大気の安定・不安定
安定な大気と不安定な大気
天気予報で「大気の状態が不安定」という表現を聞くことがあります。これは具体的にどういう状態なのでしょうか。
安定な大気とは、下に冷たく重い空気があり、上に暖かく軽い空気がある状態です。重いものが下、軽いものが上にあるので、空気は動こうとしません。
不安定な大気とは、その逆で、下に暖かく軽い空気があり、上に冷たく重い空気が乗っている状態です。軽いものの上に重いものが乗っているので、この配置は不自然です。大気は安定な状態に戻ろうとして、暖かい空気を上へ、冷たい空気を下へ入れ替えようとします。このとき対流(上昇流と下降流)が発生します。
対流と対流雲
不安定な大気で対流が起きると、上昇流の部分で空気が冷やされて対流雲が発生します。対流雲は縦方向に発達する雲で、夏の夕立雲(積乱雲)がその代表例です。対流雲はしゅう雨(にわか雨)をもたらします。
つまり「大気が不安定」という予報は、対流が起きやすく、突然の雷雨に注意が必要な状況を意味しています。
対流圏は常に不安定なのか?
ここで1つ疑問が生まれます。対流圏(地上〜高度約11km)では、上空ほど気温が低いのが普通です。ということは、対流圏は常に不安定なのでしょうか?
答えはノーです。上空と下層では高さが違うため、単純にそのままの気温を比べることはできません。身長を比べるとき、近くにいる人と遠くにいる人の背の高さを見た目だけで比較できないのと同じです。
安定・不安定を比べるルール
空気の温度を比べるには、同じ高さに揃えて比較する必要があります。下層の空気を上層の高さまで持ち上げたとき、その空気の温度がどうなるかを計算し、上層の空気と比較するのです。
この「同じ高さに揃える」計算に使うのが、前のセクションで学んだ乾燥断熱減率(Γd:100mにつき約1℃)と湿潤断熱減率(Γm:100mにつき約0.5℃)です。
具体的な判定方法(どんな条件で安定・不安定になるか)は、次のセクション以降で詳しく扱います。
