通信の秘密とは
通信の秘密とは、手紙や葉書だけではなく、広く電報や電話、インターネット上の通信等の秘密を含むと解されています。通信は一つの表現行為であるから、その秘密の保障は、表現の自由の保障としての意味を有しています。
しかし、その主たる目的は特定の人間のコミュニケーションの保護にあり、プライバシーの権利の保障とその趣旨を同じくするものです。
保障の範囲
通信の秘密の保障は、通信の内容だけではなく、通信の存在自体に関する事柄にも及ぶと解されています。
具体的には、信書の差出人や受取人の氏名、住所、信書の差出個数や年月日等が含まれます。また電報の発信人もしくは受信人、市外通話の通話申込者もしくは相手方の氏名、住所、発信もしくは配達又は通話の日時等も含まれるのです。
一方、インターネットのホームページは不特定の者がアクセスできる点で通信内容に秘匿性は認められず、捜査機関が令状なくしてアクセスしても通信の秘密を害しません。
侵害行為の種類
憲法21条2項後段は通信の秘密を侵してはならないと規定しています。これは積極的知得行為の禁止と漏洩行為の禁止を意味しています。
積極的知得行為の禁止
積極的知得行為の禁止とは、公権力は通信の内容及び通信の存在自体に関する事柄について調査の対象としてはならないことを意味しています。この禁止は検閲よりも禁止される対象が広いものです。
郵便法では郵便物の検閲禁止が規定されており、電気通信事業法では通信の検閲禁止が規定されています。
漏洩行為の禁止
漏洩行為の禁止とは、通信業務従事者は職務上知りえた通信に関する情報を相手である私人、又は公権力に漏洩してはならないことを意味しています。
郵便の業務に従事する者及び電気通信事業に従事する者は、それぞれ職務上知りえた他人の秘密を守らなければなりません。通信業務従事者には、郵便職員のみならず、日本電信電話株式会社や国際電信電話株式会社の社員も含まれうるのです。
保障の限界
通信の秘密も一定の内在的制約に服し、現行法上様々な制約が規定されています。
刑事手続上の制約
刑事訴訟法は、郵便物の押収や、接見交通にかかる通信物の検閲、授受の禁止、押収を認めています。
ただし、刑事訴訟法100条が通常の差押えよりも緩やかな要件で差押えを認めている点で、その合憲性には強い疑問が呈されています。
電話傍受という強制処分については、判例が判断を示しています。電話傍受は通信の秘密を侵害し、ひいては個人のプライバシーを侵害する強制処分ですが、捜査の手段として憲法上全く許されないものではないとされました。
被疑者が罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、かつ当該電話により被疑事実に関連する通話の行なわれる蓋然性があるとともに、電話傍受以外の方法によってはその罪に対する重要かつ必要な証拠を得ることが著しく困難であるなどの事情が存する場合には、法律の定める手続に従ってこれを行なうことが憲法上許されるとされています。
破産手続上の制約
破産法は、破産者に対する郵便物や電報について、破産管財人への配達や破産管財人による開披を認めています。
しかし、個々の場合における制約の必要性を具体的に証明することなく、また差出人の性格を問うこともなく一律に配達、開披を認めている点で、広汎に失するとの見解が有力です。
在監関係における制約
通信の秘密は在監関係においても制約を受けることがあります。
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