エルニーニョ現象

エルニーニョ現象とは

エルニーニョ現象とは、太平洋の赤道付近の海域で、日付変更線より東(中部〜東部太平洋赤道域)の海面水温が平年より高い状態が1年程度続く現象のことです。スペイン語で「男の子(幼子イエス)」を意味する言葉に由来しています。

通常の状態では、太平洋の赤道付近では東から西に貿易風(東風)が吹いています。この貿易風によって赤道付近の暖かい海水は西に吹き寄せられ、西太平洋(インドネシア・フィリピン付近)に暖かい海水がたまります。一方、東太平洋(南米ペルー沖)では暖かい海水が西に吹き寄せられた分を補うように深海から冷たい水が湧き上がってきます(湧昇)。このため、通常は西太平洋の海面水温が高く、東太平洋の海面水温が低いという東西の温度差が存在しています。

エルニーニョ現象が発生すると、この貿易風が弱まります。貿易風が弱まると、西太平洋にたまっていた暖かい海水が東に広がり、東太平洋の湧昇も弱まります。その結果、中部〜東部太平洋赤道域の海面水温が平年より上昇するのです。

ラニーニャ現象

ラニーニャ現象はエルニーニョ現象の逆で、太平洋赤道域の中部〜東部の海面水温が平年より低い状態が続く現象です。スペイン語で「女の子」を意味します。

ラニーニャ現象のときは、貿易風が通常より強くなります。強い貿易風によって暖かい海水はさらに西に吹き寄せられ、東太平洋の湧昇も強まるため、東太平洋の海面水温が平年より低下します。

南方振動

エルニーニョ現象・ラニーニャ現象に伴って、太平洋の東西で気圧がシーソーのように変動する現象が観測されています。これを南方振動(SOI:Southern Oscillation Index)といいます。

通常の状態では、西太平洋(オーストラリア・インドネシア付近)の気圧は低く、東太平洋(タヒチ・南米付近)の気圧は高くなっています。エルニーニョ現象が起きると、この気圧差が小さくなり、場合によっては逆転することもあります。つまり、西太平洋の気圧が上昇し、東太平洋の気圧が低下します。ラニーニャ現象のときはこの逆で、気圧差が通常よりも大きくなります。

エルニーニョ現象は海洋の現象、南方振動は大気の現象ですが、この2つは密接に結びついた1つの現象の海と大気の側面です。そのため、両方を合わせてENSO(エンソ:El Niño-Southern Oscillation、エルニーニョ・南方振動)と呼ぶことがあります。

海面水温が高い場所では上昇流が発生しやすく、低い場所では下降流が発生しやすくなるため、エルニーニョ現象やラニーニャ現象が起きると、対流活動の活発な領域(積乱雲が活発に発達する場所)が東西に移動します。これが大気の循環パターンを変化させ、世界各地の天気に影響を及ぼすのです。

テレコネクション

テレコネクション(遠隔結合)とは、遠く離れた地域間の気象・気候がつながって変動する現象のことです。ある地域の気象の変動が大気の波動を通じて遠く離れた地域にまで影響を伝えるものです。

エルニーニョ現象は典型的なテレコネクションの引き金となります。太平洋赤道域の海面水温の変化が対流活動のパターンを変え、それが偏西風波動のパターンを変化させ、結果として遠く離れた日本やヨーロッパの天気・気候にまで影響を及ぼすのです。

たとえば、エルニーニョ現象が発生すると、日本付近では冬に暖冬になりやすい、夏に冷夏になりやすいなどの傾向が知られています。ただし、これはあくまで統計的な傾向であり、毎回必ずそうなるわけではありません。

テレコネクションの伝播には、ロスビー波(惑星波)が重要な役割を果たしています。赤道付近の対流活動の変化が大気中にロスビー波を励起し、このロスビー波が中高緯度に伝播することで遠隔地の天気に影響を与えるのです。

湧昇流

エルニーニョ現象の理解に欠かせない湧昇(ゆうしょう)について、もう少し詳しく説明しておきます。湧昇とは、海の深いところから冷たい水が海面に向かって上昇してくる現象です。

沿岸湧昇

沿岸湧昇とは、海岸線に沿って吹く風によって引き起こされる湧昇です。

北半球では、海岸線に沿って風が吹くと、コリオリ力の影響で海面の水は風の進行方向の右側に移動します(エクマン輸送)。海岸線の近くで表層の水が沖合に向かって運ばれると、それを補うために深海から冷たい水が湧き上がってきます。

南米ペルー沖では、南東貿易風が海岸に沿って(赤道に向かって)吹いているため、表層の水がエクマン輸送によって沖合に運ばれ、活発な沿岸湧昇が起きています。この湧昇によって冷たく栄養豊富な深海水が表層に供給されるため、ペルー沖は世界有数の好漁場となっています。

赤道湧昇

赤道湧昇とは、赤道付近の海域で起きる湧昇です。赤道上では貿易風(東風)が吹いています。エクマン輸送により、北半球側では海水が北向きに、南半球側では海水が南向きに移動します。つまり、赤道を挟んで海水が南北に引き離されるため、それを補うように赤道直下では深海から冷たい水が湧き上がります。

エルニーニョ現象のときは貿易風が弱まるため、この赤道湧昇も弱まり、海面水温が上昇するのです。

アプリの紹介

過去問を一文一問形式で解けるアプリを開発しました。

気象予報士試験対策

気象予報士試験対策

気象予報士試験対策アプリです。少しでも効率的に勉強したいなら是非お試しください。効率化のために一問一答形式に変えてます。また、問題文や解説の読み上げ機能をつけました。復習した日、復習した回数、正解率を自動で記録し確認できます。

App StoreGoogle Play