太陽放射

放射とは

すべての物体は、その温度に応じた電磁波を放出しています。この電磁波によるエネルギーの放出を放射といいます。太陽も地球も、それぞれの温度に応じた放射を行っています。

電磁波の種類

電磁波はその波長によって分類されます。波長が短い方から順に並べると、ガンマ線 → X線 → 紫外線 → 可視光線 → 赤外線 → マイクロ波 → 電波となります。

可視光線は人間の目に見える波長帯(約0.4〜0.7μm)の電磁波です。可視光線の中でも波長が短い方から、紫 → 藍 → 青 → 緑 → 黄 → 橙 → 赤と色が変化します。可視光線より波長が短い側が紫外線、長い側が赤外線です。

太陽放射と地球放射

太陽と地球では表面温度が大きく異なるため、放出する電磁波の波長帯も異なります。

太陽放射地球放射
表面温度約6000K約255K
主な波長帯可視光線を中心とした短い波長赤外線(長い波長)
別名短波放射長波放射

太陽放射は主に可視光線の波長帯にエネルギーが集中しているため短波放射と呼ばれ、地球放射は主に赤外線の波長帯にエネルギーが集中しているため長波放射と呼ばれます。

太陽放射と地球放射は波長帯がほぼ重なりません。これを利用すれば、大気中で観測される放射を波長帯によって「太陽由来」か「地球由来」か区別することができます。

太陽定数

太陽定数(約1370 W/m²)とは、地球の大気上端において、太陽光線に垂直な面が1m²あたり1秒間に受ける太陽放射エネルギーの量です。

ただし、太陽定数は地球全体が均等に受けるエネルギーを表しているわけではありません。地球は球体なので、太陽光線に正対しているのは赤道付近だけで、高緯度地方では光が斜めに当たるぶんエネルギーが薄まります。

地球が太陽から受け取るエネルギーの総量を考えるには、地球の断面積(太陽光線を遮る影の面積)を使います。地球の半径をRとすると断面積はπR²です。一方、地球全体の表面積は4πR²です。したがって、地球の表面1m²あたりの平均受取量は太陽定数の1/4、つまり約342 W/m²になります。

放射エネルギーの基本法則

ウィーンの変位則

物体の温度が高いほど、放射のエネルギーが最大になる波長は短くなります。これをウィーンの変位則といいます。

λmax = 2897 / T
(λmax:最大エネルギーの波長[μm]、T:物体の温度[K])

太陽(約6000K)の場合、λmax=2897÷6000≒0.48μm。これは可視光線の青〜緑の波長帯にあたります。地球(約255K)の場合、λmax=2897÷255≒11.4μm。これは赤外線の波長帯です。

シュテファン・ボルツマンの法則

物体が放射するエネルギーの総量は、温度の4乗に比例します。これをシュテファン・ボルツマンの法則といいます。

E = σT⁴
(E:単位面積あたりの放射エネルギー、σ:シュテファン・ボルツマン定数、T:温度[K])

この法則は、温度がわずかに変化するだけで放射エネルギーが大きく変化することを意味しています。たとえば温度が2倍になると放射エネルギーは2⁴=16倍にもなります。

放射の強さと距離の関係

放射エネルギーは距離の2乗に反比例して弱くなります。太陽から遠い惑星ほど、受け取るエネルギーが少なくなるのはこのためです。

E ∝ 1 / r²
(r:太陽からの距離)

たとえば、太陽からの距離が2倍になれば、受け取るエネルギーは1/4になります。

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