水蒸気を表す量

大気中の水蒸気の量を表す言葉にはさまざまなものがあります。ここではそれぞれの定義と意味を整理していきます。

水蒸気密度

水蒸気密度(単位:g/m³)とは、単位体積(1m³)の空気中に含まれる水蒸気の質量のことです。

たとえば、1m³の空気の中に1gの水蒸気の粒が5つ入っていれば、水蒸気密度は5g/m³となります。なお、単に「水蒸気量」というときは、この水蒸気密度を指すことが多いです。

水蒸気圧

水蒸気圧(単位:hPa)とは、大気中の水蒸気が持つ分圧のことです。

空気中の約78%は窒素、約21%は酸素からできています。仮に地上の気圧を1000hPaとすると、そのうち約780hPaは窒素の圧力、約210hPaは酸素の圧力です。このように気圧を構成要素ごとに分けたものが分圧で、水蒸気が占める分の圧力が水蒸気圧です。たとえば水蒸気が空気中の1%を占めていれば、1000hPaのうち10hPaが水蒸気圧となります。

飽和と飽和水蒸気量

空気は水蒸気を無限に含めるわけではなく、限界があります。空気が水蒸気を限界まで含んだ状態を飽和といいます。飽和状態で空気が含むことのできる最大の水蒸気量(水蒸気圧)を飽和水蒸気量飽和水蒸気圧)といいます。

飽和水蒸気量は空気の温度によって変化し、温度が高いほど値が大きくなります。つまり、暖かい空気ほど多くの水蒸気を含むことができます。この性質が、雲のできる仕組みの根幹にあります。

雲ができるしくみ

コップにたとえると、気温30℃で容量30g(飽和水蒸気量)のコップに20gの水蒸気が入っているとします。気温が20℃に下がると飽和水蒸気量が20gに小さくなり、コップの大きさ(20g)と中身(20g)がちょうど一致します。これが飽和の状態です。

さらに10℃まで冷やすと飽和水蒸気量が10gになるため、コップからあふれた10g分の水蒸気が水滴に変わります。これが雲の正体です。

露点温度

露点温度(記号:Td、単位:℃)とは、未飽和の空気の気温を下げていき、飽和に達するときの温度です。

たとえば気温が20℃で露点温度が15℃の空気であれば、あと5℃気温を下げれば飽和に達し、さらに冷やすと雲が発生し始めます。

露点温度が高い空気ほど、含んでいる水蒸気が多いことを意味します。水蒸気が多い分、少し冷やしただけで飽和に達するからです。逆に露点温度が低い空気は、水蒸気が少ないため飽和に達するまでに大きく冷やす必要があります。

なお、含まれている水蒸気量が同じであれば、そのときの気温に関係なく露点温度は同じ値になります。また、未飽和の空気が上昇・下降する場合、露点温度は100mにつき約0.2℃の割合で変化します。飽和している場合は湿潤断熱変化と同じく100mにつき約0.5℃の割合です。

湿数

湿数(記号:T−Td、単位:℃)とは、空気の気温(T)から露点温度(Td)を引いた値です。

湿数 = 気温(T)− 露点温度(Td)

たとえば気温30℃、露点温度20℃の空気の湿数は10℃です。湿数が小さいほど、あと少し冷やせば飽和に達するということなので、空気が湿っていることを意味します。

湿数が0℃のとき、気温と露点温度が一致しているので、その空気はすでに飽和しています。実際には、湿数が3℃以下になれば雲ができていると考えられ、天気図上ではこの領域を湿域湿潤域)と呼びます。

相対湿度

相対湿度(記号:Rh、単位:%)とは、空気の湿り具合を%で表したもので、一般的に「湿度」と呼ばれるものです。

相対湿度 =(空気中の水蒸気量 ÷ そのときの気温における飽和水蒸気量)× 100

注意すべき点は、相対湿度が同じ100%でも、夏と冬では含まれる水蒸気の絶対量が違うということです。夏は飽和水蒸気量が大きいため、同じ相対湿度でも水蒸気の絶対量は多くなります。冬は飽和水蒸気量が小さいため、実際に含まれる水蒸気の量は少なくなります。

混合比

混合比(記号:w、単位:g/kg)とは、空気中に含まれる水蒸気の質量と、その水蒸気を取り除いた空気(乾燥空気)の質量の比です。

たとえば、乾燥空気1kgに対して水蒸気が10g含まれていれば、混合比は10g/kgです。混合比は、空気の気圧や気温が変化しても、周囲の湿潤空気と混合したり水蒸気の凝結や蒸発が起こったりしない限り保存されるという性質を持っています。

比湿

比湿(記号:q、単位:g/kg)とは、湿潤空気の質量とその中に含まれている水蒸気の質量の比です。

混合比は「乾燥空気に対する水蒸気の比」ですが、比湿は「湿潤空気全体に対する水蒸気の比」です。実用上、比湿と混合比の値はほぼ同じになります。比湿も混合比と同様に、凝結や蒸発が起こらず周囲と混合しない限り保存される量です。

絶対湿度

絶対湿度(単位:g/m³)とは、空気1m³中に含まれる水蒸気量のことで、水蒸気密度と同じ意味です。相対湿度と名前は似ていますが、まったく別の概念です。

潜熱のエネルギーの大小

水の相変化に伴う潜熱には種類があり、エネルギーの大きさが異なります。

相変化潜熱エネルギー
融解(氷→水)・凝固(水→氷)0.33×10⁶ J/kg
蒸発(水→水蒸気)・凝結(水蒸気→水)2.5×10⁶ J/kg
昇華(氷↔水蒸気)2.8×10⁶ J/kg

昇華の潜熱は、融解と蒸発の潜熱を足し合わせたもの(0.33+2.5=2.83≒2.8)になっています。

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