嫡出の否認

774条1項は772条の規定により子の父が定められる場合において父又は子は子が嫡出であることを否認することができると定めています。令和4年改正により否認権者が拡大されました。

同条2項は子の否認権は親権を行う母、親権を行う養親又は未成年後見人が子のために行使することができると定めています。

同条3項は母も子が嫡出であることを否認することができると定めています。ただしその否認権の行使が子の利益を害することが明らかなときはこの限りではありません。

同条4項は772条3項の規定により子の父が定められる場合において子の懐胎の時から出生の時までの間に母と婚姻していた者であって子の父以外のもの、すなわち前夫は子が嫡出であることを否認することができると定めています。ただしその否認権の行使が子の利益を害することが明らかなときはこの限りではありません。

同条5項は前夫が否認権を行使し新たに子の父と定められた者は子が自らの嫡出であることを否認することができないと定めています。

嫡出否認の訴え

775条は各否認権はそれぞれ所定の者に対する嫡出否認の訴えによって行うと定めています。父の否認権は子又は親権を行う母に対して、子の否認権は父に対して、母の否認権は父に対して、前夫の否認権は父及び子又は親権を行う母に対して行使します。

父又は前夫が否認権を親権を行う母に対し行使しようとする場合において親権を行う母がないときは家庭裁判所は特別代理人を選任しなければなりません。

嫡出の承認

776条は父又は母は子の出生後においてその嫡出であることを承認したときはそれぞれその否認権を失うと定めています。

嫡出否認の訴えの出訴期間

777条は各否認権の行使に係る嫡出否認の訴えはそれぞれ所定の時から3年以内に提起しなければならないと定めています。父の否認権は父が子の出生を知った時から、子の否認権はその出生の時から、母の否認権は子の出生の時から、前夫の否認権は前夫が子の出生を知った時から3年です。

778条は772条3項の規定により父が定められた子について嫡出否認がされたときは新たに子の父と定められた者の否認権等に係る嫡出否認の訴えは所定の時から1年以内に提起しなければならないと定めています。

子の特則

778条の2第2項は子がその父と継続して同居した期間が3年を下回るときは子は21歳に達するまでの間に嫡出否認の訴えを提起することができると定めています。ただし子の否認権の行使が父による養育の状況に照らして父の利益を著しく害するときはこの限りではありません。

前夫の否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは子が成年に達した後は提起することができません。

子の監護に要した費用の償還の制限

778条の3は嫡出否認がされた場合であっても子は父であった者が支出した子の監護に要した費用を償還する義務を負わないと定めています。

相続の開始後に新たに子と推定された者の価額の支払請求権

778条の4は相続の開始後に否認権が行使され新たに被相続人がその父と定められた者が相続人として遺産の分割を請求しようとする場合において他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしていたときは当該相続人の遺産分割の請求は価額のみによる支払の請求により行うものとすると定めています。

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