散乱
散乱とは
散乱とは、光(電磁波)が大気中の分子や粒子にぶつかって、さまざまな方向に散らされる現象です。散乱は吸収とは異なり、エネルギーが消滅するわけではなく方向が変わるだけです。
散乱には主に2種類あり、粒子の大きさと光の波長の関係で分けられます。
レイリー散乱
レイリー散乱は、光の波長よりも十分に小さい粒子(窒素分子や酸素分子など)による散乱です。
レイリー散乱の最も重要な性質は、散乱の強さが波長の4乗に反比例することです。
散乱の強さ ∝ 1 / λ⁴
(λ:光の波長)
つまり、波長が短いほど強く散乱されます。可視光線の中では、青い光(波長が短い)は赤い光(波長が長い)よりもはるかに強く散乱されます。
空が青く見える理由
太陽光は大気中を進むとき、窒素や酸素の分子によってレイリー散乱を受けます。青い光は赤い光よりも散乱されやすいため、空のあらゆる方向から青い光が目に届きます。これが空が青く見える理由です。
夕焼けが赤い理由
太陽が低い位置(朝や夕方)にあるとき、太陽光が大気中を通過する距離が長くなります。大気中を長く進むうちに、波長の短い青い光は途中で散乱されてしまい、波長の長い赤い光だけが散乱されずに直進して目に届きます。これが夕焼けや朝焼けが赤く見える理由です。
ミー散乱
ミー散乱は、光の波長と同程度かそれ以上の大きさの粒子(エアロゾル、雲粒、霧粒など)による散乱です。
ミー散乱ではレイリー散乱と異なり、散乱の強さは波長にあまり依存しません。すべての波長の光がほぼ均等に散乱されます。
雲が白く見える理由
雲粒は光の波長よりもはるかに大きいため、ミー散乱が起こります。ミー散乱では赤も青も緑もすべての波長がほぼ同じ割合で散乱されるため、混ざり合って白く見えます。
雨雲が暗く見える理由
厚い雲(乱層雲など)では、太陽光がミー散乱を繰り返しながら雲の中を進むうちに、上部で多くの光が散乱・反射されてしまい、雲の下部まで光が十分に届きません。そのため厚い雲の底は暗く(灰色〜黒色に)見えます。
散乱のまとめ
| 種類 | 粒子の大きさ | 波長依存性 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| レイリー散乱 | 波長より十分に小さい | 波長の4乗に反比例(短い波長ほど強く散乱) | 空が青い、夕焼けが赤い |
| ミー散乱 | 波長と同程度以上 | 波長にあまり依存しない(すべて均等に散乱) | 雲が白い |
