積乱雲(対流雲)の一生
積乱雲の3つの段階
積乱雲(対流雲)は、その一生の中で発達期、成熟期、衰退期の3つの段階を経ます。それぞれの段階には特徴的な構造と天気現象が伴います。
発達期
発達期の積乱雲は、全体が上昇流だけで構成されています。地表面の加熱や前線の強制上昇などをきっかけに暖かく湿った空気が上昇を始め、凝結して雲が形成されます。上昇流によって雲はどんどん高く成長していきます。
この段階では降水粒子は形成されつつありますが、まだ小さく数も少ないため上昇流に支えられており、地上に落下することはほとんどありません。したがって、発達期には強い雨はまだ降りません。
成熟期
成熟期になると、雲の中で降水を形成する個々の粒(あられやひょうなども含む)が成長し、数も多くなります。これらの降水粒子は、雲の内部で発生していた上昇流では支えきれずに落下してくるようになります。発達期の頃にも降水粒子は生成されるのですが、成熟期の頃に比べて大きさも小さく、また数も少ないために発達期の頃の降水粒子は上昇流に支えられて落下することができないのです。
降水粒子が落下を始めると、摩擦によって周囲の空気も同じように引きずり降ろすようになります。これによって雲の下部に下降流が発生します。ちょうど、自分の横を車が通り過ぎると風が吹くようなイメージです。
また、水粒が落下してくる際に気温が高くなると、水粒が融解したり、その溶けた雨粒が落下する際に蒸発したりします。どちらにしてもそのときに潜熱を吸収するので、空気が冷やされて重くなり、下降流はますます強化されるのです。
このようにして、成熟期の積乱雲では、雲の上部に上昇流、下部に下降流が共存する構造になります。成熟期は積乱雲が最も活発な時期で、激しい雨、雷、突風などの激しい気象現象を伴います。
衰退期
成熟期を過ぎると、下降流の領域がしだいに拡大し、上昇流の領域を圧迫していきます。やがて雲全体が下降流で支配されるようになると、新たな水蒸気の供給が断たれるため、雲は消散に向かいます。これが衰退期です。降水も弱まり、やがて止みます。
ダウンバースト
成熟期の積乱雲から発生した下降流が地表面まで到達すると、地表面で放射状(四方八方に吹き出すこと)に広がり、地表面付近で被害をもたらすことがあります。これをダウンバーストといいます。
ダウンバーストの規模はさまざまですが、地表面で吹き出す強い風の吹き出しが4km以下ならマイクロバースト、それよりも大きければマクロバーストと、このダウンバーストを区別してよぶこともあります。いずれにしても、このダウンバーストが原因で航空機事故につながるようなこともあるのです。
スコールライン
スコールラインとは、対流活動が活発な対流雲の並んだ、線状のメソ対流系の一種です。
スコールラインは全体的に進行方向に向かって進んでおり、先端部には強い対流性の降雨があります。この部分構造は次のセクションでお話しする団塊状のメソ対流系の一部で組織化された大きな積乱雲の塊、つまりマルチセル型に似ています。
小型の寒冷前線のようなものであるガストフロントのところで新しく対流雲が発生し、それがガストフロントに対して相対的に後方に動くあいだに成長し、成熟期の積乱雲にまで達します。そして、成熟期の積乱雲に達したあとはやがて、衰えていきます。この成熟期の積乱雲の後方には層状性の雲が長く広がっており、地雨(しとしと雨)が降っておりその長さは数10kmから100kmにも及ぶことがあります。
