大学の自治の憲法上の根拠

大学の自治につき憲法上明文の規定はありません。しかし、学問の自由と大学の自治が密接不可分の関係にあることを前提にして、大学の自治が23条によって保障されていると解するのが通説です。大学の自治を学問の自由そのものを保障するための客観的な制度的保障とする制度的保障論が有力です。

なお、26条1項によって保障される教育を受ける権利が大学教育を受ける権利を含むものであって、大学はその国民の教育を受ける権利を保障しなければならない場としてまず位置付けられ、そのような大学においてそれぞれ学問研究と教育の自由ないし自主性が保障されなければならないとして、大学の自治は23条のみならず26条でも保障されるとする立場もあります。

東大ポポロ事件において最高裁は、大学の学問の自由と自治は大学が深く真理を探求し専門の学芸を教授研究することを本質とすることに基づくと判示しており、大学の自治が学問の自由と密接不可分の関係にあることが明らかにされています。23条を根拠に大学の自治を認めているものと解されています。

大学の自治の範囲

大学が自主的に決定できる自治の範囲としては、学長・教授その他の研究者の人事、大学の施設の管理、学生の管理が挙げられます。このうち人事の自治が最も重要で基本的なものです。

大学の教員の人事については法令で教員の資格が定められているだけで、大学が自主的に決定でき完全な大学の自治が認められています。また、国立大学の人事異動について申出が明らかに違法無効と客観的に認められる場合でない限りその申出に応ずべき義務、すなわち相当の期間内に申出のあった者を学長、教員及び部局長として任命しなければならないとされています。

判例も大学の自治の範囲を人事、施設の管理、学生の管理と理解していますが、大学の施設と学生の管理については「ある程度」で認められるという限定を付しています。

近時の学説は、上記の3つに加え、研究教育の内容及び方法の自主決定権、予算管理における自治を挙げています。

大学の自治と警察権の関係

学問研究活動は既成の価値や認識を再検討して新しい価値を創造し自然と社会の法則を発見していく人間の精神活動であり、警察権の監視や統制と本来的に相容れないものです。そのため、警察権力からの大学の自主性の確保は特に重要な意味をもってきます。大学の施設の管理及び学生の管理に関して特に警察権との関係が問題になります。

東大ポポロ事件の評釈としては、学問的活動と政治的社会的活動とを区別するに際し、大学により承認された団体により正規の手続を経て大学構内にある教室といった研究及び教育を達成する施設においてある集会が行われた場合は、原則として大学の管理者の自律的判断が尊重されるべきであり、大学の管理者の自律的判断を尊重しなかった最高裁判決には疑問があるとの批判がなされています。

愛知大学事件

愛知大学事件において裁判所は、大学は現行犯その他通常の犯罪捜査のための警察権の行使を拒むことはできないとしました。ただし、犯罪捜査のためといえども学内立入りの必要性の有無はこれを警察側の一方的な認定に委ねられるとすればやがてその面から実質的に大学の自主性がそこなわれるおそれがあるとしました。

そこで、緊急その他已むことを得ない事由ある場合を除き、大学内への警察官の立入りは裁判官の発する令状による場合は別として一応大学側の許諾または了解のもとに行うことを原則とすべきであるとしました。しかし、許諾なき立入りは必ずしもすべて違法とは限らないとしました。結局、学問の自由・大学の自治にとって警察権の行使が干渉と認められるのは、それが当初より大学当局側の許諾了解を予想し得ない場合、特に警備情報活動としての学内立入りの如き場合ということになるとしました。

なお、愛知大学事件では警備公安活動のために学内に立ち入ることが主に問題となりますが、同時に当事者である警察官は挙動不審者を発見し職務質問したところ逃亡したため窃盗犯人と思料し入構したと述べているため、犯罪捜査のための学内立入り問題も生じます。

学問の自由と大学の自治の対立

大学の自治は学問の自由を制度的に保障するものといえますが、大学の自治と学問の自由が対立的な関係に立つ場面がありえます。たとえば、大学教授が授業中に行った所属学部の執行部への批判を理由として当該学部が当該教授の授業開講を認めない措置を採る場合がその例です。

大学の自治の主体

教授その他の研究者が大学の自治の主体であることについて異論はありません。また、かつては学生も大学の自治の主体であるべきだとの主張もありましたが、学生は教授と地位も役割も異なる以上大学の自治の主体ではないと解されています。

もっとも、学生がもっぱら営造物としての大学の利用者にすぎないのか大学における不可欠の構成員なのかについては争いがあります。

大学の自治における学生の地位

A説は営造物利用者説です。学生をもっぱら営造物すなわち公共のために用いる施設の利用者として捉え大学の自治の主体であることを否定します。学生は教授その他の研究者の自由と自治に基づいて施設が大学当局によって自治的に管理されることの反射的効果として学問の自由と施設の利用を認められるにすぎないことをその理由としています。

B説は、学生を大学における不可欠の構成員として大学自治の運営について要望し批判しあるいは反対する権利を有する者として捉えます。学生は学問を学び教育を受ける者としてその学園の環境や条件の保持及びその改変に重大な利害関係を有していること、学生は教員から学ぶだけでなく教員に対して学問的示唆を供することもあり学問研究及び学習の主体として大学の不可欠の構成員であることをその理由としています。もっとも、B説の論者も学生が自治の主体的構成員として管理運営に対する参加権を一般的にもつことまでは承認せず、法律の定めるところに従いそれぞれの大学が自主的に決定すべき事柄であるとしています。

東大ポポロ事件における学生の地位

東大ポポロ事件において最高裁は、大学の自治における学生の自治について教授その他の研究者の自由と自治の効果として施設が大学当局によって自治的に管理され学生も学問の自由と施設の利用を認められると判示しました。営造物利用者説を採り学生は大学の自治の主体ではないとしたものです。

この判示に対しては、大学には他の営造物と異なり研究と教育の場としての特殊性が認められ学生と教員との精神と精神の交渉過程こそが大学の特色であるとの批判がなされています。

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