併合罪の意義
併合罪とは確定裁判を経ていない2個以上の数罪をいいます。45条は確定裁判を経ていない2個以上の罪を併合罪とすると定めています。ある罪について拘禁刑以上の刑に処する確定裁判があったときはその罪とその裁判が確定する前に犯した罪に限り併合罪とします。
併合罪の趣旨
1人の行為者が数罪を犯した場合に本来各罪を別々に処分しても差し支えないはずですがそれらが同時に審判されうる状況にあったときは刑の適用上それらの罪を一括して取り扱うことがより合理的です。これを同時的併合罪といいます。
また実際には同時に審判しなかった数罪についても事後の判断において同時審判の可能性があったとみられる場合には同時に審判された場合との均衡上それらをある程度まとめて取り扱うことが適当です。これを事後的併合罪といいます。
同時的併合罪の処理
同時的併合罪の処理には吸収主義、加重主義及び併科主義の3つの原則があります。
吸収主義とは併合罪に当たる各罪のうち最も重い刑の法定刑によって処断する原則をいいます。併合罪中の一罪が死刑の場合には他の刑を科しませんが没収はこの限りではありません。併合罪中の一罪が無期拘禁刑の場合にも他の刑を科しませんが罰金、科料及び没収はこの限りではありません。
加重主義とはその最も重い罪の法定刑に一定の加重を施して処断する原則をいいます。併合罪中2個以上の罪について有期拘禁刑に処するときはその最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とします。ただしそれぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできず加重された長期は30年を超えることもできません。2個以上の罪について罰金に処するときはそれぞれの罪について定めた罰金の多額の合計以下で処断します。
併科主義とは各罪に刑を定めて科しそれぞれの刑を併せて執行する原則をいいます。罰金と他の刑とは併科しますが併合罪中その一罪について死刑に処するときは併科しません。拘留又は科料と他の刑とは併科しますが併合罪中その1個の罪につき死刑又は無期拘禁刑に処すべきときは他の刑を科しません。重い罪について没収を科さない場合でも他の罪に没収があるときは付加でき2個以上の没収は併科します。
事後的併合罪の処理
50条は併合罪のうちに既に確定裁判を経た罪とまだ確定裁判を経ていない罪とがあるときは確定裁判を経ていない罪について更に処断すると定めています。各裁判で言い渡された刑は併せて執行されます。
ただし死刑を執行すべきときは没収を除き他の刑を執行せず無期拘禁刑を執行すべきときは罰金、科料及び没収を除き他の刑を執行しません。有期拘禁刑の執行はその最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを超えることができません。
判例は前件のみ起訴され確定判決を受けた後に刑の執行中に余罪について起訴された事案について余罪の量刑判断に当たっては前件を実質的に再度処断する趣旨で考慮することは許されないもののなお犯行に至る重要な経緯等として考慮することは当然に許されるとしています。
一部に大赦があった場合
52条は併合罪について処断された者がその一部の罪につき大赦を受けたときは他の罪について改めて刑を定めると規定しています。
かすがい現象
かすがい現象とは本来併合罪となるべき数罪がそれぞれある罪と観念的競合又は牽連犯の関係に立つことによって数罪全体が科刑上一罪として取り扱われることをいいます。
かすがい現象を認める立場によれば科刑上一罪として最も重い刑により処断されますがかすがいとなる罪の刑が結び付けられる罪の併合罪の刑よりも軽い場合にかえって刑が軽くなり不均衡であるという問題が生じます。そこで解釈によるかすがいはずしが試みられていますがそれぞれの見解に対して批判があります。
判例はかすがい現象を肯定しており学説上も現行法の解釈論としてはかすがい現象を認める他ないとした上で量刑において事実上の併合関係を考慮することで具体的妥当性を追求すべきとするのが通説です。
共犯と罪数
共同正犯の罪数について共同正犯は各自がその全部を実行したものとされるので全ての犯行を1人でした場合の罪数と同様に扱うことになります。数人が共同して数個の法益侵害を発生させた場合には数個の共同正犯が成立し併合罪となります。
狭義の共犯すなわち教唆及び幇助の罪数については正犯により実行された犯罪の個数に従いますが教唆行為又は幇助行為が1個の行為でなされた場合には数個の教唆罪又は幇助罪は観念的競合となります。
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