共有の対外関係の概要

共有物に関する対外的な請求については各共有者が単独ですることができるものと共有者全員で請求することが求められるものとがあります。

各共有者が単独ですることができる場合

第三者が共有物全部を無断で独占使用している場合には各共有者は当該第三者に対して単独で共有物全部の返還を請求することができます。その根拠については保存行為に該当するとする保存行為説と不可分債権であるからとする見解があります。また各共有者は当該第三者に対して自己の持分の割合に応じ不当利得返還請求又は不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。

第三者が共有物の利用等を妨害し又は妨害するおそれがある場合には各共有者は当該第三者に対して単独で共有物全部に対する妨害排除又は予防を請求することができます。また各共有者は当該第三者に対して自己の持分の割合に応じ不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。共有者は自己の持分権に基づいて共有物全部につきその持分に応じた使用収益をすることができるところ自己の持分権に対する侵害がある場合にはそれが他の共有者によると第三者によるとを問わず単独で共有物全部についての妨害排除請求をすることができます。

不動産について第三者による単独所有名義の登記がされている場合において当該第三者が実体上何らの権利も有していないときは各共有者は単独で当該登記の抹消登記手続請求をすることができます。

不動産について第三者名義の不実の持分移転登記がされている場合には他の共有者は当該第三者に対して自己の持分権に基づき単独で当該登記の抹消登記手続請求をすることができます。不実の持分移転登記がされている場合にはその登記によって共有不動産に対する妨害状態が生じているためです。この場合の根拠は保存行為ではなく持分権の侵害です。

第三者が共有物について所有権を主張している場合には各共有者は当該第三者に対して単独で自己の持分権の確認を請求することができます。また各共有者は当該第三者に対して単独で自己の持分権について取得時効の完成を阻止することができます。これらの請求は他の共有者の持分権に直接影響をもたらすものではないため各共有者が単独ですることができます。

共有者全員で請求することが求められる場合

次の請求は共有関係に立つことに基づく請求であり共有関係をめぐる紛争の解決を共有者全員について矛盾なく合一的に確定する必要があることから各共有者が単独ですることができず共有者全員で請求することが求められます。

物を共有していることの確認の訴え、共有者名義への所有権移転登記手続請求及び共有地の筆界確定を求める訴えがこれに当たります。

持分の処分の自由

各共有者は自己の持分権を自由に処分することができます。持分権は所有権と同様の性質を有しており処分を認めても他の共有者の持分権に影響はないためです。処分には譲渡、担保権の設定及び放棄が含まれます。

持分の放棄と共有者の死亡

255条は共有者の1人がその持分を放棄したとき又は死亡して相続人がないときはその持分は他の共有者に帰属すると定めています。持分権の放棄の場合には動産については先占の対象となり不動産は国庫の所有に属するはずですが立法政策上持分権を他の共有者に帰属させることとされました。また共有者の1人が相続人なくして死亡したときも持分権は国庫に帰属するはずですが同様に他の共有者に帰属するとされました。これを共有の弾力性といい共有は持分による制約さえなければいつでも完全かつ円満な支配権としての所有権に復帰する性質を有します。

共有持分権の放棄が他の共有者との通謀虚偽表示による場合には94条2項が類推適用されます。共有不動産の持分権の放棄がされた場合には他の共有者は持分権の移転登記を備えなければ第三者に持分取得を対抗できません。

他の共有者の持分取得は原始取得ですが放棄された持分に担保権の設定がある場合にはその負担を受けたまま他の共有者が取得します。担保者の承諾のない持分放棄は担保権者に対抗しえないためです。

共有者が相続人なくして死亡した場合に特別縁故者への持分権の分与と255条との関係が問題となりますが特別縁故者への分与が優先します。なお持分の放棄について共有者間の協議は不要です。

共有物についての債権

254条は共有者の1人が共有物について他の共有者に対して有する債権はその特定承継人に対しても行使することができると定めています。共有者間の債権の確保のために持分の包括承継人のみならず特定承継人への請求を認めたものです。共有物について他の共有者に対して有する債権の具体例としては共有物の保存や管理の費用の立替債権、共有物分割による債権及び不分割契約上の債権があります。分割契約については登記は不要です。本条の権利行使については共有物の登記を要しません。

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