を懐胎及び出産していない女性との間にはその女性が卵子を提供した場合であっても母子関係の成立を認めることはできません。

認知後の子の監護

788条は離婚後の子の監護に関する事項の定めの規定を父が認知する場合について準用すると定めています。

準正

789条1項は父が認知した子はその父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得すると定めています。これを婚姻準正といいます。同条2項は婚姻中父母が認知した子はその認知の時から嫡出子の身分を取得すると定めています。これを認知準正といいます。

準正とは非嫡出子がその父母の婚姻によって嫡出子たる身分を与えられることです。認知準正は条文上認知時とされていますが通説は婚姻時と解しています。

子の氏

790条1項は嫡出である子は父母の氏を称すると定めています。ただし子の出生前に父母が離婚したときは離婚の際における父母の氏を称します。同条2項は嫡出でない子は母の氏を称すると定めています。胎児中に父に認知されていても出生により取得する氏は母の氏です。

791条1項は子が父又は母と氏を異にする場合には子は家庭裁判所の許可を得て届け出ることによってその父又は母の氏を称することができると定めています。父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には子は父母の婚姻中に限り許可を得ないで届け出ることによってその父母の氏を称することができます。子が15歳未満であるときはその法定代理人がこれに代わって行為をすることができます。氏を改めた未成年の子は成年に達した時から1年以内に届け出ることによって従前の氏に復することができます。

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